戒名の起源や墓石への彫刻、階級について

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戒名の起源や墓石への彫刻、階級について

位牌などに記す戒名には歴史があり、現在でも日本各地で利用されています。
戒名は、位牌はもちろん墓石にも刻むことができます。
戒名がつけられるようになった歴史や、刻むことになる意味など、その構造についても理解をしておきましょう。

戒名の起源

戒名の起源

日本では位牌やお墓など戒名を記す場所があり、意外と身近に存在はしているものの、あまり気にされてはいません。
戒名は、人が亡くなった後にお寺の住職から授けてもらうことがほとんどですので、あまり記憶に残らないのかもしれません。
しかし元々は、生きている人が出家する際に、各自の師匠から授かるものだったことを知る人は少ないでしょう。

日本における戒名

日本に仏教が伝わったのは、西暦538年です。
このとき百済から朝鮮半島を経由して、日本にやって来ました。
百済の聖明王が仏像と経典を日本に送ったのが最初のケースとされており、その際に一緒に入ってきたのが戒名の風習だったのです。
仏教を深く信仰していた聖武天皇は息子に天皇の位を譲り、出家後に上皇になったそのタイミングで授かった戒名が勝満だったと言われています。

世界では早くから戒名を使用していたことになりますが、日本で戒名が始まったのは、その西暦538年ということになります。
平安中期に摂政の役職に就いた藤原道長も、聖武天皇と同じように後に出家することになりますが、そのときの戒名は行覚という名称でした。
その当時は天皇や関白は質素ではありますが、生前に2文字の戒名を授かっていたそうです。
つまり当時使用されていた戒名は、中国から伝わってきた習慣がそのまま守られていたことになります。
戒名を金銭で購入するような習慣はそのときにはなく、現在のようになったのは江戸時代以降からと言われます。

墓石への彫刻は戒名を入れる?

墓石への彫刻は戒名を入れる?

墓石には故人の名前を刻みますが、その際に戒名を入れることができます。
ただ戒名は、墓石に必ずしも必要ではありません。
戒名は仏教を受戒した者に与えられるものであり、いわば仏門に入った証でもあるのです。
基本的にお墓を建てるときは、そのお寺に戒名をつけてもらう必要があります。
しかし民間の霊園などでは、たとえ戒名がなくてもお墓の建立は可能です。

お墓につける名前には特に決まりなどはなく、必ず戒名をつける必要はないのです。
お墓が建っている場所によって、戒名をつけるかどうかが決まるだけのことです。
そのため戒名ではなく、俗名を彫る人もいます。
墓誌には、戒名や俗名、そして没年月日を記載するが一般的です。
ここでの没年月日は、いわゆる故人が死亡した日のことを言います。
没年月日は命日と言えば、誰でもご存じの通りです。
戒名については故人が亡くなった後、お通夜式の前までにもらうことがほとんどになります。
以前は生前にもらう人もいましたが、最近は亡くなった後にもらうのが一般化しています。

戒名の階級とは

お寺の住職から戒名を授かる場合は、その対価として戒名料を支払います。
戒名というのは亡くなった人に授ける名前のことになり、その名前を授けてもらうときに戒名料を支払うことになります。
戒名については、日蓮宗は法号、浄土真宗は法名とも呼ばれていますが、支払う戒名料については特に違いはありません。
ただ実際に支払う戒名料にはそれぞれにランクがあり、そのランクに基づいて支払う料金が変わることがあるのです。

元々仏教というのは、一人一人に平等を説く教えでもありますので、戒名にランクづけなどはないはずです。
それか実際には戒名のランクが存在しており、それぞれのランクによって戒名料の金額も変わってくるのです。
戒名自体は江戸時代に存在していた身分差別にも影響しており、大名や下層階級など名前のつけ方にも大きな違いがありました。
そのときの差別が現在にも引き継がれていて、ランクという形になっているのです。
このようなランクというのは、お寺や社会に対する貢献度などによって決まるのが本当ですが、高い額のお布施を出すことで、良いランクの名前を授けてもらえるのが実際のところでは多く見られます。

戒名ランクの順位におけるお金額相場

戒名には階級などのランクづけがされていて、高くなるにつれて支払うお布施の額も増えていくことになります。
まずはランクの順位から知っておきましょう。
ランクが低い順に見ると男性信士、女性信女、男性居士、女性大姉、男性院信士、女性院信女、そして男性院居士、女性院大姉となっています。
男性信士、女性信女が最も低く、男性院居士、女性院大姉のランクが最も高いことになります。
このような順番になっていますが、それぞれの宗教や宗派によっても戒名料は変わってきますので注意しておきましょう。

戒名料の相場

次に戒名料の相場について紹介していきます。
戒名の料金で最も高いと言われているのは、信士と信女です。
これは今も昔も特に変わっておらず、必然的にランクが高いとされている、信士や信女の戒名をつける人が多い傾向にあるようです。
料金としては下は5万円程度から上は100万円以上など、その幅も広くなっています。

ランクが高いほど良い名前?

戒名には一定のランクが存在しますが、ランクは高ければ高いほどその名前が良いということになるのかが重要な点と言えます。
値段が高いほど名称の価値も良いといったイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。
戒名料のランクというのは、高ければ高いほど良いわけではないのです。
ランクにこだわる遺族も少なくはありませんが、戒名のランクを決める際に是非覚えておかなければならない事柄がいくつかあります。

その一つがご先祖様に関することです。
既に同じお墓や納骨堂などにご先祖がいる場合には、そのご先祖様以上のランクの戒名を付すことは良くないと言われています。
さらには夫婦の一方が既に納骨されている場合も同様になり、配偶者よりも上の階級ではなく、同じ程度のランクの戒名が望ましいと言われているのです。
ただ新規にお墓や納骨堂を建てる場合はそうとは限らず、その際は各自の予算に合わせてお気に入りの戒名を選ぶこともできるでしょう。

希望する戒名をもらえない場合もある

戒名には階級があり、上位に行くほど実際の戒名料は高くなります。
そのため最高級の戒名が欲しいときは、それに見合ったお布施を支払えば、形式上は最高級の名前をつけてもらえることになるのです。
ただお寺によっては、必ずしも希望する名前をもらえないこともあるのです。
これはそれぞれのお寺の考え方に理由があり、元々戒名というのはお寺や社会への貢献度、そのお寺とのお付き合いの深さなどが加味されることがあります。

そのため比較的高い額のお布施を包んだとしても、必ずしも希望した戒名がつけられないこともあるということになります。
また高いお金を支払ってランクの高い戒名がついたとしても、それで故人が本当に喜んでいるかは分かりませんし、必ず天国に行けるという保証などもありません。
そのような事情もありますので、戒名料を支払うときにはあくまでそれぞれの経済状況に応じたお布施を包むことが求められます。

日本における戒名の起源は、中国から仏教が伝来したときと言われています。
戒名には階級があり、そのランクが高くなればなるほど戒名料も高くなるのが一般的です。
ただ高ければ良い、と単純に言えるほど簡単なものでもないのが難しいところでしょう。
戒名は墓石に彫刻することも可能ですが、特に決まりなどはありません。

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