本人が死亡した後の名義変更等の手続きについて

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本人が死亡した後の名義変更等の手続きについて

扶養者が死亡した際には、残された家族は名義変更を含めた様々な手続きを行わなければなりません。
これらの手続きは早急にする必要がありますので、事前に確認しておきテキパキと進める必要があります。
本人が死亡した後の、名義変更等の手続きについて紹介していきます。

1) 葬儀前後の手続き

葬儀前後の手続き?

まずは葬儀前後の手続きについてです。
親の葬式の前後は、様々なことを行う必要があります。
葬式に来る弔問客の対応、葬儀の準備や後片付け等バタバタすることが多くなります。
できるだけ急いで行わなければならない手続きも、いくつか存在します。

その1つが金融機関への届出や、公共料金等の名義変更になります。
他にも本人が運転免許証を取得している場合にはその返却、年金や生命保険等の請求手続き等も行う必要が出てきます。
このように葬儀前後には様々な手続きがありますので、間違いのないように早めに行うようにしてください。

本人が亡くなる前に行っておきたい、重要な項目があります。
それが遺言書の作成です。
家族が死亡するとその時点で相続が発生しますので、その時になって慌てなくてもいいように、事前に作成しておくといいでしょう。
遺言書については、生前に財産分与についての協議がまとまっていなかったために、兄弟間の仲が悪くなってしまったという事例は数多く存在します。

さらに本人が家族のために残した財産を確認できず、そのまま遺族に渡らなかったというケースもあります。
財産については本人しか分からないものもありますので、遺言書を作成してその内容を明確にすることが大切です。
遺言書の作成が難しい場合は紙でも構いませんので、財産等について一筆書いてもらうといいでしょう。
遺言書という言葉を聞くと、お金持ちの資産家だけのことのように思え、一般家庭には関係ないと考える人もいるかもしれません。
しかしそれは間違いです。

本人が死亡して相続が発生した場合は、一般家庭の多くで相続争いが起こっているのが現状です。
と言うのも資産家の場合は財産が多いため事前に準備するケースが多いですが、一般家庭には多くの資産がないということから特に準備をしないといった傾向があるからです。
そのような時に便利なのが遺言書であり、これがあれば相続の時に大変有効となります。
「あの時に遺言書があればこんな問題は起きなかったのに」となる前に、まずは準備しておきたいものです。
遺言書は自分でも簡単に作成できますので、本人がいるうちに作成をお願いしておきましょう。

2) 世帯主が死亡した場合

世帯主である本人が死亡する前の手続きもそうですが、世帯主が死亡した後の手続きも早急に行う必要があります。
亡くなった親がその家の世帯主であった場合は、早急に「世帯主変更届」を提出してください。

しかし親が夫婦だけで暮らしていた場合、新しい世帯主が分かっていれば世帯の変更は必要ありません。
この場合は自治体に死亡届を提出すれば、自動的に住民票の世帯主の記載も変更されます。
実際に世帯主変更届が必要なケースは配偶者が世帯主になるのではなく、その子ども等が新しい世帯主になる場合に限られます。
なお世帯主変更届は、本人が死亡した日から14日以内に住所地の自治体に提出してください。
世帯主変更届で分からない点や不明な点がある方は、お住まいの地域の自治体に相談してみましょう。

3)公共料金の名義変更

公共料金の名義変更?

本人が死亡した場合は、公共料金の名義変更も行う必要があります。
これは故人が死亡すると、今まで使用していた銀行口座が凍結されてしまうからです。
そうなると公共料金を銀行口座から引き落としていた場合、自動引き落としができなくなってしまいます。
またすべての公共料金を同じ銀行口座から引き落としていた時は、すべての支払いができなくなります。
公共料金の支払いが止まってしまうと、電気、ガス、水道等すべてのサービスもストップしてしまいます。
そうならないためにも、本人が死亡した場合は早急に名義変更の手続きを行いましょう。

また銀行口座が分からない場合は、電気、ガス、水道の領収書等を見て、それぞれの業者に電話等で連絡しておくといいでしょう。
その他にも故人の携帯電話やスマートフォン、インターネット等、もう使わないものも解約手続きをしてください。
固定電話をそのまま継続して使用する時はいくつかの書類が必要ですので、最寄りの地域のNTTに確認しておきましょう。
そしてNHKの名義変更も必要です。
NHKには専用のフリーダイヤルがありますので、そこに電話して名義の変更をしてください。

4)手続きチェック表

本人が死亡した場合は、様々な書類の名義変更がありますので忘れずに行いましょう。
この場合は効率良く手続きできるように、事前にチェック表等を作成しておくことをおすすめします。
チェック表があれば、ひとつひとつ確認しながら手続きができるため、とても便利です。

5)返却しなければならないもの

本人が死亡した場合に、返却しなければいけないものもあります。
親が取得した運転免許証や保険証等は、本人が死亡したと同時に早急に返却しておきましょう。
なお親の健康保険証が国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証であれば、被保険者の市区町村役場に、それが健康保険であれば勤務先に返却してください。

そして親の被扶養者だった家族は、親の死亡と同時に国民健康保険への移行手続きも行う必要があります。
運転免許証やパスポートも返却しますが、運転免許証の場合も最寄りの警察や公安委員会へ、パスポートは各都道府県庁の旅券課に返却してください。
この場合は運転免許証は連絡した上での自然失効、またパスポートは使用できないようにして記念に残すことも可能です。

クレジットカードについては、カード会社に退会の手続きを行いましょう。
クレジットカード等は、後々相続人に支払い請求等が届くことも多いため、事前に確認しておく必要があります。
なおクレジットカードの退会手続きは、本人が死亡したことを証明する書類「死亡診断書や戸籍謄本等」の写しや印鑑が必要になることがあります。
詳しいことはカード会社に連絡して確認しておきましょう。

6)年金・保険請求書の添付書類

本人が死亡した場合には、年金や保険等の手続きも必要です。
死亡した親が年金受給者であった場合は、死亡届を住所地の社会保険事務所に提出してください。
そのままの状態で放置しておくと、死亡月後の年金を返還させられますので気をつけておきましょう。
また遺族年金等を請求する時は、その時に一緒に申請してください。
添付書類についてはそれぞれ異なりますので、前以って確認しておく必要があります。

そして保険については、介護保険被保険者証の返却を行う必要が生じます。
この場合は、返却と同時に介護保険料も再計算してもらえます。
再計算をした後、未納分の保険料がある時は速やかに納付してください。
納め過ぎであった場合には相続人に還付されますので、銀行口座等を連絡しておきましょう。
その他に生命保険や損害保険に加入していた場合は、そちらも名義変更する必要があります。

本人が死亡した時の名義変更等の手続きには、多くの手間がかかります。
葬儀の前後で様々な手続きがありますので、期限に遅れないようにきちんと行いましょう。
この場合は効率良く行うためにも、チェック表の作成をおすすめします。
また慌てないように、生前に何がどこにあるのか等も知っておく必要があるでしょう。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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