相続税の延納と物納の仕方などを紹介

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相続税の延納と物納の仕方などを紹介

被相続人から相続した財産については、一定額以上であれば期限内に申告・納付する必要があります。
期限まで申告しないでいると延滞税など、ペナルティを課せられますので気をつけなければいけません。
相続税の延納と物納の仕方などを紹介します。

1)延納に必要な条件

延納に必要な条件?
延納制度について

被相続人から相続する財産について、そのほとんどが家や土地などの不動産の場合は、手続きに時間がかかることが多くなります。
何故なら相続した不動産を売却してそれを現金化するためには、ある程度の時間が必要となるからです。
そのため場合によっては、期限までに現金を用意できないこともあるでしょう。

そんなときに利用できるのが、延納の制度です。
相続税の延納が認められると、ローンと同じように相続税額を分割して納めることができます。
また手元にある相続財産のうち預貯金や現金などで相続税の一部を支払い、残りの分についての延納申請も可能です。

相続税の延納はとても便利な制度ですが、制度を利用するには以下の条件を満たす必要があります。

延納申請時の担保として認められているものは、国債、地方債、社債、その他の有価証券、土地、建物、立木、自動車、船舶、機械、財団などです。
不動産については、対象物件が既に他の債務の担保となっており、その他に適当な財産がない場合などに限って非上場の株式も担保にできることがあります。

延納時にかかる利子税

延納期間にかかる利子税というのは、いわゆる住宅ローンなどでいう利子に当たります。
そのため延納した相続税額を支払う度に、一定の利子税を支払うことになります。
利子税の具体的な割合については、実際に相続した遺産額などによって変わってきます。
分割による延納税額を毎年支払えば相続税の総額は減少していき、それに伴って利子の額も少しずつ減っていきます。

例えば利子税2.0%、延納税額が1000万円の場合に、毎年100万円ずつ分納した場合は次のようになります。
○1年目は、元本100万円、利子税額1000万円×0.02=10万円 ○2年目は、元本100万円、利子税額800万円×0.02=16万円 ○3年目は元本100万円、利子税額700万円×0.02=14万円 以上のように年々納付額は減っていき、住宅ローンのような繰上げ返済をすれば、その年数分の利子税を節約できます。
なお相続税の申告・納付が期限内にできなかった場合は延滞税を課せられますが、これは利子税とは異なりますので注意しましょう。

利子税の特例制度

現在は超低金利時代でもあり、銀行の金利は非常に低くなっています。
それに伴い、利子税にも特例制度が設けられています。
これは国内にある銀行の貸出約定平均金利に1%を加算した割合、つまり特例基準割合が年7.3%以下であれば通常と比べて低い税率が適用されます。
計算式は、【延納利子税割合(年割合)× 延納特例基準割合÷7.3%=特例適用後の利子税】です。

贈与税の延納制度

相続税と同じように、贈与税にも延納制度があります。
贈与税の場合は、贈与税を一括で納めるのが困難な場合に延納制度を利用できます。
制度の仕組みは相続税とあまり変わりませんが、相続税の場合は異なる点がありますので押さえておきましょう。
贈与税と相続税の延納制度の内容はほとんど同じですが、申告期限や要件が異なりますので、申告や納付をする際は注意する必要があります。
贈与税の納付期限は、暦年課税と相続時精算課税のいずれの場合も申告期限と同じ3月15日です。
また贈与税は税務署だけでなく、金融機関や郵便局の窓口での納付も可能です。

そして要件については、以下のことが挙げられます。
贈与税は次の要件を満たすと、最長で5年間は税金を延納できます。

担保を提供する基準について相続税は50万円であるのに対して、贈与税の場合は100万円となっています。

2)物納に必要な条件

物納に必要な条件

相続税は現金での括納付が原則となっていますが、一括で支払えない場合は延納による分割納付も可能です。
そして延納分を金銭で納付できない場合は、相続財産そのもので納付することができる、いわゆる物納もできるようになっています。

相続税の物納が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

物納できる財産・物納できない財産

相続税で物納できる財産は、相続税における課税価格の計算の基になったものである必要があります。
これはつまり遺産として相続した財産ということであり、しかもその不動産は日本国内にあるものに限られます。
そのため元々自分名義で保有していた土地や建物についての物納は認められていませんし、さらに海外にある土地や建物を相続した場合であっても、その土地や建物は対象にはなりませんので注意しておきましょう。

物納できる財産の優先順位

物納できる不動産などは優先順位がありますので、確認しておくことが大切です。
第1順位は、国債、地方債、不動産、船舶です。
なお平成29年度の税制改正により、上場されている有価証券も対象になりました。
第2順位は、社債や株式などの有価証券です。
第3順位は、テレビやパソコン、スマートフォンやタブレット端末などの動産、いわゆる不動産以外の財産になります。
優先順位が決まっていますので、不動産や国債がある場合はまずそちらから処分することになります。
手元に不動産を残し、動産だけで支払うことはできないのです。

3)延納・物納を変更したいとき

相続税を延納する場合は、延納から物納への切り替えができます。
延納というのは相続税の分割払いのことであり、その分割払い(延納)から現物納付である物納への変更は可能です。
そしてこれが「特定物納」になり、この場合は延納による未払額の範囲内で物納の申請を行うことになります。
特定物納は、相続税の申告期限より10年以内でないと切り換えの手続きはできません。

物納は金銭納税が困難である理由がないと却下され、その却下された物件は1回に限って再申請が可能です。
特定物納が却下された際は延納中の状態に戻りますので、そのときは特定物納の申請をすることが可能です。
ここが普通の物納とは異なる点になります。
特定物納については、専門家に相談した方がいいでしょう。

相続税に必要な額を期限までに現金を用意できない場合には、延納の制度を利用できます。
ただ延納には利子税がかかりますので、注意する必要があります。
その他の相続税については物納も可能ですので、現金がない方は検討して専門家に相談をするといいでしょう。

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