親に残しておいてもらいたい遺言

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親に残しておいてもらいたい遺言

被相続人が亡くなった後、効力が生ずるようになるのが遺言書です。
実際にはその遺言書の内容に沿って相続手続きが行われますが、その段階でトラブルが起こることも少なくありません。
そのため親には、きちんとしたものを残しておいてもらうようにしましょう。

1) みんなが納得できる遺言書を

みんなが納得できる遺言?
遺言書の内容

相続で最も大切と言えるのが遺言書です。
しかしその内容によっては、親族間でトラブルに発展してしまうことも考えられます。
そのため相続人となる誰もが、納得できる遺言書を作成することが大切です。
相続の際に遺言書が用意してあった方が、その後の事務手続きもスムーズに進む可能性が高いでしょう。
遺言書はとても大切なものですが、ただあれば良いというわけでもありません。
いくら故人が一所懸命作成したとしても、その内容が悪いと家族間でのトラブルの原因となる可能性があるからです。
残された家族のため、と思って用意したせっかくの遺言書が、争いの種になるようでは意味がありません。

被相続人も、決して悪意を持ってそのような内容の遺言書を作成したわけではないでしょう。
一所懸命に考えて作成したものが、結果的に悪い内容になってしまうこともあるのです。
ですので遺言書を作成するときは基本事項を踏まえ、何度も見直しをすることが大切です。
例えば「長男にすべての遺産を相続させる」などという内容を記載すると長男は喜ぶかもしれませんが、他の相続人は不満を持つかもしれません。
故人は良かれと思ってしたことが、結果的にトラブルに発展してしまうのであれば、遺言書を作成する意味はなくなります。

この状態では長男以外の遺族は親から完全に無視されたと思い、かなりの不公平感を覚えることになるでしょう。
そうなると兄弟が自分の遺留分を主張したりなど、対抗手段を取ってくることも考えられます。
この例は極端かもしれませんが、被相続人は全員が納得できるような内容の遺言書を作成する必要があります。
そのためにもまず、基本事項をマスターすることが大切です。

遺言書の基本事項

まず遺言というのは、満15歳になれば誰でも作成できます。
ただし未成年者が財産の処分などの遺言を行う際は、親権者の同意を得る必要があります。
また遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言が存在します。
中でも比較的簡単に作成できるのが自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は自分の字で書くことが条件ですが、そこには下記のような一定のルールがありますので注意しましょう。

自筆証書遺言は一見簡単そうに見えますが、書き方を間違えてしまうと書き直す必要があります。
また不動産を相続させる際に登記簿と異なる事項を記載したら、相続登記の際にトラブルが生じてしまいます。
ですので記載する際は、かなり慎重に行いましょう。
そして何よりも大切なのが、遺言内容を正確に記載することです。
遺言書というのは、作成した被相続人の死亡によってその効力が発生しますので、被相続人は死亡した後にその内容の確認はできません。
そのため作成した内容に問題があったり不正確な記載があったりすると、相続人同士でトラブルになる可能性が高くなります。
終活などで遺言書を書く人が増えていますが、その際に将来的なトラブルにならないように、遺言者にお願いしてみるのもいいでしょう。

2)遺言書だけでは不十分

遺言書だけでは不十分?

相続する際に効力があるのが、被相続人が書いた遺言書です。
そのため本来はそれだけでも十分だと思いますが、遺族間のトラブルが多いことを考慮すると遺言書だけでは不十分かもしれません。
家族のことを思い、一所懸命に考えた遺言書を作成すれば良いかと言うと、必ずしもそうではありません。
何故なら、たとえ被相続人が納得できる内容を記載したとしても、所詮は自分の考えにすぎないからです。
そこに書かれるすべてが主観的事項ですので、いつトラブルが起こっても仕方がないのです。

そのため相続人の意思を反映していない内容にならないように、注意しながら作成することが大切です。
本来は自分の意思に沿って遺産を相続させるのが理想ですが、そう簡単にいかないのが現実でもあります。
そのようなこともあり、遺言書を作成する際は可能な限り遺族の意思を組み込んで作成するのが理想です。
被相続人が遺言書を作成した場合、生前にその内容を相続人に納得してもらうのが最善策と言えます。
そして相続人側からも、親に対して全員が納得できるような内容にしてもらうように依頼しておくといいでしょう。

3)こんな遺言は騒動のもと

遺言書には様々な内容のものがありますが、以下のような遺言は騒動のもとになりますので注意しておきましょう。

兄弟間の遺産分割のトラブル

相続のトラブルでよく見られるのが、この兄弟間の遺産分割のトラブルです。
特に故人の遺産が多い場合は注意が必要で、特定の子供だけに多くの資産を渡すような遺言書はNGです。
今まで仲の良かった兄弟が、親の遺産が原因でトラブルになるのは悲しすぎます。
遺産が多いときは早い段階から専門家などに相談をして、対策を講じておくことが重要です。
そうすることでトラブルを回避できるようになります。
この場合の対処法ですが、兄弟間の遺産分配比率をしっかりと確かめることが大切です。
トラブルを解決するためにも、相続人別による分配比率を確認してから遺言書を作成しましょう。

被相続人の配偶者とその子供が相続人である場合
配偶者は2分の1、子供は2分の1
被相続人の配偶者とその親が相続人である場合
配偶者は3分の2、その親は3分の1
被相続人の配偶者とその兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1
被相続人に配偶者がいない場合
子供は全員で均等に分配、親は全員で均等に分配(子供がいない場合)、兄弟姉妹は全員で均等に分配(子供も親もいない場合)

遺言書を作成する際は以上の点に注意してください。

土地や不動産についてのトラブル

土地や不動産も遺産は騒動のもとになりますので、注意しておきましょう。
不動産や土地などの分配できない資産がある場合は、最もトラブルになりやすいと言われています。
その理由は以下の通りです。

お金と違い土地や不動産は面倒なことが多いので、トラブルに発展しやすいです。
この場合の対処法としては、分割方法の種類をしっかり確認することです。
土地を分割する方法には、土地をそのまま分ける現物分割や土地を売却してお金に換える換価分割、そして住宅相続した人が他の相続人にお金を支払う代償分割があります。
また土地や不動産の分配に不安な方は、最初から弁護士や司法書士など法律の専門家に相談しておくとスムーズに片付きます。
いずれにしても早めに対処することが大切です。

遺言書はとても大切なものですが、その内容によっては残された家族の間でトラブルに発展する可能性があります。
ですので作成する側はもとより執行する側も、それぞれが注意しながら行わなければなりません。
トラブルにならないように、きちんとした内容にしておきましょう。

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