認知症がどのようなものかについて説明します

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認知症がどのようなものかについて説明します

配偶者の死によって引き起こされる病気の一つに、認知症があります。
認知症対策の鍵の一つとして早期発見がありますが、認知症は単なる忘れとの見極めがとても難しく、判断に迷うこともあります。
そのためもし疑わしい症状が見られるのであれば、早めに病院で検査を受けることをおすすめします。
認知症がどのようなものかについて説明します。

1)配偶者の死によって認知症に?

認知症?

配偶者の死によって精神的苦痛を味わうと、気力ややる気が損なわれてしまいます。
そうなると社会で活躍したり、一人で生活することが困難になります。
その際に引き起こされる現象としてうつ病があるのですが、うつ病に似たような症状として認知症もあるのです。

認知症とは

認知症とは、正常に発達した認知機能が何らかの要因で脳に障害をもたらし認識力の低下を引き起こし、更には日常生活もままならない状態に陥る症状のことです。
認知症の厄介なところは、脳の細胞を壊してしまうことにあります。
これによって引き起こされる症状を中核症状と言いますが、具体的には、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下などの症状が現れます。
つまりこの中核症状により、周囲で起こっている事象を全く認識できなくなってしまうのです。
また当事者の性格や心理状態などが絡み合い、うつ状態や精神症状のような状態も発症する可能性があります。
認知症には人それぞれ違いがありますが、様々な身体的な症状を発症させることもあるため厄介です。
特に血管性認知症では麻痺など身体症状が合併することもあり、進行すると歩行ができないほどの症状となるため、最終的には寝たきりになってしまう可能性も含まれています。

認知機能とは

認知機能とは、人と人との交流に必要なコミュニケーション能力や、人が生活するために必要な能力のことを言います。
この能力が何らかの要因で行えなくなると、自分の考えや意見を上手に他者に伝えることができなくなってしまうのです。
また読む、書く、作る、喋るといった人間が普段何気なく行う行動も難しくなります。
認知機能とは知能とほぼ同等の能力を持っており、この能力が機能しないと社会や生活に適応できなくなるため、誰かのケアなしでは生活できなくなるのです。
記憶は、この認知機能に含まれる能力の一つです。
そのため医学的に認知症の診断を下すためには、記憶障害と判断しないといけません。
当然これは脳を断片的に見ても、分かるものではありません。
そのため社会生活や日常生活に混乱が見られ、生活ができなくなったことが確認されると認知症と診断されてしまうのです。

認知症の判断基準

自分の大切な家族が認知症か否かを判断するとき、もの忘れは重要な手掛かりとなります。
しかしもの忘れの厄介なところは、単なるもの忘れか認知症のもの忘れかの判断がとても難しい点にあります。
そこで重要となるのが、日常生活での変化や混乱です。
仮にもの忘れがあっても、普段の生活を普通にこなす場合は認知症の可能性は低いと思われます。
認知症の初期には、趣味に興味をなくした、外出しなくなった、コミュニケーションが減ったなどが挙げられます。
これは日常生活に混乱をきたす状態ではありませんが、以前と違う生活の様子が見られたら要注意という指針でもあります。
統計的に認知症を持つ家族に病気の始まりの様子を伺うと、これらのような症状を認識していたと言います。
つまり実際に認知症かな、と思う症状が出ない限りは単なる歳のせいかな、と思うくらいなのです。
それ故に認知症の最初の発見は、その人の生活が変わった、その人らしさがなくなったというサインが重要です。
そのため普段からこれらのことを見落とさないことが、早期発見に繋がります。

2)もの忘れがひどいと感じたら?

人は誰しも、もの忘れを体験していると思います。
特に歳を取ると、もの忘れがひどくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。
しかしそのもの忘れが、全く問題ないのか病気によるものかの区別は、なかなか難しいところです。
普通のもの忘れは年齢と共に体験の一部を忘れることが多くなっても、日常生活に混乱をきたすことはありません。
しかし高齢者の中には、ごく普通のもの忘れの人と比べると、頻度や程度が大きい人がいるのです。
このような方を軽度認知障害と言い自他共にもの忘れがひどいことを認知し、記憶についての心理テストでも正常な人より明らかに記憶力が低下しています。
このMCIは疫学調査によると、一般高齢者が認知症になる確率は年間1~2%であるのに対し、MCIでは年間10~15%であると言われています。
これは一般高齢者よりも約10倍、認知症になる可能性が高いということです。
つまりMCIと診断された人は、認知症になるリスクがとても高い状態だと言えます。

3)認知症の進行の仕方

では認知症とは、どのように進行していくのでしょうか。
認知症は老化によるもの忘れとは異なり、記憶障害がじわじわと進行していく病気です。
まず発症前期として、もの忘れが目立つ、忘れていることすら認識できない、という症状が出てきます。
そして初期の症状として、約束した日時や場所、知人の見当がつかないなど、直前のことを思い出せない症状が現れます。
中期では、適切な言葉が出てこない、簡単な日常作業の動作を忘れる、位置関係を把握できないといった症状が出ます。
そして末期では、自発的な動きや反応ができなくなります。
通常は高齢者に見られることですが、若い世代でも認知症は発症しますので注意が必要です。
その実態はいまだに解明されていませんが、遺伝的要素、生活習慣といった様々な要因が絡み合って発症するとも言われます。
配偶者の死も、少なからず要因と言えるでしょう。

早めのケアが大切
早めのケアが大切

現在の医学では、脳の機能を発症前の状態に戻すことは不可能です。
しかし認知症の治療は生活上での障害を軽減して、トラブルを少なくする目的で行われます。
認知症は本人が自覚できない特性があるため、家族や周りの人が注意深く観察し、単なるもの忘れか認知症かを早めに気づくことが大切なのです。
例えば加齢によるもの忘れでは、普段の食事のメニューを忘れることはありますが、認知症の場合は食事をした行為自体を忘れるなどの特徴があります。
そのため認知症の対策には、早めの治療やケアが効果的なのです。
それでも根本的な治療はないのが現実です。
最も大事なことは早期に認知症と判断して的確な支援や治療方針を、できるだけ本人や家族を交えて決定していくことにあります。

4)もの忘れと認知症の違い

もの忘れと認知症についての違いは以下となります。

正常なもの忘れ

正常なもの忘れは、自分のもの忘れ体験を切実に覚えている状態です。
例えば大切や約束を忘れてしまった、メガネを置いた場所が分からなくなったなど、日常に起こり得ることを忘れすることです。
つまり最近の出来事を細かく覚えている場合は、単なるもの忘れということです。
ちなみにもの忘れは集中力を欠いていたり、多くの情報が一度に押しよせていたりなど、本人がパニック状態に陥いると生じます。

認知症のもの忘れ

認知症のもの忘れは、自分の体験の全てを忘れてしまう状態です。
そのため自分自身で、詳しくもの忘れのエピソードを説明することはできません。
また認知症のもの忘れの特徴として、もの忘れに対しての自覚がないため、認知症を疑って自発的に病院に行くこともありません。
そしてもの忘れがエスカレートすると、一人で出かけることも金銭の管理も日常生活の簡単なことなども、全くできなくなります。

記憶力は20代をピークに加齢と共に減退していきますので、自然ともの忘れは激しくなるのは仕方のないことです。
しかし配偶者の死によって何も考えられなくなり、普段の生活を億劫だと思うようになると、強制的に脳が衰退してしまうことがあります。
それが原因となり認知症になる可能性もありますので、周りの人はしっかりとサポートをしてあげることが重要です。

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