遺族厚生年金には所得制限がある

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遺族厚生年金には所得制限がある

遺族厚生年金を受給する際に、再婚した場合はどうなるのでしょうか?
そのときの所得制限や申請の方法なども気になるところだと思います。
そのような遺族厚生年金の受給や所得制限、申請方法などについて紹介をします。

遺族厚生年金の受給で、再婚した方は注意!?

遺族厚生年金の受給で、再婚した方は注意!?

遺族厚生年金を受給しようとする際に、気をつけておきたい点が再婚した方です。
配偶者が亡くなった後に再婚をする人もいると思いますが、その際には遺族厚生年金がストップしたり、減額されたりすることがあるからです。

①遺族厚生年金だけを受給する妻

厚生年金に加入していた夫が亡くなり、18歳以下の子供(18歳到達年度の末日までにある子供)がいない妻は、遺族厚生年金だけを受給することができます。
ただこのケースで妻が再婚すると、遺族年金の受給資格がなくなります。
そのため、これまでもらっていた遺族年金は0円になってしまうのです。
遺族厚生年金は、事実婚はもちろん内縁の関係であっても支給が停止されることもありますので、該当される方は注意が必要です。
その再婚相手と離婚をしたとしても、遺族年金を再び受給することはできません。

②遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給する妻

遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる妻というのは、「厚生年金に加入している夫が亡くなり、18歳以下の子(18歳到達年度の末日までにある子供)がいる場合」であれば、それぞれの年金を受け取ることができます。
ただその妻が再婚した場合は、遺族基礎年金だけでなく遺族厚生年金も支給停止になりますので注意しておきましょう。
一方で、18歳到達年度の末日までに子供がいるときは、遺族基礎年金と遺族厚生年金、それぞれの受給資格がありますので、以下の支給停止要件に該当していなければ遺族年金を受給することができます。

子供の遺族年金が支給停止になる要件は、次の点が挙げられます。
「妻が遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有している間に、子供の遺族年金の支給は停止される」ことと、「父や母と生計を同一にする子供は遺族基礎年金の支給は停止される」ことです。
今回のケースを見ると、子供が母と同居しているときは後者の子供の支給停止要件に該当することになりますので、子供が受け取ることができる遺族年金は「遺族厚生年金」だけになります。
再婚ではなく、単に旧姓に戻すだけであれば遺族年金は受給できます。
夫が亡くなった後に妻が特に再婚することなく、旧姓に戻すだけであれば遺族年金の受給資格は消滅しませんので、以前と同じようにそのまま継続して遺族年金の受給はできるのです。

遺族厚生年金の所得制限

遺族厚生年金の所得制限

遺族厚生年金を受給する際に、所得制限が気になる人もいると思います。
一般的に遺族厚生年金の受給要件を判定する際には、所得制限が課せられます。
内容は生計維持要件の中の一つとして、以下の点が挙げられます。

これが遺族厚生年金の受給を判定する際の生計維持要件ですが、その中の年収や所得の要件でもあるのです。
つまり遺族厚生年金をもらうためには、年収850万(所得655万5000円)以下でなければいけません。
当然ですが、遺族厚生年金を受給した後に年収や所得制限に該当してしまうと、その後の年金の受給はストップしてしまうと思うかもしれません。
そのようなイメージはありますが、遺族基礎年金と遺族厚生年金それぞれに所得制限があっても、それは判定時だけに通用するものです。
遺族年金の所得制限についてよく不安になる事柄が、年金を受給した後に所得が上がってしまう場合です。

しかし遺族基礎年金と遺族厚生年金にある所得制限というのは、あくまでも受給要件の判定要素にすぎないのです。
そのため年金を受給した後に所得が高くなっても、支給がストップしてしまうことはありません。
遺族厚生年金の受給が決定した後に仕事をする人もいますが、だからと言ってそれがデメリットになることはないので心配しなくても大丈夫です。
これは遺族基礎年金と遺族厚生年金の、それぞれに共通した規定となっています。
所得制限は判定時のみに適用されることになりますので、一時的に所得が上がった場合、例えば会社で昇進をしたりして給料が大幅に上がっても大丈夫です。

いつの所得が基準になるのか

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給の際に必要な所得制限ですが、その際はいつの所得が基準になるのでしょうか? 遺族厚生年金の申請をしようと予定したときに、たまたまその年度だけ給料がアップして年間の所得が上がってしまうこともあるかもしれません。
その場合に、年金はもらえるのかが心配です。
遺族厚生年金の所得の基準年度ですが、遺族年金の所得制限の基準は前年の所得が基本になります。
ただし申請する時期によっては、前年の所得の書類が出ないこともあります。
その場合は前々年の所得でも良いことになります。
役所が発行する所得証明というのは、毎年6月頃にならなければ出てきませんので、場合によっては前年のものしかもらえないこともあります。
具体的には、「その年の6月までに申請する時は前々年の所得証明」を、「6月以降に申請するのであれば前年の所得証明」を使用するなどです。
前々年あるいは前年のどちらかの所得制限しかクリアできない方は、申請時期によって受給要件が変わってきますので注意が必要です。

将来的に所得が下がる証明

前年や前々年の所得制限をクリアできない場合に遺族年金を申請する際には、将来的には年収が下がることを証明する必要があります。
具体的には、「現在の役職を解任される予定である」、「来年、定年になる」などです。
年収が下がることが分かっている場合には、証拠書類の提出も必要になります。
書類としては、就業規則や定年や役職の解任の確定を証明できるものなどが該当しますので、事前に用意しておきましょう。
なお将来的に年収が下がる場合の年数の目安ですが、「平成6.11.9庁保発第36号の行政通達」では5年以内とされています。

遺族厚生年金の申請方法

遺族厚生年金を申請する際には、以下の書類が必要です。

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号

最寄りの年金事務所や年金相談センターの窓口に用意されています。

必要な添付書類

このページのまとめ

遺族厚生年金を受給している方が再婚した場合には、年金が減額されたりストップすることがあります。
また年金の受給には所得制限がありますので、申請する前に確認をしておきましょう。
遺族厚生年金の申請には必要書類がありますので、早めに用意しておくとスムーズにいくと思います。

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