相続税による控除の対象になるものを紹介

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相続税による控除の対象になるものを紹介

被相続人が亡くなってから遺産を相続すると、その後は相続税を納付することになります。
相続税は実際に取得する財産の額によって納付額が異なりますので、事前にその内容を把握しておくといいでしょう。
相続税による控除の対象になるものを紹介します。

1)控除される項目をチェック

控除される項目
控除の種類と内容
基礎控除

基礎控除は、相続税を計算する場合に遺産額から必ず控除されるものです。
基礎控除額は、法定相続人である配偶者(法律上の夫や妻)、子供(直系)、父母(直系)、兄弟姉妹(傍系)がいるかによって変わり、それぞれの控除額は以下の計算式で算出できます。
相続税の基礎控除額は、【3000万円+(600万円×法定相続人の数)】です。
例えば遺産が3億円で、法定定相続人が子供2人の場合は次のようになります。
【3億円-基礎控除額4200万円=2億5800万円】、【2億5800万円×法定相続分1/2=1億2900万円】、【1億2900万円×45%-2700万円)×2人=6210万円】です。

配偶者控除

遺産の相続人の中に配偶者が含まれる場合は、配偶者控除も適用されます。
配偶者控除を受けるには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

配偶者控除を利用する場合は確定申告が必要など、いくつかの制約がありますので確認の方を忘れないようにしましょう。

贈与税額控除

贈与税控除は、相続を開始する3年以内に贈与した財産が対象になりますが、すでに収めた贈与税が控除されることになります。
これは2重納税を防止するものですので、申告を忘れずに行いましょう。

未成年者控除

相続人の中に未成年者がいる場合に適用されます。
この場合は相続人が成人に達する間の年数に加え、10万円を乗じた額を控除できます。
例えば10歳の子供が相続人である場合は、100万円の控除を申告できるということになります。
計算式は、【10万円×(20歳-相続開始時の年齢)】です。

障害者控除

これは相続人の中に障害者がいるケースが対象になり、その障害の状態に応じて以下のように控除額が変わります。

ここでは相続人が85歳に達するまでの年数を乗じた額を、相続税額から控除できます。
障害者控除の計算式は、【10万円(特別障害者20万円)×(85歳-相続開始年齢)】です。
例えば40歳の一般障害者が相続を行う際の障碍者控除額は、【10万円×(85歳-40歳)=350万円】になります。
相続税の障害者控除は簡単に計算できますので、事前に確認しておきましょう。

相次相続控除

相次相続控除は10年以内に相次相続を行う際、2回目以降の相続税が課税されるときに適用されます。

外国税額控除

海外資産に対して日本の相続税に相当する税金を納めている場合は、2重納税を防ぐためにこの外国税額控除が適用されます。
こちらは以下の計算式によって、所得税の控除限度額を超えるかを判断します。
所得税の控除限度額は、【その年分の所得税額×(該当年分の国外所得金額/該当年分の所得総額)】です。
外国税額控除は対象年分の所得総額、いわゆる全世界所得のうち国外所得の分しか控除できません。
計算式が複雑ですので、この控除を受けられる場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

2)控除によっては申告が必要

控除によっては申告が必要
相続税と基礎控除

相続税の申告は、基礎控除額と大きな関係があります。
相続税の基礎控除額を計算し、相続財産に対しての課税価格が基礎控除額の範囲内に収まる場合は、相続税の申告の義務はありません。
要するに基礎控除額の範囲内であれば、たとえ被相続人の遺産を分割しても、相続税については特に手続きをしなくても構わないということです。
そのため実際に相続財産の課税額を計算して、それが基礎控除の範囲内に収まる旨を税務署に連絡する必要もありません。
これまで相続の経験がある方で相続税の申告をしたことがない人は、そのように課税価格が基礎控除額の範囲内に収まっていたからであり、申告漏れではありませんので心配する必要はないでしょう。

相続税がかからないケース

相続税の申告が必要かについては、相続税がかからない理由を押さえておく必要があります。
例えば相続財産の課税価格を計算した結果、それが相続税の基礎控除額の範囲内であれば、相続税を申告しなくても構いません。
また配偶者が遺産を相続する場合は、「配偶者の税額軽減」という特例を利用できます。
これは1億6,000万円と法定相続分のどちらか高い金額まで相続税がかからないというものです。
そのため一般家庭の配偶者は、余程のことがない限りは相続税の課税はないと見ていいでしょう。

ただ配偶者税額軽減の特例の適用を受けるためには、相続税の申告を行う必要があります。
これは要するに税務署に対して「配偶者の税額軽減を適用させてください」と申告しなければ、この特例は適用できないのです。
ですから配偶者だからと言って、「配偶者の税額軽減で相続税はかからないので申告不要」と考えているのは間違いになります。
他にも申告が必要なものがあり、それが「小規模宅地等の特例」や「広大地の評価」などです。
これらは税務署に申告した後に、評価額の減額を受けられるようになります。

相続税の特例については、たとえこれらの特例が適用されて相続税が発生しない場合でも、相続税の申告が必要になりますので注意しておきましょう。
このことを知らずに相続税の申告をしないでいると、申告期限が終わった後に税務署から申告漏れの通知が届く可能性があります。
ですので自分は申告が必要なのかを、事前に把握しておくことは重要です。
相続税はある程度は税金の知識が必要になりますので、自信がない方は法律の専門家に相談してサポートしてもらうといいでしょう。

相続税の申告の必要・不要をまとめると、以下のようになります。

3)葬式費用や債務も控除の対象

相続税の債務控除の対象になるものは「確実なものに限る」という規定があるのですが、それは特に書面によるものでなくても構いません。
さらに債務額が未確定でも、その債務の存在が明らかであれば、その金額の範囲内で控除できます。
例えば交通事故の加害者が何かしらの理由で亡くなった場合は、被害者に対する損害賠償金などの債務を控除できるということになります。
しかし非課税財産の購入、要するに被相続人が生前に購入したお墓や仏壇といった未払金については控除できませんので注意しましょう。

そして葬式費用です。
相続開始したときは葬式費用自体はまだ発生していないのですが、相続人は被相続人の葬式費用を負担するのが一般的です。
そのため債務控除が認められています。
葬式費用の範囲は、仮葬式、本葬式、葬式の前後に発生した費用などであり、通常必要となる費用なども含みます。

相続税を計算する場合は、控除の対象になるものを把握しておく必要があります。
また控除によっては申告が必要になることもありますので、注意しておきましょう。
相続税の申告について不明な点や分からないことがある方は、税理士などの専門家への相談をおすすめします。

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