故人が臓器提供・献体を希望していたらどうする?

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故人が臓器提供・献体を希望していたらどうする?

1)臓器提供の意思表示カードとは?

臓器提供の意思表示カード?

臓器提供意思表示カードとは、「私は自分が亡くなった後、ドナーとして臓器を提供します。」という本人の意思を表示するためのカードです。

現代の法律では本人が死亡し、医師に脳死と判断されたときに、臓器提供するためには「本人の文書による意思表示」が必要であると定められています。

その意思表示をするためのカードが臓器提供意思表示カードです。
そのため、このカードは臓器移植への臓器提供にあたって必要不可欠なものになっています。

専門家のワンポイントアドバイス!

現在、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードへの臓器提供意思表示欄設置が進んでいます。
そのため、先ずは臓器提供の意思を示せるのは、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードです。
その記載欄がない場合は、臓器提供の意思表示カードを入手するか、臓器提供の意思をWebで登録するかという以下の流れになります。

臓器提供意思表示カードはどこで手に入るか?

臓器提供意思表示カードは次の場所で入手可能です。

①各地方自治体の役所窓口、保健所、郵便局、運転免許試験所

各自治体にある保健課、福祉課に相談すれば貰うことができます。
意思表示カードであれば自分が臓器提供する意思を記入し、署名し携帯するようにします。

②コンビニエンスストア、書店、スーパーマーケット、銀行

一部のコンビニエンスストアや書店などでは、店舗内に臓器提供意思表示カードが設置されています。
自由に持って帰れるようにカード付きのリーフレットの形式で置かれていることが多いようです。

③インターネットによる登録

公益社団法人日本臓器移植ネットワークにアクセスすると「臓器提供意思表示登録」のページにアクセスすることが可能です。
手順としては、ネットで仮登録手続きを行い、その後郵送されてきたカードに臓器提供の意思と署名を行うというものです。

臓器提供意思表示カードの記載内容と記載方法

臓器提供意思表示カードの記載は次の通りです。

(1又は2を選んだ方で、臓器の中で提供したくない臓器があれば、その臓器に×をつけてください。)

①自分の意思に合う項目の番号を○で囲む
②臓器提供を選択した場合は、臓器の中で提供したくない臓器があれば、その臓器に×をつけます

なお、提供できる臓器は下記の通りです。

③特記欄の記入について

特記欄は選択肢以外の臓器や組織の提供を希望する人は記入をします。
皮膚・心臓弁・血管・骨などが該当します。
また、親族に優先して臓器提供をすることもできます。
その場合は「親族優先」と記入します。

④署名欄の記入

自分の署名及び署名年月日を自筆で記入します。
また可能であれば、この意思表示があることを家族に確認のために署名をしてもらいましょう。
基本的に家族の署名はなくても有効です。
しかし、臓器提供は、家族の総意による承諾が必要となります。
そのため、家族が反対した場合は臓器提供ができないので、そのようなことがないように家族からの承諾をもらっておくとよいでしょう。

⑤その他の注意事項

記入をする際は、ボールペン等の消えない筆記具を使用します。
意思表示の記載内容を変更する場合は、二重線を引き、新たな意思表示を記載します。
臓器提供意思表示カードが複数ある場合は、最も署名年月日の新しいものが有効になります。
また、法律的には意思表示ができる年齢は15歳以上となっています。

2)臓器提供の意思が確認できた場合は?

患者の死後臓器提供の意思表示が確認できた場合、次のような流れで臓器提供が進められます。

3)献体って何?

献体って何?

献体とは、大学の医学部などでの教育・研究のために、遺体を提供することです。
大学の医学部などでは、教育の一環として人体解剖学の実習が行われます。
このような教育・研究へ自分の遺体を無条件、無報酬で提供します。

高い医療技術を持った人材を確保するため、死後に自分の肉体が解剖学の実習で使用されることを了承し、遺族が故人の遺志のもとに、遺体を大学医学部などに提供します。

献体の登録時には、※家族全員の同意が必要です。
さらに、本人の死後に遺族の一人でも反対すれば献体は実行できません。
遺体は、解剖学実習後に火葬されて返還されます。

遺体が遺骨となって大学から戻ってくるまでに1~3年の期間がかかることになります。
献体を検討するにあたっては、家族間でしっかりと話し合っておくことが重要となります。
※家族は2親等以内の配偶者、親、子、兄弟姉妹などです。

4)献体の連絡はどうすればいいの?

大学や献体篤志家団体が存在します。
そこに登録を申し込むと、通常連絡先の書いた献体登録証を受け取ることになります。
臨終後に献体登録証の死亡時連絡先に記載されている番号に電話連絡を行います。

5)献体の流れは?

①登録手続き

献体の登録手続きは、移送の関係上自分が住む地域の最寄りの大学医学部に連絡します。
そして住所(住んでいる市町村)、現在罹っている病気、または過去病歴を申し出ます。
病歴の内容によっては献体になれない場合もあります。
献体手続き可能となれば親族の同意を得て、申込書を作成、その後登録手続きとなります。
なお、現在は死生観の変化もあり、死後も人の役に立ちたいという人が増えており、10年で約7万人の献体登録者増加が報告されています。
※2017年3月末時点で28万人超が登録しています。
そのため大学によっては献体登録を断るケースもあるようです。

※日本篤志献体協会まとめ

②死後の移送

故人が献体の登録をしていた場合は、献体登録証に記載されている連絡先に連絡します。
遺体を移送する日時などを決めて基本的に、死後48時間以内に大学等に移送されます。
このように48時間の空きがあるため、通夜・告別式を行ってからの移送も可能です。

③献体後

献体後は火葬され、遺骨となって遺族に返還されます。
通常1~3年ほどかかり、火葬費は教育機関の負担になります。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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