合同会社の設立は、時代の要請!?

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合同会社の設立は、時代の要請!?

これからは、合同会社の時代です。

これからは合同会社の時代と言っても、まだまだ日本で一番多い会社形態は、株式会社です。
図を見てください。日本の会社の約8割が、株式会社なのです。

合同会社と株式会社の設立登記数

株式会社ばかりの社会ですから、会社と言えば「株式会社」をイメージする人が多いのは事実です。
それでもあえて言います。
これから会社を作るなら、合同会社です! アップルもアマゾンも合同会社です。
その他にもケロッグ、西友、ユニバーサルミュージック、アムウェイ、デロイト トーマツ コンサルティング、シスコシステムズなどがあります。
このように、外資系の巨大企業が名を連ねる合同会社のイメージは、とても洗練されました。
合同会社のイメージアップに、外資系企業の貢献度はとても大きいです。
これが合同会社増を支える経済環境です(外資が合同会社を作る理由は、パススルーという税制度を利用することが目的です。
日本ではこの税制度はありません)。
だからこそ、先ほどの図でもわかる通り、ここ8年の間に、1年間に設立登記される合同会社の数は約4.4倍にも増えているのです。

合同会社設立を後押しする経済的状況は、他にもあります。
例えば、働き方改革。
長時間労働の見直しが進めば進むほど、企業は外注に頼らざるを得なくなります。
社内で消化できる、物理的な仕事量が減るためです。
仕事自体を減らしてしまうと、完全に売り上げ減になってしまいますから、経済成長を目指す企業としては、それはあり得ない選択でしょう。
そうなると選択肢は外注以外ないのです。
がむしゃらに稼ぎたい、野望のギラギラした、ビジネスでの成功を求めるような人が、どんどん独立して起業する環境になります。
後で触れますが、そのような人材が手軽に始められるのが、合同会社なのです。
次に、ビジネススピードの要請です。
日本企業の決断速度の遅さが、アジア諸国で不評です。
担当者が本社に伝え、そこから返事が返って来るまでに、何日もかかってしまう。
商売にスピード感がない。
今、アジアは急速な発展を遂げている最中です。
のんびりと熟考していられないのです。
その状況の中で、合同会社は意思決定構造がシンプルですから、即決即断できてしまうのです。
その他にも、合同会社の設立や仕組み自体にメリットがあります。
それらは、個人事業主や株式会社との比較の中で、詳しくお伝えしていきます。

合同会社とはどんな会社?

合同会社というのはどのような会社なのか、まずは個人事業主と株式会社と比較しながら、明確にしていきましょう。

合同会社と個人事業主

合同会社の社員(株式会社の株主をイメージしてください)は、出資の範囲でしか責任を負いません(間接有限社員)が、個人事業主は無限責任を負います。
無限責任とは、自分の全財産で債務(借金)を返済し、足りない分は全額完済するまで払い続ける必要があるということです。
合同会社の社員は、出資分は全て失う可能性がありますが、個人の財産は影響を受けることがないのです。

そして、法人の方が個人よりも社会的信用度が高まるというメリットがあります。

その他の、個人事業主との比較で合同会社のメリットと言われるものには、以下のようなものがあります。

合同会社と株式会社

合同会社の社員と株式会社の株主は、どちらも出資の範囲でしか責任を負いません(間接有限責任)ので、ここは違いがありません。

しかしこの合同会社の社員は、出資者なのですが、業務執行も行います。
ということは、資本と経営が完全に一致するわけですから、即決即断が可能なのです。
最初に、合同会社設立を後押しする経済的環境として、「ビジネススピードの要請」を取り上げました。
合同会社は、このスピード要請に非常にマッチしている会社形態だと、理解していただけるでしょう。

そして、このスピード感を維持し続けるための仕組みと言えるのが、定款自治です。
定款とは、会社運営のルールです。
合同会社は株式会社と異なり、その定款による自治が幅広く認められているのです。
会社法に違反さえしなければ、好きに経営できるということです。

更に、株式会社からは考えられない、一人会社が認められているのです。

以上をまとめると、合同会社は資本と経営が一本化し、幅広く認められている定款による自治の下で、一人で事業を行えるというメリットがあるのです。
一人会社とは、実体として個人事業主のようなものです。
全て自分が思った通りに、経営判断を下すことができます。
それでいて、間接有限責任が認められるのです。

その他の、株式会社との比較で合同会社のメリットと言われるものには、以下のようなものがあります。

合同会社には、株式会社と比較してのデメリットはないのでしょうか。
デメリットとしてよく取り上げられるのは、株式会社より信用度が低いというものです。その根拠は、なじみの薄さと決算の報告義務がない点にあります。
しかしなじみの薄さは徐々に解消されているのですから、現金取引等の工夫で、経営状態の信用度をカバーすることは十分に可能です。

合同会社を設立することは経済的にも手続的にも、株式会社よりはるかにハードルが低いのです。
その上に一人会社が可能なのですから、独立起業には最適です。
そして即決即断ができるのですから、スピード感のある取引が展開できます。

働き方改革で、今後は大きな企業を取引先にできるチャンスが広がります。
そこにスモールビジネスで小回りの利くビジネスフローを構築するには、合同会社は非常に相応しい形態だと思われます。

もちろん、社員を増やすことも可能です。
その場合は、自分の経営方針を尊重してくれるパートナーであることを条件にすれば、思うような経営を続けられるでしょう。
順調に業績を伸ばせていけば、従業員を抱えることも問題ありません。

合同会社設立までのフロー

合同会社を設立すると決めた場合、その準備と手続きの流れを最初に確認しておきましょう。

①設立の基本事項を決める

合同会社の定款内容を考えることになります。

以下のア)からエ)の事項を決めた後、定款に必ず記載しなければなりません。
絶対的記載事項というものです。

オ)の相対的記載事項については、定款に書くことで効力を持たせることができます。

カ)の任意的記載事項は、無視することも可能ですが、会社の運営を明確にするために決めておく方が、取引の信用を得やすいと思われます。

ア)商号

商号とは、会社の名前です。

例えば合同会社を作って、マッサージのお店を始めるとしましょう。
そのお店の看板には「リリララックスNo.1」とあります。
このときの「リリララックスNo.1」は屋号と言います。
商号はあくまで会社の名前です。
合同会社では「合同会社○○」または「〇〇合同会社」となります。
不正競争を疑われるものや公序良俗に反すると思われる商号を付けるのは、やめましょう。

≪使用できる文字、符号≫
漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(小文字・大文字)、アラビア数字
符号(「&」、「’」、「,」、「-」、「.」、「・」、「.」)
イ)事業目的

設立した合同会社が、どんな事業を行うのかという事業目的を決めます。
統一性など不要ですから、やりたいことやアイデアは遠慮なく盛り込んでおくことです。

そして最後に、「前各号に附帯する一切の事業」という目的を加えておきましょう。
これで幅広く担保されます。

もちろん、後から追加することも可能です。
その場合は定款の変更が必要となり、その費用として3万円を負担することになります。

ウ)本店所在地

会社の住所地を定めます。
登記する際には、全ての住所を記載する必要がありますが、定款には、最小行政区画の記載でも問題はありません。
例えば、「東京都千代田区」、「千葉県浦安市」というようなものです。

エ)社員と出資額

合同会社では一人会社が認められていますから、設立(出資)する人が一人いればよいのです。
パートナーとして別の人を社員にするには、会社設立にあたって出資をしてもらう必要があります。

出資金額は1円から可能ですが、創業融資を考えたり大手の企業を顧客にしたりするような場合には、それなりの出資額にすべきです。
1円の会社では、信用を得にくい場合が考えられるからです。

最初から許認可を必要とする事業の場合には、許認可を得るための最低出資額を確認しておきましょう。
将来的に許認可を取るならば、その前に増資すれば大丈夫です。

定款には、全ての社員が有限責任を負う旨を記載することになります。

出資金は、社員個人の銀行口座に出資金だと分かるように入金しておきます。

具体的によくある方法は、自分の口座に自分の名前で出資金を振り込むのです。
ポイントは、誰が振り込んだのかがはっきりと通帳に印字されることです。
もちろん、振込人名はフルネームです。
合同会社の登記が完了していないので、合同会社の口座はまだ作ることができません。
そのために、このような方法で出資金を明らかにしておくのです。

オ)相対的記載事項

次のことを決めた場合は、定款に記載しなければなりません。
決めたのに記載してない場合は、効力がありません。

カ)任意的記載事項

以下のようなものは、定款に任意に記載できる事項です。
記載しなくとも構いませんが、実務的には事業内容を明確にするために、記載しておく方がよいでしょう。

定款は、紙で法務局に提出すると4万円の印紙代が必要です。
電子定款にするとその4万円は不要となります。
そして法務局に登記申請する際に、登録免許税が6万円必要です。

株式会社の場合は、公証役場で定款の認証を受ける必要があります。
定款認証のための手数料が5万円、印紙代が4万円必要です(電子認証なら4万円は不要)。
法務局に登記申請する際に、登録免許税が最低15万円必要です。

このように比べると、株式会社設立の初期費用は24万円(電子認証なら20万円)以上となるため、合同会社設立の費用はとてもリーズナブルに思えます。

②登記書類の作成

登記書類を作成する前に、会社の実印、角印、銀行印の3本を用意しましょう。
最低限、実印だけは必須です。
その上で、以下の登記書類を用意していきましょう。

法務局のホームページにアクセスすると、記載例と空の書式を入手できます。
ご自身で登記手続きをしようとするならば、事前に法務局に出向いて、確認等をしてもらうことを勧めます。
お役所ですから対応に過大な期待はできませんが、初めて書く登記申請書類ですから、確認しながら進めましょう。
添付すべき書類についても、記載例にあります。

③設立登記

登記申請をした日が合同会社の設立日です。
法務局が休みとなる土日祝日と年末年始以外の日が設立日候補です。
実際に登記が完了するのは、申請してから2~3週間先になります。

登記申請日をいつにしようかと、皆さんが頭を悩ますのですが、ポイントは2つです。

例えば、営業年度を4月1日から3月31日とすると決めたのに、1月に合同会社の設立申請をするのは、あまりに無謀でしょう。
会社立ち上げの中で、決算処理を同時進行しなければなりません。
しかも極端に期間の短い営業年度となるので、初年度の営業実績が見るも無残な結果になってしまいます。
このような場合は、早くても4月2日に申請すべきではないでしょうか。

なぜ4月1日でなく、2日に合同会社設立の登記申請をするのかというと、法人住民税(均等割)が1か月分安くなるためです。
設立から決算期まで1年を切る場合は、法人住民税(均等割)が月割となります。
1か月を切る端数は切り捨てられるために、1月分得することになります。

経営者の方によっては、そんなことよりも「大安」を重視される方もおられます。
ただ知識として、持っていて損はないはずです。

④開業届提出

登記が完了したら、「登記事項全部証明書(いわゆる謄本)」と「印鑑証明書」を2通は取得しておきましょう。
これらを使って、銀行口座を開設したり、税務署への届け出をしたりします。

合同会社設立は、自分ですべきか専門家に頼むか

合同会社の設立は、自分でやれます。
手間暇かけて一つずつステップを踏めば、できます。

しかし一方で、その手間暇を本業とすべき事業の準備や営業に使った方が良いのではないか、という意見もあるということです。

どちらを選択するかは、皆さんの事情やお考えによると思いますが、専門家に頼めば当然報酬が発生することだけは間違いありません。

以下、合同会社を自分で設立した場合と専門家に頼んだ場合を比較してみます。

  自分で設立 専門家に依頼
設立準備期間 1週間から2週間 3日から2週間
設立費用

定款印紙代4万円
登録免許税6万円

合計 10万円

定款印紙代 0円
登録免許税6万円
報酬4万~5万円

合計10万円~11万円

自分で合同会社を設立するケースは、十分に時間がある方が合同会社設立について、一から学んで最終的に登記申請をするまでの期間をイメージしました。
本を読んだり、ネットで調べたりしながら、書類を一つひとつ用意してくイメージです。

専門家の場合は、依頼者とスムーズに話し合いが進むのか、迅速な協力が得られるのかによって随分と変わって来るのが実情です。

設立費用に関しては、自分で設立するのと専門家に依頼するのには、あまり差がありません。
それは電子定款作成費用分が、ほぼ専門家の報酬となっているからです。

ところで、「会社設立0円」を謳っている広告を目にすることがありますね。
そういうところに依頼すれば、本当に0円で合同会社を設立してくれるのか疑う人がいます。
これは、嘘ではありません。
本当です。
そして、このような広告を出している専門家は税理士の方々です。
お分かりでしょうか。
設立は0円ですが、顧問契約がセットで付いてきます。
税理士を探している方にはよい機会です。
税理士は仕事をしながら探していこうという方には、この企画は難しいかもしれません。

『合同会社の設立は、時代の要請!?』まとめ

小回りとスピード感を求められるこれからの経済環境において、合同会社は最適な形態です。
一人会社ならば、個人事業主と実態はほぼ同じなのに、有限責任しか追わないのです。
しかも株式会社と比較すれば、設立のしやすさが際立っています。
したがって、自分で設立手続を進めることもできます。
費用はあまり変わらないならば、専門家に依頼して営業に勤しむことも可能です。

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