合同会社の決算を自力でやりますか?

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合同会社の決算を自力でやりますか?

合同会社も決算は必須です!

合同会社も決算は必須

合同会社は、株式会社よりも設立するのは簡単です。
だからといって、決算をしなくてもよいわけではありません。
時々「えっ!決算はしなくてもいいんじゃないの?」と驚かれることがありますが…。
いやいや、そんな話はありません。
そういうことを言う合同会社の経営者の方は、合同会社は決算公告をする必要は無いという事実を、都合よく、決算はしなくてもよいと勘違いされているようです。

さあ、ここで認識を改めておきましょう。

合同会社には、株式会社と同様に、決算をする義務があるのです。

今更聞けない、合同会社の決算についての基礎知識

合同会社設立の際に定款を作りましたね、覚えていますか。

定款には事業年度を定めました。
日本の会社の多くは、4月から翌年の3月までを一つの事業年度とすることが多いのですが、この場合は3月というのが決算月となります。
合同会社はじめ株式会社にとっても、3月・4月の決算期は大変忙しい時期になります。

合同会社の事業年度を変更したい場合は、定款に別の定めがあればそれに従いますが、原則は総社員の同意をもって、定款を変更することができます。
事業年度の変更は、登記事項ではないので、登記の変更は不要です。

そして決算をし終えた後に、承認を得る必要はありません。
ここは株式会社と、大きく異なるところです。
更に合同会社には、決算公告さえも義務化されていないのです。

したがって合同会社では、決算書類を作れば基本的に決算自体は終了ということになります。
会計書類は、10年間は保存しなければなりません。
税務署の調査などがあると、11年とか12年は保存して欲しいと言われることがありますが、作成してから10年を過ぎた書類の保存義務はありません。

最終的には、決算書類をベースにして、確定申告書類を作成し、納税事務を行うことになります。

但し、一点大事なことがあります。
実は納税額を確定しなければ、決算書類は完成していないということです。
決算月の一か月後に税務署や自治体から確定申告書が送られてきます。
毎年国税庁のホームページに、「法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引」が掲載されるので、これをみて法人税から順に納税額を確定させることになるのです。

そこでようやく、「未払い法人税」の仕訳が確定するので、正確にはこの時点で決算が終了ということになります。

余談的なお話ですが、合同会社の決算期に次のような疑問を抱き、心配になってしまう方が少なからずいます。
それは、定款の条文に「当会社の公告は、官報に掲載してする。」と書いてあるのを確認し、決算の公告が必要になるのではないかというものです。

確認しますが、合同会社では決算公告すべき義務はありません。
これは間違っていません。

しかし、例えば合併や分割(事業譲渡)、減資を行うような場合、債権者に向けた異議申述等の公告をしなければならないのです。
そこで、先ほどのような公告の条文が存在するのです。
決して「決算の公告」とは書かれていないはずですから、今一度ご確認いただくと、安心できるはずですよ。

経理業務は、なんとかなる?

合同会社の決算は、はっきり言って、日々の経理作業の積み重ねです。

個人事業主から会社成りをして合同会社を作り、日々売り上げを増やすために努力している経営者の方、経理作業を忘れていませんか?個人事業主のときのような感覚では、正直大変なことになりかねません。

また、脱サラして合同会社を作った方のうち、経理作業の経験がない方も、日々の経理作業を疎かにしていては、後でとんでもないことになりかねません。

合同会社を作ったから後は稼ぐだけだと全速力で走り回り、経理なんか後でやればいいやと思っていたら、あっという間に決算期を迎えることになります。
そして、決算月になってから頭を抱え、顔面蒼白になるのです。
経理のセンスがある方は、それでもまだ何とかなるのかもしれません。

しかしそれでも決算期は、一切の営業ができなくなってしまうでしょう。
まさに開店休業状態です。
そんな状態で合同会社として機能するのか、甚だ疑問です。

健全な営業と社会的信用を失わないためにも、無事に決算を終えられるように、日頃準備しておくことが大切なのです。

合同会社が用意すべき会計帳簿

決算のキモは、会計帳簿をちゃんと作っていくことです。

会計帳簿には様々なものがあります。

主要簿と言われるものに、「仕訳帳」と「総勘定元帳」があります。

日々の取引を仕訳帳に記録し、それを総勘定元帳に転記するのです。

また補助簿と言われるものに、下記のものがあります。

補助簿は、総勘定元帳に記載しきれない、具体的な取引内容を記録していくことになります。
しかし補助簿は、あくまで「補助」という機能ですから、合同会社によっては補助簿を一切作っていないということも、可能性としてあり得ます。

つまり絶対的に必要な会計帳簿は、主要簿と言われる「仕訳帳」と「総勘定元帳」なのです。

そう言ってしまうと、「なんだ、用意するのはそれだけなの?」と思われた方が多いのではないでしょうか。

そういう方はおそらく、経理業務についてほぼ何も知らない方だと思われます。
そういう方こそ特に、この記事を最後までしっかりと読まれることを願っております。
なぜなら、日々の取引すべてを正確に仕訳帳に記録するだけで、相当な時間を必要とするからです。
簿記の知識がなければ、勘定科目を確認しながら作業をするのですから、最初は特に大変です。

更に日々の取引を仕訳帳に記録し、それを総勘定元帳にまとめることそのものが、最終目的ではありません。
たくさんの時間を費やして作った総勘定元帳は、「貸借対照表」と「損益計算書」といった決算書類を作るための基礎資料に過ぎないのです。

合同会社の決算月にやらねばならない会計処理

日々の取引における会計処理を積み重ねたならば、決算月には更にすべきことが待っているのです。
それを確認しておきましょう。

①仕入れ在庫や販売商品の在庫がある場合

期末(決算月末)の数を実際に数えて(「棚卸」と言います)、金額に換算します。
このときの棚卸資産の評価方法には、「最終仕入原価法」、「個別法」、「先入先出法」、「総平均法」、「移動平均法」、「低価法」などがありますが、実際には「最終仕入原価法」を採用するのが普通のことのようになっています。
評価方法については、届出が必要なので忘れないように気を付けましょう。

②減価償却資産がある場合

資産価値を数年にわたって経費計上できる(減価償却)資産、例えば機械装置、車両、パソコン、特許権、営業権のようなものです。一般的に定額法といわれる方法で、決算月に一括して計上すれば問題ありません。減価償却できる年数は耐用年数表を参考とします。
固定資産台帳に記録することを忘れないようにしましょう。

③貸倒引当金を計上する場合

損失を出してしまったというときに備える必要経費です。
決算月の売掛金などの残高に5.5%をかけた金額を計上するのですが、その分を所得から引くことになります。
翌年は所得に戻し、また決算月に改めて引当金を計上し直すのです。
取引先が会社更生法の更生計画認可の決定を受けたときは、債権の50%を計上できます。
この場合、「個別評価による貸倒引当金に関する明細書」を確定申告書類と一緒に提出しなければなりません。

④開業費や開発費がある場合

開業費や開発費は繰延資産と言い、原則5年で償却しますが、自分で決めた期間で償却することも可能です。
つまり1年でもいいし、10年でも構わないことになります。
どちらにしても固定資産台帳に記録することを忘れないようにしましょう。
その他の繰延資産の種類と償却期間は国税局のホームページで確認できます。

⑤退職金給付引当金を計上する場合

もしも従業員を雇っているような場合で、青色申告かつ退職給与規定があるような場合には、従業員の退職金給付に備えることができます。
「退職給与引当金に関する明細」を確定申告書類と一緒に提出しなければなりません。

合同会社の決算に必要な会計帳簿

日々の取引においての仕訳帳と総勘定元帳、そして決算月の会計処理をご理解いただけたと思います。
では次に、いよいよ決算で作成すべき会計帳簿を確認していきましょう。

以下、6つの会計帳簿について概略を説明しておきます。「5」・「6」については、正確には法人税申告の際の添付書類ですが、決算書類として認識しておく方が後々楽だと思いますので、あえてここに取り上げておきました。

1.貸借対照表

バランスシート(BS)と言われることが多い帳簿です。左側の「借方(資産)」と右側の「貸方(負債と純資産)」の数字が一致するために、そのように言われます。

2.損益計算書

収益と経費の状態を表すための帳簿です。「P/L」 と省略して表現されることがあります。

3.社員資本等変動計画書

社員資本(資本金、出資金申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金)について、前期末からどのように変動したのかを表すものであり、変動事由ごとに当期変動額及び変動事由を明記します。

4.個別注記表

重要な会計方針に関する注記や各帳簿に記載されている注記を、1つの書面にまとめた書類のことです。

5.勘定科目内訳明細書

貸借対照表や損益計算書の勘定科目毎の内訳を記載した明細書です。

6.法人事業概況説明書

事業内容、支店・海外取引状況、期末従業員等の状況、コンピューターの利用状況、主要な勘定科目などを記載します。

これだけの帳簿を用意するためには、日々の経理作業がしっかりとできていないと大変だということが、お分かりいただけるでしょう。
日々何もせずにいて、2日、3日で何とかしようと思っても、そう簡単に何とかなるものではないのです。

注)「1」・「2」・「5」についてはExcelで作成する方が多いと思います。
法人税の申告を電子申請される場合、ExcelデータをPDFにしても提出できません。
別途、郵送することになります。

合同会社の決算は自力でするか、専門家に任せるか

合同会社の日々の取引を記録する仕訳帳、それをまとめる総勘定元帳、そして決算月特有の会計処理をした後に用意するのが、決算のために作る6種類の帳簿。
これらが最低限合同会社の決算書類として必要なのです。

「これは大変だぞ!?」と頭を抱えている方も、少なからずおられることでしょう。
素人が一からそんな作業をやれるのか、と思われるのも当然です。

しかし結論から言いますと、できないことはありません。

時間はかかりますが、慣れればその時間も多少短縮されるでしょう。
さらに最近のクラウド型会計ソフトは手頃な費用で利用でき、しかも入力もかなり簡単になってきました。
そのようなソフトを使って自分でやるという選択肢もあるのです。
決算に必要な書類もほぼ自動的に作ることができます。
というよりも、自分でやる場合には、このような会計ソフトを是非とも使われることをお勧めします。

ただし、合同会社の多くは「一人会社」だと思われますから、時間とマネーコストとのかね合いということになるのではないでしょうか。

経理作業にどれだけの時間を割くことができるのか、その時間を営業に費やした場合と比較してどちらの方の効率がよいのか、という検討になるかと思われます。

「深夜の時間を利用して、経理作業をすればいいから大丈夫」、「経理作業という不慣れなものに時間を割くのならば、マーケティングや対面営業などに時間を費やす方がよい」、というような様々な意見があって当然です。
その中で、自分ならどうするかという答えを出せばよいのです。

専門家に依頼するとなると、二つのパターンが考えられます。

1.税理士に依頼する

月々2万円前後からの報酬で、会計帳簿の作成を請け負ってくれるはずです。
決算のときには、12万円前後の費用が別途必要ですから、年間合計約36万円のコストがかかります。

しかし何と言っても、税金のプロですから、税金の申告までお任せでき、大きな安心感を得ることができます。

2.会計記帳代行を依頼する

民間の会社や行政書士などが、記帳代行として請け負ってくれるサービスです。
税理士ではないので、税金に関するアドバイス等はありませんし、税金の申告も自分ですることになります。
ただ、帳簿類は作成してくれますので、後は納税申告の際に多少自分で頑張れば決算が完了するということになります。

コスト的には、税理士の場合の三分の一前後くらいが相場だと思われます。

『合同会社の決算を自力でやりますか?』まとめ

合同会社の決算は、クラウド型の会計ソフトを使うことで、かなりスムーズにできるようになりました。
肝心なことは、日頃から仕訳入力をちゃんとしておくことです。
その積み重ねが決算となるからです。
それがやれる経営者の方は、自力で決算を終えることができるでしょう。
残念ながらそうでない方は、無理して不正確な決算書類を作るよりは専門家に頼んでしまった方がよいのではないでしょうか。

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