寄与分があると相続分も変更となるため事前に確認

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寄与分があると相続分も変更となるため事前に確認

被相続人が亡くなった後に相続を行う際に、考慮する必要が生じるのが寄与分です。
寄与分があると本来の相続分も変わってきますので、事前に確認しておかなければなりません。
この寄与分とはどういうものなのか紹介します。

1)寄与分とは

寄与分?

被相続人の相続人が複数いる場合は、それぞれの相続人に対して割り当てられる相続分が、民法での法定相続となります。
最もこの相続人の相続分については相続人同士の話し合いなどよって、法定相続分とは異なった割合で分配することも可能です。
とは言ってもそれはあくまで話し合いですので、最終的にまとまらないケースもよく起こります。
相続人同士の話し合いでまとまらなかったときは、最終的に法定相続分に従って相続財産を配分することになります。
本来はそれで終了しますが、法定相続分通りに遺産分割してしまうと相続人間に不公平が生ずる可能性が出てきます。
それが寄与分と呼ばれています。

どういうことかと言うと、相続人の中に被相続人に対して様々な貢献を行った相続人がいる、というようなケースが該当します。
実際には被相続人に貢献をした人がいるにもかかわらず、何も貢献をしていない人と同じように法定相続分しか受け取ることができないと、相続人間の不公平感は拡大していくことが予想されます。
そこで民法は、そのような被相続人に貢献「寄与」した相続人の相続分を他の相続人よりも優遇するため、寄与分という制度を設けているのです。
具体的には、被相続人に貢献した相続人の相続分を増やそう、と言うことです。
例えば被相続人や被相続人の親を介護している場合や被相続人が経営していた会社を引き継ぎ、その後に業績を上げているケースなどがあります。
このような場合は民法904条の寄与分の規定により、対象者がもらう相続財産を増やすことができます。
被相続人の利益のために自分自身を犠牲にしてきたのであれば、このような寄与分の制度があるのも納得です。

2) どのようなものが寄与分?

寄与分の内容

相続の際に考慮する寄与分ですが、その点については民法に規定があります。
民法904条では、相続人に寄与分が認められる要件として次の3つの事項を掲げています。

以上の項目に該当する方はチェックしておきましょう。

3) 寄与分態様の例

寄与分態様の例

次に寄与分の態様いわゆる具体的な行動としては、以下のことが挙げられます。

その他にも様々なケースが見られますが、寄与分というのは共同相続人のうち、ある相続人だけの相続分を増やすシステムですので法定相続分の例外的事項となります。
そして実際に寄与分が認められるためには、その行為に以下のような特別の寄与が存在するか否かとなります。

寄与分については、以上の4つの要件を満たしている必要があります。

寄与分が認められるケース

実際に寄与分が認められるケースを紹介していきます。

家事従事型ケース

このケースは被相続人が生前行っていた事業に対して、ほぼ無償に近い状態で従事したときが該当します。
相続人が仕事を手伝うことによって、被相続人の財産が増加した場合などです。
こちらのケースは農業や商工業などがありますが、医師や弁護士、司法書士、公認会計士、行政書士、税理士などの法律の専門家が行う業務も含まれています。

療養看護型のケース

こちらは被相続人の看護をその相続人自身が行い、介護の費用の支出を抑えるなど相続財産の維持に貢献した場合に該当します。
療養看護型は家業従事型と同じように被相続人と身分関係があること、期待以上の寄与行為や持続性、専従性も必要となります。
またこのケースは「病気看護」と「老親看護」に区別されますが、どちらかと言えば老親看護の方が寄与度は高いとされています。
ただ介護保険制度が導入されたこともあり、老親介護に対する寄与度は以前より認められにくくなっていますので、注意する必要があります。

金銭等出資型のケース

こちらは相続人である配偶者が婚姻した後も共働きを続け、被相続人の名義で不動産を購入した場合や配偶者自身の資産を被相続人に提供するケースがあります。
その他にも被相続人の借金を返済するめに金銭を贈与するなどの行為も含まれますが、会社に対する出資は原則として寄与にはならないと言われています。

扶養型のケース

扶養型は相続人が被相続人を扶養することで生活費を出資し、相続財産の維持に貢献することです。
この扶養は確かに大切ですが、夫婦はそれぞれ相互扶助義務を負っており、直系血族や兄弟姉妹も互いに扶養する義務があります。
実際に特別の寄与に当たるのかどうかの判断は、非常に困難となることもあります。

財産管理型のケース

こちらは相続人が被相続人の財産管理を行って管理費用の支出を抑えたりしたケース、被相続人が保有している土地を売却する際にその手続きを手伝ったケースなどが該当します。
財産管理型のケースの場合は、専従性や継続性などの要件は必要ありません。
こちらは金銭出資型のケースと同じように、特別の寄与に当たるのかどうかを判断して決めることになります。

4)寄与分が認められるために立証しなければならないこと

民法で規定されている寄与分については、該当する人を含めた誰かが訴えなければなりません。
寄与分を認めてほしい場合には、その本人から寄与分があるという権利を主張する必要があるのです。
寄与分が認められるケースについて、自らが該当する場合はその旨を正当に主張して示しましょう。
ただ場合によっては証明が難しいこともあり、裁判などで正当性を主張するケースも存在します。
裁判には長期間かかる可能性もあり、それなりの覚悟を持って臨む必要があります。

5)寄与分がある場合の計算方法

寄与分がある場合は、その分を含めて相続分を算出することになります。
相続財産中の寄与分の割合については、相続人全員の協議で決めます。
協議で話がまとまらないときには、家庭裁判所に調停や審判の申立てをして手続きを行います。
寄与分がある場合の計算方法は、(相続開始時の財産-寄与分)×法定相続分+寄与分で算出します。
初めに被相続人の全財産を把握を行い、その中から寄与分を該当者に渡して残りの財産を相続人全員で分配します。
例えば被相続人の財産が現金500万円で法定相続人が配偶者、長男、長女、寄与者が長男「100万円」の場合、長男の額は以下のようになります。
長男の本来の額は「500万円×1/4=125万円」です。
そしてみなし相続財産は400万円ですので、最終的な長男の額は「400万円×1/4=100万円」になります。

生前より被相続人に貢献した相続人は、法律の規定によって寄与分を主張できます。
そしてこの寄与分が認められる場合は、その分を差し引いて法定相続分を計算することになります。
計算するときは間違いのないようにするためにも、できる限り相続に詳しい法律の専門家に相談しましょう。

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