病気で亡くなった場合の高額医療費の申請方法

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病気で亡くなった場合の高額医療費の申請方法

お葬式が終わった後に、故人の遺品整理やあいさつ周り等でバタバタすることが多いと思います。
色々とすることが多くて大変ですが、故人が病気で亡くなった場合等は医療費の清算も行う必要があります。
高額医療費をどう手続きするのかについて紹介します。

1)高額医療費とは

高額医療費?

高額療養費というのは、その月の1日から末日までにかかった医療費の自己負担分が高額になった場合に、一定額「自己負担限度額」を超過した分を後日払い戻してくれる制度のことです。
故人が生前に病気療養していたり、病院に入院していた場合は医療費がかさむ可能性があります。
自己負担分が多い時は、この高額医療費制度を利用すれば超過分が戻ってきますので、その分に充当できるため便利です。

70歳未満の方で、且つ前以って医療費が高額になることが予測可能な場合は、「限度額適用認定証」を提示しておくといいでしょう。
高額医療費の払い戻しでは医療機関等から提出された診療報酬明細書、いわゆるレセプトを審査した後に行われます。
そのため実際に払い戻しされるのは、診療月から3ヶ月以上後になることが多いです。
実際に払い戻しがあるまでかなりの時間を要しますので、遺族の中にはお金の工面に苦労する人もいるかもしれません。
その場合は医療費の支払いにあてるため、高額療養費支給見込額の8割程度の資金を無利子で貸与してくれる「高額医療費貸付制度」もありますので一緒に検討してみるのもいいでしょう。

なお高額医療費で対象となる自己負担額は、世帯分の合算も可能です。
同月に世帯で複数の方が病気やケガ等で医療機関を受診した場合、あるいは1人で複数の病院を受診した場合等が該当します。
自己負担額は世帯で合算する場合、その合算した額が自己負担限度額を超過した際に、超えた額が払い戻しの対象になります。
ここでの世帯は、保険に加入している被保険者とその被扶養者を表します。
また70歳未満の方の合算可能な自己負担額は、21,000円以上に限られます。
その一方で70歳以上の方は、自己負担額のすべてを合算できます。

2)1年に4度以上限度額を超えた場合

高額医療費制度は実際に支払った医療費が限度額を超過した場合、その分を払い戻してくれる便利な制度です。
そのため利用する人も多いですが、1年に4度以上利用する際には注意する必要があります。
高額医療費制度は実際に療養を受けた月より前の1年間「12ヶ月」に、被保険者とその被扶養者を合わせた同一世帯の方が3ヶ月以上高額療養費の払い戻しを受けた時は、4ヶ月目からは多数該当と判断されます。

たとえ限度額を超えて支払ったとしても、自己負担限度額は軽減されます。
この回数は限度額適用認定証等を使用して、現物給付で高額療養費の払い戻しを受けた月も含まれますので気をつけておきましょう。
なお高額療養費の該当月については、それが連続している必要はありません。

3)高額医療費の請求のしかた

高額医療費の請求のしかた

高額医療費の請求のしかたには、事前と事後の2つの方法があります。
治療費を支払う前に行う「事前手続き」と、支払いをした後に行う「事後手続き」は、どちらかを選択できます。
どちらの方法も結果的に払い戻しされる金額は同じですが、事後手続きの場合は一時的に負担が大きくなります。
実際の費用負担を軽減したい方は、事前手続きを選択するといいでしょう。
それぞれの手続きは以下のようになります。

事前手続き

事前手続きは、前以って自己負担限度額超過分の医療費が差し引かれますので、実際に医療費を支払う際は自己負担限度額までの分の費用を支払うことになります。
事前に手続きする場合は、「限度額適用認定証」の申請を行う必要があります。
この限度額適用認定証を申請することで払い戻しが可能になりますが、申請は加入している健康保険組合あるいは共済組合等の保険者に対して行います。

ですので通常は加入保険者の窓口で、国民健康保険の場合は国民健康保険の窓口で申請して交付してもらうことになります。
病院で診療を受ける際にこの限度額適用認定証を提示すれば、実際の支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。
そのため療養費の高騰を回避できます。

なお高額医療費については、70歳以上の方は特に手続きをしなくても自動的に自己負担限度額までの支払いとなります。
しかし低所得者の所得区分にある方は、「限度額適用認定・標準負担額減額認定証」が必要ですので用意しておきましょう。
事前手続きを行う場合は以下の書類が必要です。

一時払いが難しい方のために「高額療養費貸付制度」もありますので、頭に入れておくといいでしょう。
ちなみに高額療養費貸付制度は、払い戻しされる8~9割程度の額を無利子で借りることができます。

事後手続き

事後手続きは、医療費の3割を一時的に病院に支払います。
そしてその後に高額医療費として、自己負担限度額を超過した分の医療費を払い戻してもらえます。
なお医療機関等から提出されるレセプトを基にして、高額療養費の払い戻しを自動で行うこともありますので、人によっては申請が不要となる場合もあります。
特に通知等がない場合は、早めに保険者に確認しておくといいでしょう。

高額医療費を事後に申請する時は、医療機関等からもらった領収書を提出する必要があります。
事後手続きについて不明な点、また分からないことがある方は自身が加入している保険者の窓口に問い合わせてみてください。
申請場所は自身の保険者の窓口、国民健康保険の方は国民健康保険の窓口になります。
また事後手続きに必要な書類は以下の通りです。

4)自己負担限度額を超えた部分が「高額医療費」

高額医療費は、自己負担限度額を超えた分が払い戻しされます。
また手続きには事前と事後の2つの方法がありますので、事前に確認しておきましょう 不明な点は加入している保険者の窓口で相談して、早めに解決しておくといいでしょう。

5)自己負担限度額とは

高額医療費の自己負担額は、それぞれ年齢や所得の状況等によって変わってきます。

70歳以上の方「外来の場合」
70歳未満の方
専門家のワンポイントアドバイス!

70歳以上の方、以下のように変わっています。

70歳以上75歳未満の方(平成30年8月診療分から)
被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
①現役並み所得者 現役並みⅢ
(標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
[多数該当:140,100円]
現役並みⅡ
(標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
[多数該当:93,000円]
現役並みⅠ
(標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]
②一般所得者
(①および③以外の方)
18,000円(年間上限14.4万円) 57,600円[多数該当:44,400円]
③低所得者 Ⅱ(※1) 8,000円 24,600円
Ⅰ(※2) 15,000円

※1 被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
※2 被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。
注)現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者となります。

75歳以上の方
所得区分 自己負担限度額
外来(個人) 外来+入院(世帯)
現役並み所得者 57,600円 80,100円
総医療費が267,000円を超えた場合は、その超えた分の1%を加算
多数該当(注)の場合は、44,400円
一般 14,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
多数該当(注)の場合は、44,400円
低所得者Ⅱ 8,000円 24,600円
低所得者Ⅰ 8,000円 15,000円

※低所得者Ⅱとは、世帯の全員が住民税非課税である方。
※低所得者Ⅰとは、世帯の全員が住民税非課税であって、年金収入が80万円以下
(その他所得がない)の方、または老齢福祉年金受給者。

高額医療費というのは実際に支払った医療費が限度額を超えた場合に、その分を払い戻してくれるとても便利な制度です。
医療費がかかる方にはとても重要な制度になりますが、どこに確認すれば教えてもらえるのかが分かりづらいことが欠点です。
各地方自治体の行政に確認しておくことは重要と言えるでしょう。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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