墓じまいのメリットとデメリット

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墓じまいのメリットとデメリット

「お墓を管理する人間がいない」、「孫の世代まで負担を掛けたくない」など、墓じまいを選ぶ理由は人によって様々です。
墓じまいにはそうした問題を解決するメリットが多い半面、デメリットもありますので理解しておかなければなりません。
実際にどのようなものがあるのでしょうか?

墓じまいのメリット・デメリット

墓じまいのメリット・デメリット

墓じまいにはメリットとデメリットがありますので、事前に把握するようにしましょう。

メリットその1「お墓が無縁になるのを防止できる」

墓じまいのメリットの一つに、お墓が無縁になるのを防げる点が挙げられます。
お墓を管理すべき人間が遠方地にいることで定期的な墓参りが困難な場合には、既存のお墓が無縁墓になる可能性があります。
無縁墓はご先祖様に対して申し訳ないことですので、できれば避けたいものです。
中には、墓じまいそのものをご先祖様に申し訳ない、と思う方もいるようです。
しかし墓参りができずにそのまま無縁墓にするよりも、身近な場所に移動してきちんと供養する方が、ご先祖様はもちろん遺族や親族にとっても良いという考え方もあるのです。
それぞれの価値観の違いもありますが、お墓が無縁墓になるとお墓の管理者などに迷惑が掛かります。
そのため墓じまいという決断も、選択肢の一つではないかと思います。

メリットその2「管理費を支払わなくて良い」

管理費が不要になることも、墓じまいのメリットと言えます。
現在のお墓をそのまま維持するためには、菩提寺などに年間管理費を支払う必要があります。
寺院や霊園などによっても異なりますが、1年間に掛かる管理費は1~2万円程度が相場と言われています。
お墓を維持していくには管理費を毎年支払い続ける必要があり、年数によってはかなりの負担になります。
一方で、墓じまいをすればその後の管理費は必要なくなりますので、次世代に大きな負担を掛けずに済みます。

デメリットその1「遺族や親族の理解が得られないことがある」

墓じまいをする際には、事前に遺族や親族と協議して決めるのが一般的です。
遺族や親族全てが同意すれば問題ありませんが、一人でも理解が得られなければ、その後の話し合いが難航することが予想されます。
話し合いの末に理解が得られればまだ良いですが、結局墓じまい自体が危うくなる可能性もあります。
それぞれに考えがあるとは思いますが、「先祖代々のお墓は何があっても守っていくべきだ」という考えを持つ親族が多いときには注意が必要です。
その場合は、墓じまいのメリットや「お墓を管理できる方が誰もいない」、「このままの状態では無縁墓になってしまう」など、現在や将来の状況を説明して全員に納得してもらうように努めましょう。
墓じまいの必要性を丁寧に説明すれば、分かってもらえると思います。

デメリットその2「多額の離檀料を請求されることがある」

菩提寺の中には、お墓を移転する際に多額の離檀料を請求するところがあります。
離檀料は各寺が独自に規定していることもあり、墓じまいをする前に規定の金額を支払うことになります。
もちろん法外な金額であれば払う必要はありませんが、最初の契約の段階で離檀料のことを承認して納得しているのであれば、支払い義務が生じます。
実際に多額の離檀料を請求され、トラブルに発展したケースもあるのです。
お寺側の「檀家を引き留めたい」という強い思いが、法外な離檀料という形で出てくる恐れがありますので注意しておきましょう。

墓じまいの件数推移

墓じまいの件数推移

墓じまいを行う方が増えていると言われていますが、実際にはどれくらいの方が行っているのでしょうか。
厚生労働省が発表している統計データ、「衛生行政報告例」を参考にすると分かります。
統計データの中に「無縁墳墓等の改葬」に関する数値があります。
これはつまりお墓の承継者に不在や連絡がつかないため、無縁墓を撤去して遺骨を共同供養塔などに納骨した事例のことを示しています。
2007~2016年度の10年間で見ると35,383件あり、これを1年の平均にすると約3,500件という数字になります。
承継者不在のお墓は、たとえ永代使用料などを支払っていたとしても将来的には無縁仏になり、そこに納骨していた遺骨は永代供養塔など、他人の遺骨と一緒に合祀されることになります。
改葬については2007年度は73,924件、2016年度になると97,317件とかなり増えていることが分かります。
そのため今後も墓じまいや改葬は、増加することが予想されているのです。

墓じまいに香典は必要?

お通夜やお葬式、法要などに参列する際は香典を用意しますが、墓じまいの場合はどうするべきなのでしょうか? 気になる点でもありますが、結論から言うと、墓じまいに香典は必要ありません。
香典というのはお通夜やお葬式、告別式の場で遺族に渡すものであり、墓じまいとは元来趣旨が異なるからです。

しかし閉眼供養などを行う際には、菩提寺の僧侶にお布施として渡すお金が必要になります。
墓じまいではお寺の住職から閉眼供養、つまり魂抜きやお性根抜きなどをしてもらうのが一般的です。
さらに墓じまいが終わった後、他の場所にお墓を移動する改葬を行う際にも、新しいお墓に霊魂を入れる儀式である「開眼供養」が必要です。
この開眼供養についても住職に読経してもらいますので、別途お布施が必要となるということは覚えておきましょう。

墓じまいを親族に反対されたら?

墓じまいを行う際に、親族から反対されることもあるかもしれません。
先祖代々のお墓をこれからも守っていきたいなど、それぞれの人に考え方がありますので仕方がないでしょう。
他の遺族や親族の方々から墓じまいを反対されることは、決して珍しいパターンではありません。
そのようなときには、墓じまいが必要であることをしっかり説明して、皆に納得してもらうことが大切です。
反対する方が一人でもいると、たとえ強引に実行したとしても、後々のトラブルに発展することは目に見えています。
そうならないように、きちんと説明して全員に納得してもらうようにしましょう。

墓じまいがおすすめな方

墓じまいはどのような方に合うのかですが、以下のどれかに当てはまる場合は、墓じまいを検討するのも良いかもしれません。
「お寺との相性が良くない」、「お墓を管理できる親族がいない」、「先祖をより身近に感じていたい」などが挙げられます。
様々な問題がありますが、お寺や遺族、親族を上手く説得できれば、墓じまいはそう難しくはないと思います。

墓じまいが難航する可能性があるケース

以下に該当する方は、墓じまいが難航する恐れがあります。
「お寺と疎遠になっており、コミュニケーションをしたことがない」、「お墓を管理している方が親族にいる」などです。
お寺とのコミュニケーションが上手くいかない場合や、伝統ある由緒正しいお寺などの場合は、多額の離檀料を要求される恐れもありますので注意しておきましょう。

現在、墓じまいの件数は増えていて、今後も増加することが予想されています。
ただ墓じまいにはメリットばかりでなくデメリットもありますので、それぞれを加味して総合的に判断することが望ましいでしょう。
墓じまいで閉眼、開眼供養などを行う場合には、僧侶へのお布施が必要になります。
また後々のトラブルを避けるためにも、墓じまいに関して親族一同に誠意を持った説明をして、理解を得ることが大切です。

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