葬儀の形式と今後の葬儀の在り方

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葬儀の形式と今後の葬儀の在り方

1)故人の遺志を優先する

故人の遺志を優先する

葬儀を行う際はどのような形式の儀式にすればいいのでしょうか。
まず一番に優先されるのは故人がどのような葬儀を望んでいたかということです。
この遺志は遺言書等に書き残されていれば、遺言書の内容で儀式を行わなければなりません。
或いは生前に故人が家族に葬儀の儀式内容について希望を述べていた場合は極力それを叶えてあげるのが望ましいでしょう。

2)宗教葬は仏式がほとんど?

日本では仏教の僧侶がお経を上げ亡くなった方を供養する仏式葬儀を行う人が多いと言われています。

神式やキリスト教式など、仏式以外の葬儀方法が存在するのにも関わらず、多くの日本人が仏式葬儀を選択するのは歴史背景や文化背景に理由があります。

日本人の宗教意識は多様化しており、多くの宗教が存在し、それぞれの宗教に厚く信仰を捧げる信者が存在します。

反対に宗教に普段は無関心という方も多いです。
しかし、そのような方々でも生活の中で無意識に宗教的な行事や慣習が浸透しています。

例えば、お正月や七五三に行く神社は神道の宗教施設ですし、鶏肉やケーキを食べたり親が子にプレゼントを贈るクリスマスはキリスト教やミトラ教のお祝いです。
食事の時の「いただきます」「ごちそうさま」という挨拶も仏教由来です。

このように、日常では宗教だと意識していなくても生活の中に当たり前のように浸透している宗教的意味合いのある行事や慣習が日本にはたくさんあります。

日本に仏教が伝わったのは今から約1500年前ですが、その中で政策的に仏教が広められ、お寺のとの関りを持つようになったという背景があります。
例えば江戸時代は必ず寺院の檀家となることを求められました。
寺請制度の下で寺院は檀家となっている家庭の出生や死亡、家族構成などを把握していたのです。

このように人々は宗教的なつながりだけではなく、生活上の必要からも寺院と深く付き合い、寺院の挙げる葬儀が当たり前の時代が何百年も続き、仏式の葬儀が広く深く生活の一部として浸透し定着しました。

そして、このように広く浸透したからこそ特定の信仰を持たない人に仏式の葬儀が、多く選ばれていると言えます。

熱心な仏教徒でなくても、慣習として仏式葬儀を当たり前だと感じる人、宗教や葬儀に拘りがないからこそ多くの人が慣れている仏式葬儀で滞りなく葬儀を行いたいと思う人が、 いることが日本で仏式の葬儀が多く選ばれている理由だと考えられます。

3)仏式の宗旨(しゅうし)

浄土真宗

浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞が開いた教えです。
浄土真宗本願寺派の葬儀は、ご遺族や参列者の皆様が共に、阿弥陀仏の救いの力を讃え尊び、故人が極楽浄土へ赴く事を喜び感謝する、という趣旨で行われるものです。
全ての人々はこの世での生を終えたら皆、すぐさま極楽浄土で仏となるため、必ず故人とも再会出来る時が来る、としていますので本来、葬儀の事を「告別式」とは呼びません。

禅宗:曹洞宗

曹洞宗は、禅宗の一派です。
曹洞宗における葬儀の役割は、死後にお釈迦様の弟子となるために必要となる、戒名や戒法を授かるための授戒(じゅかい)を行い、悟りを開くため仏の道へと導く引導(いんどう)を行うことです。

禅宗:臨済宗

臨済宗は「禅宗」の一つに分類されており、鎌倉時代に伝わったといわれています。

「禅問答」という言葉もありますが、自分自身と語り合い、自分自身を見つめることで悟りを開いていくという考え方があります。

葬儀は大きく分けて授戒・念誦(経典などを口にすること)・引導によって構成されています。
曹洞宗とも共通する儀式になります。

真言宗

真言宗は密教であり、誰でも別け隔てなく布教されるものではなく、修行によって直接教えを授かった人以外に示してはいけないとされている教えになります。
そのため葬儀でも他の宗派とは異なる特徴があります。

灌頂(かんじょう)

真言宗の葬儀で最も特徴的なものは、灌頂と呼ばれる儀式です。
灌頂では、故人の頭に水をそそぎかけます。
これは密教ならではの儀式で、これを行うことで仏の位にのぼることができるとされています。

土砂加持(どしゃかじ)

密教では、土砂加持という儀式も行われます。
土砂加持では、土砂を洗い清めて護摩(ごま:火を焚いくこと)を修し、光明真言を本尊の前で唱えます。
これによって生まれた砂には、苦悩を取り除く、遺体にまくと柔軟になる、墓にまくと罪過が消えるなどの効果があるとされています。
こういった行いは、滅罪生善(めつざいしょうぜん)と 呼ばれます。
真言宗の葬儀では、この土砂をご遺体にかけて納棺します

浄土宗

浄土宗の葬儀は、通常の法要の「序分(じょぶん)」をまず行います。
これは堂内に仏をお迎えし、加護護念を得ることです。
そして、「正宗分(しょうじょうぶん)」と言い、仏の説法を聞き、仏弟子となった故人の往生極楽を願います。

「流通分(るつうぶん)」では法要を終えたことを感謝して、仏を送ります。
この3つの法要に加えて、死者を仏の弟子とする「授戒」と仏の弟子として教え導く「引導」が加わります。
(授戒は生前すでに受けている場合もありその場合は省略されます。 )

日蓮宗

最大の特徴は、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」の題目を唱えることが、何よりも重要な修行であるとしていることです。
開祖である日蓮聖人は「南無妙法蓮華経」の7文字に法華経全ての功徳が込められていると考え、これを唱えることで信仰できるとしています。
そのため、葬儀の場でも南無妙法蓮華経の題目は頻繁に唱えられます。

4)今後の葬儀の在り方

今後の葬儀の在り方

今後の葬儀は直葬や家族葬儀が更に増えてくると考えられます。

総務省実施の2015年の国勢調査は、地方で高齢化が一段と進んでいる実態を浮き彫りにしりました。
特にひとり暮らしの世帯が初めて全体の3分の1を超すなど、家族形態も大きく変わってきているのが日本の現状です。

更に同国勢調査では未婚率が男性で23.37%、女性で14.06%というデータが出ています。
前回の国勢調査の2010年の結果と比べて急上昇し、過去最高を更新しました。

このような流れから親戚の数の減少、関係性の希薄化等で故人を偲ぶ儀式の要素が重要視されず形式的に最低限の葬儀を行うということが増えてくると予想されます。

また、家族葬についてはこの先最もポピュラーな葬儀のスタイルになると予想されます。

これまで豪華な会場に多くの参列者という葬儀のイメージは古いものとなってきています。

家族や近しい親族だけで静かに故人を見送りたいというニーズが高まる中で現在も家族葬を選択する人が増えています。
また、数百万円かけて葬儀を行うというのも遺族には大きな負担となります。
経済的な理由からも家族葬、直葬が選択される可能性は高まると言えます。

それでもこれまでの多くの参列者で行われる一般葬が完全になくなることはなく、例えば会社葬などでは多くの事業関係者が集うため一般葬で大規模に行う必要があります。
このように一定のニーズは常にあるため葬儀が多様化する中で選択肢の一つとして今後も残り続けると予想されます。

また、直葬、家族葬の場合は葬儀自体はシンプルに終了しますが、その後にお別れの会を改めてホテルで開催したり、故人を偲ぶ会が開かれることもあるようです。
葬儀の儀式の定型が崩れて、より故人やその家族の個性に合ったスタイルで葬儀も変化していくのが今後の葬儀の在り方と言えるかもしれません。


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