末期の水の紹介

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末期の水の紹介

亡くなった人の口元を水で潤す行為を「末期の水」と言いますが、基本的に仏教で行われることであり、宗教や宗派などによっても意味や方法が異なります。
葬儀で行うこともありますので、その方法などを把握しておくと分かりやすいでしょう。
この末期の水がどのようなものかを紹介します。

1)末期の水の意味や理由。末期の水とは?

意味や理由

末期の水というのは、亡くなった人の口元を、水で潤す行為のことです。
「死に水をとる」というものもありますが、これも末期の水と大体同じ意味になります。
かつては臨終の際に家族などの身内が行っていましたが、現在では亡くなった人に対して、箸に脱脂綿などを巻き付けて行うことが多いです。
脱脂綿に水を含ませて口元を軽く湿らせるようにして行いますが、箸の代わりに筆や樒などを使用するところもあるようです。
末期の水にはそれぞれ順番があり、喪主からスタートして血縁の深い者から順番に行います。
以上は自宅で亡くなった場合ですが、病院で亡くなった際は看護婦さんが末期の水をしてくれるところもあります。

それでは何故この「末期の水」というものを行うようになったのでしょうか? 末期の水というのはお釈迦様が亡くなる際に、その喉の渇きを潤すために浄水を与えたのが始まりだと言われています。
亡くなった後に「もう一度水を飲みに戻ってきてもらいたい」という気持ちや、「あの世に旅立つ際に喉が渇かないように」という思いが込められています。
死に水をとるという行為は末期の水のお世話をするという意味でもありますが、それから転じ死ぬまで面倒を見る、という意味も表しています。
つまりは末期の水には、様々な意味があるのです。

2)浄土真宗では末期の水をしない?なぜ?宗派によるの?

浄土真宗では末期の水を行わない

お葬式で末期の水を行うこともありますが、浄土真宗では末期の水を行わないと言います。
それは宗派の違いという理由があります。
末期の水という行為は、お釈迦様の入滅に関係しています。
お釈迦様が亡くなる際に「お口が渇いたので水を持ってきてもらいたい」と求めたのが最初、と言われています。
お水を飲んだ後に、あの世に安らかに旅立ちました。
人はいつかは誰もが死を迎えますが、やがて死にゆく人たちの喉を潤したいとの想いから、末期の水の儀式が行われるようになったのです。

一方で浄土真宗やキリスト教などでは、そのような儀式は行われていません。
仏教には亡くなるとそのまま成仏するという教えがあるため、その教義を掲げる浄土真宗では末期の水という儀式は行っていないのです。
同様にキリスト教は死を安息の場としていますので、末期の水は行っていません。
宗教によっての違いは解かりますが、実際に同じ仏教であっても宗派によって考え方は異なるのです。

末期の水以外の行為

浄土真宗では末期の水の儀式は行っていませんが、それ以外の行為が存在します。

浄土真宗の「死」

浄土真宗ではすべての人が、阿彌陀佛の信仰を持つことで自然に救われる、という教えがあります。
これは「絶対他力」という、他力本願の教えでもあります。
そのため仏教でよく見れる宗教儀式や行事、加持祈祷などをしないのが特徴です。
ただ絶対の力を重視していますので、他の宗教と比べて御本尊の祀り方についてはより厳しい面を持っています。

死装束について

お葬式では亡くなった方は死装束を身に付けますが、浄土真宗では湯灌の後に死装束は着せません。
浄土真宗の湯灌の儀式ではタライなどにお湯を入れ、体をキレイに拭いた後に衣服を着せて布団に寝かせるのが一般的です。
あの世に旅立つ際は死装束の白服一式になりますが、手や甲には足袋などは付けません。
浄土真宗では人が亡くなった後はすぐに極楽浄土に辿り着く、というのが教えになっているからです。
ですので他の宗教のような旅支度をする必要はなく、故人の顔だけに白布をかけています。

寝ずの番について

浄土真宗には今生の死が永遠の別れではなく、将来的に極楽浄土で再会できると言われています。
またお通夜では、故人のことを思い出したり懐かしんだりして一夜を過ごします。

お線香について

お葬式ではお線香を使用しますが、浄土真宗ではお線香を用いる習慣がありません。
お通夜では一晩煙を絶やさないためにお線香などを用いますが、浄土真宗ではそのような風習はなく、火を灯したろうそくが燃え尽きると葬儀のためにその日はそのまま休みます。
ちなみに浄土真宗ではお線香ではなく、お焼香のみを行います。

浄土真宗のお焼香の仕方は以下の通りです。

通常は49日の忌明け法要が終わった後に仏壇を設置しますが、浄土真宗では本位牌は設置しません。

3)死に水をとる順序と作法

順序と作法
末期の水をとる順番

末期の水の基本的な順番は、以下の通りです。

家族の臨終に立ち会った人全員が、上記の順番で故人の口に水で湿らせていきます。
基本的には、故人と血縁が近い順番で行います。
最初は配偶者からスタートし、故人の子供や両親、兄弟姉妹、子供の配偶者や孫の順番に行うのが一般的です

ただ子供については、その年齢にも配慮する必要があります。
小さい子供にまで無理に行為をさせる必要はありませんので、状況を見て判断するといいでしょう。
末期の水は故人の喉の渇きを潤すという意味がありますが、だからと言ってお口の中に無理やり水を入れるのは厳禁です。
実際に行う際は箸に巻いた脱脂綿を唇に軽く当てて、お口の表面を濡らす程度で問題ありません。

末期の水の具体的な作法

それぞれの家庭で行為は異なりますが、一般的には病院で臨終を告げられた後や、故人が自宅に戻って安置された後に行うことが多いです。
そしてその場に家族が揃っていないときは、全員が揃うのを待ってから行うこともあります。
お水については割り箸の先にガーゼや脱脂綿などを巻き、それに少量の水を含ませて故人のお口を湿らせます。
実際は脱脂綿を使用することが多いですが、脱脂綿の代わりに菊の端、シキミ、鳥の羽などを使用するところもあります。

また筆を使用する際は、筆の先などを水で浸して行います。
具体的な当て方としては、お口の左から右へなぞるような感じで、上唇から下唇の順で湿らせていきます。
そしてすべての行為が終わったら、最後は故人の顔をキレイに拭いてあげます。
故人のお口に水を含ませる行為は、他に「末期の水をとる」や「死に水をとる」など、様々な呼び方があります。
呼び方は異なりますが内容は同じです。
病院で亡くなった場合はスタッフが用意をしてくれますが、自宅で亡くなった際は担当医や葬儀会社のスタッフが教えてくれることもあるようです。
ただ人によってその内容が異なることもありますので、できれば自身で理解しておくと良いでしょう。
その方法を理解しておけば、当日も慌てることがないでしょう。

家族が亡くなった際に、末期の水の儀式を行う方もいるでしょう。
末期の水の意味や理由、作法について理解しておくことで慌てることなく進めることができます。
宗教や宗派によってその方法は変わりますので、余計なことに気を回さなくても済むように事前に知っておくことはとても重要です。

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