昔ながらの習慣『心づけ』の6つのポイント

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昔ながらの習慣『心づけ』の6つのポイント

1)心づけとは?

心づけ?

日本には葬儀の時に心づけを渡す風習があります。
必ず渡さなくてはいけないわけではありませんが、昔ながらの習慣として今も残っています。
心づけはおおよそ3千円~5千円が相場です。
渡す人やタイミングは状況によって様々です。
渡すタイミングがわからない場合は葬儀社の方に預けておいて、渡すタイミングで声をかけてもらうこともあります。

地域・業者によって異なる慣習

葬儀の関係者の中でも寝台車や霊柩車の運転手や民営火葬場の係員の方には必ず心付けを渡すようにします。

故人の遺体を丁寧に扱っていただいたお礼という意味で、古くからこういった方々に心付けを渡すのが一般的でしたが、最近は地域や、業者によっては心づけを受け取らないこともあります。

心付けを渡す際に疑問点は葬儀社に確認するとよいでしょう。
葬儀社によっては、「心づけ費用=▽万円」と見積書に計上してくる業者もあります。 (公営火葬場の職員は原則的に受け取りません。)これは決しておかしなことではなく、このように表記してくるのも一般的な心付けの習慣の一つと言えます。

2)心づけの必要な相手は?

心付けを渡す相手は次の①~⑤のような方々にお渡しします。

この中でも特に①~③で遺体の搬送に関わった人に渡すことが多いようです。

3)心づけは葬儀社や世話役に渡しておく

心づけは葬儀社や世話役に渡しておくと渡す手間が省けます。
通常故人が亡くなった悲しみで遺族は心付けどころではありません。
そのため心づけは、いつだれに渡せばいいのか葬儀会社や、世話役のサポートがあるといいでしょう。

喪主は葬儀の儀式で多くのやるべきことがあります。
そのため必ず渡す心付け(火夫、霊柩車、マイクロバスの運転手へのもの)は葬儀社に預け、お手伝いの人などへの心づけは世話役に預けることで、葬儀の準備に注力することができます。

また、最近では葬儀会社のスタッフは心付けを受け取らない場合が多いようです。
葬儀社の担当者がとても親切にしてくれたので、葬儀後に心づけを渡したい、という方もいますが、コンプライアンスの観点から心づけは受け取らないことが多いようです。

4)心づけの袋はどれくらい用意すべき?

心づけの袋

通夜から繰り上げ初七日まで、外部の人にお世話になることが多いため、多めに用意しておくと良いでしょう。
お金は半紙に包むか、小さい不祝儀袋か白い無地の封筒に入れます。
表書きは薄墨で「志」「寸志」「心づけ」などと記しましょう。

5)心づけの目安

心付けの目安を表にまとめました。

心付けの相手 金額の目安
運転手 寝台車の運転手 3,000円~5,000円(搬送距離による)
霊柩車の運転手 3,000円~5,000円(霊柩車のグレードによる)
マイクロバスの運転手 3,000円~,5000円
火葬場 火葬場係員 3,000円~10,000円(火葬場のランクによる)
休憩室係員 3,000円~5,000円
公営火葬場職員 原則不要
運転手の場合

運転手の場合は走行距離や、車のグレードによって渡す金額も異なります。

火葬場の場合

火葬場については、民間の場合火葬場のランクもあるため利用する火葬場によって金額が異なります。
なお、公営の火葬場では心付けを受け取らないようにしているようです。

タイミング

多くの場合故人の死は突然訪れて、葬儀の時は悲しみや驚きという感情の中で動揺していいます。
そのため心付けを用意していても渡しそびれてしまうことが十分考えられます。

渡すタイミングを間違えないように葬儀社の担当者に預けておくのが良いでしょう。

心付けを渡すタイミングはマイクロバスや霊柩車の運転手の場合は現地に着いた時に渡しにいきます。
火夫には火葬場に着いてから、配膳係りには配膳が終わってから渡します。
このように役割によって心付けを渡すタイミングも場所も異なります。

葬儀会社へ心付けを預けると、渡すべきタイミングで遺族に返し、心付けを渡すよう指示するなどサービスも利用できますから、不安な場合は葬儀社に相談しましょう。

6)心づけの注意点

注意点①:断られたら受け入れましょう

最近では葬儀会社や関連業者でもコンプライアンスの観点から心付けを断る業者も増えています。
会社によっては心付けを受け取ること自体を禁止しているところも存在します。

心付けを受け取るかどうかを各自の判断に任せているならよいのですが、厳重に禁止しているような場合はかえって迷惑をかけてしまう可能性があります。
1度断られても怒ったりせず、そのような規則なのだと受け入れることが大切です。

注意点②:受け取る側にもマナーがある

もしもあなたが心付けを受け取ったときは、その場で確認するには控えましょう。
このような行為はマナー違反でせっかくの心付けも台無しになってしまいます。
渡す側の立場になって考えるといいでしょう。

注意点③:極端に相場を外さない

心付けは感謝の気持ちとは言いつつも、実際には相場が存在します。
相場内なら受け取る方も気兼ねなく受け取れますが、それが相場を極端に外れるような大金だった場合は、或いは相場より大幅に安い場合は相手も動揺してしまうため、なるべく相場を外さないようにしましょう。
相場については、葬儀担当者に確認すれば教えてもらえます。

注意点④:むき出しで渡さない

心付けは感謝の気持ちとして渡しますから、むき出しで渡すことは避けましょう。
金額にもよりますがポチ袋か、封筒などに入れて渡すのが礼儀です。
袋が用意できない場合は懐紙やティッシュなど何かに包み現金が見えないようにして渡すか、大抵は葬儀会社の担当者が心付け用のポチ袋を持っているため、もし手元にない場合は担当者に相談してみるといいでしょう。
いくらお金を渡す側と言っても相手への配慮や礼儀に欠けるような振る舞いは避けるべきでしょう。

注意点⑤:上から目線にならない

心付けを渡すのは葬儀に関連する人たちのサービスに対する感謝の気持ちです。
お金を払う客なのだから、「心付けを払ってやるんだ」という心持ちの人もごく稀に見受けられるようです。
心付けは感謝の気持ちとして渡すものですから、上から目線で渡すのは礼儀に反する行為です。
渡す時は直接手渡しで、一言お礼や感謝の言葉とともに渡すのがマナーです。

現代の日本の葬儀は過渡期にあり、葬儀の慣習も大きく変化しつつあります。
心付けという「感謝の気持ちを表す」という習慣も最近では見られなくなってきているようです。
しかし、故人を見送るという儀式の中で働く方々へ感謝の気持ちを示すというのは忘れてはならない慣習です。

葬儀に関わる人たちが気持ちよく仕事に励めるようにこのような慣例は失われるべきではないと言えるでしょう。

心づけの由来

日本には、昔から葬儀やそれ以外の行事ごとでも「心付け」の習慣がありました。

葬儀の心付けのルーツは、古来より故人を見送る仕事に携わる職業である墓掘りの人、 柩の担ぎ人、湯かんをする人には、死の穢れに抗するためお酒と食物を与えてそれを清めようという風習がありました。

その伝統が形を変えて、現在の葬儀関係者への「心付け」として風習として残っているという訳なのです。
つまり、その本来の趣旨としては、この「心付け」で「お酒や食事をして死の穢れを取ってください。」ということになるようです。

人間の「死」に接する人々への心からの配慮が形を変えて文化として現代まで受け継がれてきたと考えられます。
これが本来の心づけの意味と考えればあくまで「心づけ」なのですから、形式的な部分を取り上げても意味がなく、本質は陰の気を拝するという古来からの文化なのだと言えるでしょう。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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