法律の定めよりも個人や相続人の考えで相続したいと考える人もいる

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法律の定めよりも個人や相続人の考えで相続したいと考える人もいる

被相続人の死亡によって相続が開始されますが、特に遺言書がない場合は法律の規定に従って手続きが進行することになります。
故人の明確な意思がない場合に適用されるのが、民法上の相続の規定です。
ただ遺族の中には、法律の定めよりも個人や相続人の考えで相続したいと考える人もいるはずです。
そのような場合はどうなるのでしょう?

1)法律の定めよりも個人・相続人の考えで

個人・相続人の考え?

被相続人が生前に遺言書を作成していれば、その本人が死亡したときは遺言書の内容に沿って、相続の手続きが行われることになります。
民法では第五編に「相続」に関する規定がされており、これらを総称して相続法と呼んでいます。
民法というのは、私たちの日常的な生活に関して規定された法律になりますが、中でも相続法には人の死によって発生する遺産相続に関する事柄を規定しています。

通常は現金、預金、不動産などの私的財産を有しています。
それを有する人が死亡すると、生前に蓄えた私的財産をあの世まで持っていくことはできません。
そのため残った財産は、この世の中で暮らしている人たちが受け継ぐことになり、そのときに行われるのが相続になります。
相続という言葉を聞くと相続税などをイメージする人もいると思いますが、被相続人が死亡すると必ず発生するのが相続です。
これは日本に住むすべての人が対象であり、生活が裕福な人であっても貧しい方あっても同じです。
毎日生活していればいくらかのお金は持っていますし、住んでいる住宅があれば様々な生活用品もありますので、必然的に相続が発生します。

昔の日本は家制度が確立していたこともあり、その家の長男がすべての財産を受け継ぐのが当たり前という風潮がありました。
すべての家がそうとは限りませんが慣習となっているところも多く、誰もがそれを当たり前のこととして受け止めていたようです。
そのような背景もあり、たとえ遺言書のない相続であっても、特に大きな問題になることはありませんでした。
しかし核家族化が進んだ現在、子供が複数人いる家庭の場合は各自が平等に相続するのが一般的になっています。

遺言書がない場合は法律の規定によって遺産分割が行われますので、その過程で様々な問題やトラブルなどが発生することが増えています。
通常は日常生活で利用している額より遥かに大きな金額になることも多く、民法のような法律的な規定がないと大きなトラブルに発展する恐れもあります。
ちなみに相続法は、大きく相続と遺言に関する部分とに分かれます。
その相続については、総則、相続人、相続の効力、相続の承認および放棄、財産分離、相続人の不存在、遺留分の規定に分かれています。

また相続については、配偶者、親子、養子といった家族の規定がありますが、これらは民法第四編の「親族」の中に規定されています。
いわゆる家族法と呼ばれるのが、この法律になります。
現代では民法上の相続法が大きな役割を果たしていますが、法律の規定よりも個人や相続人の考えでしたいという方が多いのも事実です。
そのため相続が発生した際は、故人の遺言書がないかしっかり確認しておくことが大切です。

2)問題があった場合「法定相続分」が登場

法定相続分?

相続を行う際に遺言書などがなく、様々な問題があった際に適用されるのが法定相続分になります。
相続については民法が定めていますが、この法律の基本的概念に故人の意思の尊重があります。
被相続人が死亡した際に故人の遺言がある場合は、残された遺族はその故人の遺言を無視することはできません。
そのようなことから相続に関する法律の規定には、故人の意思を尊重するような考え方も存在します。
法定相続分では民法上の規定によって、関係者それぞれの相続分が確定されます。
ですので特に故人の遺言書がない場合で揉めそうなときは、法定相続分も加味して考えておく必要があるでしょう。

3)相続財産に対する相続人各自の分け前

被相続人が死亡した後、相続を行う際は民法の規定に沿って行われます。
民法900条では、遺言による相続分の指定がないときは法定相続分による旨を規定しています。
この場合、被相続人の血族について以下のような順番で行われます。

以上の順番で相続を行い、被相続人の配偶者は常に相続人です。
なお被相続人の血族に相続人になるべき者がいれば、その者と同じ順位になります。
そして範囲内において相続人が複数人いる場合は、その法定相続分は以下の形が規定されます。

子や配偶者が相続人のとき

子の相続分、配偶者の相続分はそれぞれ2分の1、子が数人いるときはそれぞれの相続分は平等です。

配偶者や直系尊属が相続人でいるとき

この場合は配偶者の相続分が3分の2、そして直系尊属の相続分が3分の1になります。
そして直系尊属が数人いるときは各自の相続分はそれぞれ平等で、直系尊属の場合は生存する人だけが相続人になれます。

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるとき

この場合は配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。
兄弟姉妹が複数人いる際は、各自の相続分は平等になりますが、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹の相続分については、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。
そして被相続人に配偶者がいない場合も子や直系尊属、兄弟姉妹が複数人いる場合は、それぞれの相続分は平等になります。
ただ父母の一方だけが同じ兄弟姉妹の相続分については、父母の双方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1です。

代襲相続人の相続分については、その直系尊属が受けるべき額と同じであり、代襲相続人である直系卑属が数人いるときは、それぞれの直系尊属が受けるべきであった場合について民法900条の規定に沿って額が定まります。
ここで注意する必要があるのが非嫡出子です。
非嫡出子の相続分については900条4号の規定により、嫡出子の相続分の2分の1と規定されていました。
しかし2013年9月に、婚外子「非嫡出子」の相続分が違憲である旨の判断を最高裁判所が下したことで、2013年12月に民法の一部が改正されました。
その結果、900条4号は削除されました。
この改正後の規定は、2013年9月以後に始まった相続について適用するものとされています。

以上のように法律によって相続人各自の分け前が定まっていますので、自分がどの程度になるのかが気になる人は、前以って計算してみましょう。
計算についてネットでも簡単にできますので、そちらで確認してみましょう。
また相続に詳しい法律の専門家に相談することが、最も望ましい方法と言えます。
弁護士や司法書士、行政書士の中には相続を専門に取り扱っている人もいますので、適切なアドバイスをしてもらえるはずです。

法定相続については色々と複雑な点も多いため、法律の知識がない素人の方は計算間違いをすることも十分に考えられます。
自分の相続分について正確な数字を把握する必要がありますので、法律に自信がない方は法律の専門家などへの相談をおすすめします。

被相続人の死亡によって相続は開始されますが、相続問題についてはトラブルが多いのも事実です。
遺言書がある場合とない場合、それぞれで何らかの問題が起こる可能性がありますので十分に注意しておきましょう。
また法律の定めによって相続する際は、その内容についての理解も必要になりますので、不安な方は法律の専門家の協力を仰いでもいいと思います。

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