遺言の執行について紹介

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遺言の執行について紹介

生前に被相続人が遺言書を作成している場合には、その遺言書に基づいて相続は行われることになります。
このときは遺言を執行する遺言執行者が中心となって行いますので、執行者となる方はその手続き内容を事前に知っておく必要があります。
その遺言の執行についてを紹介します。

1) 遺言の執行の権限

遺言の執行?
遺言執行者について

被相続人が作成した遺言書を執行する際に、必要となる立場が遺言執行者です。
法律上の遺言執行者とは、遺言に記載された内容を正確に実行させるために、必要な手続きなどを行う人のことを言います。
遺言を執行する者は、相続人の代表として様々な手続きを行う権限を持っています。
遺言執行者はとても重要な役割を担うことになりますので、実際に就任できる人も限定されるようなイメージがあります。
しかし法律的には、基本的に誰がなっても良いことになっています。

遺言執行者については、民法第1009条 で規定されています。
それによると「未成年者及び破産者は、遺言執行者になることができない」規定がされています。
要するに被相続人の財産の相続や遺贈をする際に、未成年者や破産者以外であれば誰でも遺言執行者になれる可能性があるということです。
また故人が遺言執行者として特定の人を指定した場合でも、その指定を受けた本人は拒否することが可能です。
遺言執行者が、遺言の効力が発生した際つまりは遺言者が死亡したときに、必ずしも判断能力を有しているとは限りません。

他にも様々なことが考えられますので、遺言書に記載された内容を確実に実行させたいのであれば、二次的な遺言執行者も選定しておくことも考えておく必要があります。
遺言の執行はその専門性も高く責任も重大ですので、選任する際は慎重に選ばなければなりません。
親族などに依頼するケースが多いですが、可能であれば弁護士や司法書士、行政書士などの法律の専門家への依頼が懸命と言えます。
法律の専門家であれば様々なケースに対応できますので、安心して任せることができるでしょう。
そして何かあったときの相談も可能になり、不安毎もその場で解決できることが大きなメリットとなります。

遺言執行者の権限について

遺言執行者は未成年者や破産者以外であれば誰でも就任できますが、その権限はどうなるのでしょう? その点について民法の中では、遺言執行者を「相続財産の管理や、その他の遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と規定しています。
従って、たとえ遺言書に遺言執行者としての権限を記載していなくても、遺言執行を行うのに必要な行為であれば、法律上当然のように行うことができることになります。

法律によって規定されていますので、執行者を選任する場合は相続人から遺言執行者に対する委任状の交付は必要はない、とされています。
そして遺言執行者に指定されて就任した後は、以下の手続きを行います。
民法上では「遺言執行者は遅滞なく、相続財産の目録を作成して相続人に交付する」旨を、第1011条第1項で規定しています。
その事務手続きについては、具体的に以下の3点になります。

ここで作成された書類については、遺言書の写しと一緒にすべての相続人に交付する必要があります。
遺言執行者は様々な手続きを行うことができますが、たとえ執行者であっても実務上は難しいものもあるでしょう。
特に貸金庫の開扉手続きや、遺言で死亡保険金の受取人を指定している場合の変更手続きなどです。
これらの手続きは、そのいずれもが親族間のトラブルに発展する可能性が高いからです。
実際にトラブルに発展した事例もありますので、遺言執行者は慎重に行う必要があります。

2)遺言執行者が必要となるもの

遺言執行者が必要となるもの

被相続人が作成した遺言書を執行する際に、必要とされるのが遺言執行者です。
この遺言執行者が必要となるのは、どのようなケースでしょうか? 遺言の執行については原則的に相続人や受遺者自身が行うことが可能ですので、必ずしも遺言執行者を選任する必要はありません。
ただ法律的には、必ず選任する必要がある事項を定めています。
民法上では、例外的に以下の場合には遺言執行者の選任を必要としています。

このように法律的に遺言執行者が必要となるケースもありますが、これらの事項は実際の相続実務ではあまり見かけることがありません。
ですが仮にこれらの手続きを行う場合は、遺言執行者を選任する必要がありますので注意しておく必要があります。
また遺言執行者を指定した方が良いケースとしては、以下のものがあります。

これ以外にもまだあるかもしれませんが、その場合は法律の専門家などに相談してみるといいでしょう。

3)遺言執行者の手続き

遺言書に記載された内容を執行する遺言執行者を選ぶ際には、その手続きを行う必要があります。
遺言執行者を選任するときは、家庭裁判所にその選任の申し立てを行います。
そして選任の申し立てができる者は相続人や受遺者、遺言者の債権者などの利害関係のある人になります。
実際の申し立て先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
以下が、選任手続きについてのまとめです。

申し立て人

利害関係人(相続人、受遺者、遺言者の債権者など)

申し立て先

被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所

手数料「関東地方」

収入印紙800円
切手1,927円(500円×2枚、80円×2枚、52円×1枚、10円×7枚、1円×5枚)
手数料については、それぞれの管轄裁判所によって異なる場合がありますので確認しておきましょう。

選任の申し立てに必要な書類について

遺言執行者を選任するときは、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所に申請することになります。
この場合は相続人だけでも申請は可能ですが、その後の手続きなども考慮すると弁護士や司法書士、行政書士など法律の専門家へ依頼する方が間違いはありません。
弁護士や司法書士などの専門家は家庭裁判所に提出する書類作成ができますので、遺言執行者の選任申し立て書類の作成も直接お願いできます。
その場合は申し立て書の作成だけでなく、被相続人の戸籍なども職権で取得できます。
また専門家が書類の作成に関与した場合は、そのまま専門家を遺言執行者に指定することも可能です。
なお遺言書に指定がないときは、その専門家を遺言執行者として家庭裁判所に申し立てすることになります。

被相続人が作成した遺言書を実行する場合は、遺言執行者を選任できます。
遺言執行者の選任は一部の法律行為を除いて任意となっていますが、後々のトラブルなどを考慮すると選任した方が良い場合もあります。
不明な点も出てくると思いますので不安な方は、法律の専門家へ相談をした方がいいでしょう。

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