近年、葬儀観が変化している。『密葬、家族葬、直葬』とは?

お金と生活 -Money&Life-

  • トップページ
  • 近年、葬儀観が変化している。『密葬、家族葬、直葬』とは?

近年、葬儀観が変化している。『密葬、家族葬、直葬』とは?

1)近年、葬儀観が変化している?

葬儀観の変化?

日本人の葬儀観の変化を表す象徴的な出来事が2013年にありました。

同年11月、天皇陛下は国民の負担を軽減するため、従来の土葬ではなく、火葬での葬儀をご希望されると発表しました。
国民の象徴である天皇がこのように自分自身の葬儀に関して発言するというのは日本人の死生観、葬儀観の変化の表れと言えるのではないでしょうか。

なるべく人に迷惑をかけたくない、生きている間に死の準備を進める、こういった「終活」ブームが起きているのも、葬儀ビジネスや関連業界の目論見以上の根本的な葬儀観の変化を表しているといえないでしょうか。

葬儀に関しては小規模化が進んでいます。
葬儀の参列者が20人前後といった「家族葬」、通夜をしない「1日葬」、火葬のみという「直葬(じきそう)」が多くの人に選ばれています。

このような小規模の葬儀が世間に認知され始めたのは1997年頃です。
この年に高齢者が子供人口より多くなり、本格的な高齢化社会到来の幕開けとなった年でもありました。

平均寿命の長寿化

高齢化に伴い行動範囲が狭くなり、周囲との付き合いが減ったことが影響して葬儀の参列者も減少し始めたと考えられます。
現在日本人の平均寿命は男性が80歳、女性が87歳となっています。
そのため故人の子供の平均年齢も高い傾向にあり、会社関係者や知人などにはあまり声をかけないことも葬儀参列者が減少している要因と考えられます。

価値観の変化

そもそも家族葬や直葬が増えたのは、そういった葬儀のニーズが高まったからです。
ニーズの高まりとはつまり「価値観」の変化です。
10年前には家族葬という単語は決して一般に浸透しているとは言えませんでした。
しかし、現在では多くの葬儀会社のプランには家族葬、直葬は必ず盛り込まれています。

この価値観の変化が家族葬や直葬といった新しいタイプの葬儀プランの増加を後押ししています。

日本消費者協会の2014年の調査では、葬儀についてこのような意見がでていました。

つまり、従来の形式的な一般葬には批判的な意見が出始めたのです。

その後は「終活」という言葉と共に日本には高齢者向けの多くのサービスや商品が生まれました。
その中で葬儀についても家族葬、直葬、自由葬などが多くの人に認知されるようになりました。

2)密葬、家族葬とは?

実は現代の「家族葬」とは以前は「密葬」と言われていました。

参列者を呼ばず近親者のみで行う葬儀を以前は密葬と呼んでいたのです。

参列者を呼ばない理由は葬式費用を捻出できない、芸能人や社会的に名前が知れ渡っている公人等で密葬の後に、多くの人を呼んで本葬やお別れの会をする人のためのものでした。

密葬というと少し後ろめたいイメージがありますが、これを「家族葬」という名前に変えて「近しい人たちで静かに、温かく見送る」というイメージが浸透すると一部の特別な人たちのものから、一般の人にも支持を得られるようになり世の中に浸透していきました。

家族葬の特徴

前述の通り家族葬には家族や親族、親しい友人・知人に限定して、小規模で行うという特徴があります。

家族葬のメリット
①費用が一般葬に比べると安く済む

日本消費者連盟の調査によると葬儀にかかる費用の全国平均は121万円という結果でした。

一般葬は人数が最低でも50人以上、通常は80名規模かそれ以上を想定しておりどうしても人数が多いほど、葬儀会社の人件費などで費用が高くなってしまいます。

しかし、小規模に行う家族葬は20人~30人程度を想定しているため、葬儀費用を大幅に抑えることができます。
飲食費や返礼品費、接待にかかる費用等が少なく済むのも価格を安く抑えられる要因です。

②故人との最後の時間を落ち着いて迎えることができる

一般葬では、多くの参列者の対応が必要になり、喪主や親族は沢山の作業をこなす必要があります。
しかし、家族葬の場合は家族や親族などの近しい人たちのみでの葬儀です。
そのため遺族の負担が少なく済むというメリットがあります。
気心知れた家族と共に、故人との最後の時間を落ち着いて過ごすことができると言えるでしょう。

家族葬の注意点
①葬儀後に故人の死去の事実を知った方への対応

家族葬の場合、限られた親族のみで葬儀を行うことになるため、葬儀に参加できなかったり、葬儀そのものを知らない人が出てきます。
そのような方々への連絡や対応をマナーとして行っておくべきと言えるでしょう。

②親族の理解を得る

家族だけでなく親戚などの同意も必ず得ておきましょう。
親族の中には昔ながらの考えで家族葬については反対という人もいるかもしれません。
その場合トラブルに発展する恐れもありますから充分に気を付ける必要があります。

③香典が少ない

一般葬であれば、ある程度見込める香典が家族葬はほぼないと考えていいでしょう。
その場合葬儀費用の負担は一般葬より大きくなることもあるようです。

3)シンプルな直葬

シンプルな直葬

直葬は最もシンプルな葬儀の一つと言えます。
一般葬儀では、1日目に通夜式、2日目に告別式と火葬を、大勢の参列者を招いて行います。
しかし、直葬は亡くなった後、遺体を安置してから出棺、火葬場へ移動して火葬を行います。
法律の定めで遺体は死後24時間以内は火葬をしてはいけないため、直葬でも安置を行います。
最後は火葬炉の前で僧侶にお経をあげてもらうことになります。※1

最近では、直葬を選ぶ人が増加傾向にあります。
これは葬儀に関する価値観の変化として大勢の人を呼んで盛大に行うのではなく、近しい人たちだけにあまり手間をかけず見送ってもらいたいという考えの人が増えたことが要因です。
また、独り暮らしで身寄りもおらず死亡してしまいシンプルな直葬を親族が選択するケース、経済的な理由から直葬を選択する人など様々な理由があります。

直葬は非常にシンプルな形式の葬儀のため、後でもっと故人をしっかりと見送るべきだったと後悔される方も少なくありません。
十分に注意が必要です。

専門家のワンポイントアドバイス!

※1
お坊さんを呼ぶ呼ばないは、自由です。
お坊さんを呼ばないケースも多々あります。

4)密葬・直葬の費用

密葬・家族葬の費用

家族葬の費用は首都圏のでは100万円~115万円と言われています。
これは飲食や寺院の費用も含んでいます。
飲食がないプランなどでは50万円~からのプランなども見受けられますから、家族葬と一言にいっても価格には開きがあるようです。
これはそもそも「家族葬」という言葉には人数の決まりがあるわけではないため、家族葬と言いつつも参列者が多い葬儀も含まれていると予想できます。

直葬の費用

直葬は20~30万円前後で行うことが可能です。

直葬は一般葬と異なりほとんどの儀式が省略されてるため安く行うことができます。

専門家のワンポイントアドバイス!

ご遺体の引き取り、安置、火葬だけならば 10万円くらいから。
それに納骨までお願いするとプラス8万円くらい。
お坊さんを火葬場に呼ぶとなると、プラス5万円以上必要になります。

注意点

例えば10万円で直葬ができるなど、あまりに安いケースは注意が必要です。

葬儀に必要な物品やサービスが含まれておらず、追加料金が発生し後々に請求が来るというケースがあります。
葬儀社にどこまでが料金に含まれているのか、見積もりを十分確認しましょう。

後悔するケースもある

家族葬や直葬を選択して後々公開する人も増えています。
自分が参加した一般葬に比べてあまりにシンプル過ぎて、もっとしっかりとした葬儀で故人を見送ればよかったと思うようです。
そのため葬儀プランを検討する場合後悔のないように十分に葬儀会社と内容の説明を受けて選択する必要があるでしょう。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

行政書士齊藤学法務事務所 オフィシャルWebサイトはコチラ

サイトカテゴリー

お金について
貯蓄について
仕事とお金について
結婚とお金について
家と車とお金について
保険とお金について
会社とお金について
老後とお金について
葬儀とお金について