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お墓を建てる前に知っておくべき知識

近年では少子高齢化や核家族化の影響によって、お墓の管理において様々な問題が生じてきています。
「高齢のためにお墓参りに行くのが困難」、「お墓を継承してくれる人がいない」、「お墓の管理がままならない」など、将来的にお墓を管理したり承継したりしてくれる人がいなくなる可能性があるからです。
そのような自体に備えて、永大供養墓などの様々な対応策を考える遺族も増えていると言われています。
そんなお墓について、様々な面から考察していきましょう。

お墓参り

お墓の承継者?

先祖代々続いてきたお墓を今後も守っていくためには、お墓を継承してくれる人を決めておかなくてはいけません。
最近では子供の数が減っているという傾向にあり、さらには高齢化が進んでいることもあって、管理が行き届かなくなっているお墓も増えているのではないでしょうか。
そのため遺族や親戚で協議をして、誰がお墓を守っていくのか、役割分担をしておいた方がいいでしょう。
お墓の名義人、つまりはお墓の使用権を保有している人が亡くなると、残されたお墓は祭祀財産になりますので、それを相続する「祭祀承継者」を決めなければいけません。
従来の家制度であれば、「お墓は配偶者や子供たちが継ぐ」というような考え方が一般的でしたので、特に問題になることはありませんでした。
しかし現在のような、核家族化や少子化が進んでいる状態の下では、お墓までの距離が遠くて管理がしにくい、子供がいないので承継してくれる人がいないなど様々な問題が起きているのが現実になり、なかなか一筋縄ではいかないケースも珍しくはありません。
そのような場合には、どういった方法でお墓を承継したら良いのでしょうか?

お墓の悩み
お墓の承継者の決め方

被相続人いわゆる財産を遺して亡くなった方に遺産がある場合(例えば、仏壇・仏具、墓地や墓石などが該当)ですが、そのようなときには「祭祀財産」と呼ばれることになります。
仏壇やお墓などの祭祀財産というのは一般的な相続財産とは異なり、1人の祭祀承継者に引き継がれるのが通常と言えます。
他の資産のように、複数の相続人で分割することはありません。
その場合の祭祀承継者は、これまでは慣習として、その家の長男や長女が継ぐものとされてきたのですが、だからと言って法律上は明確な規定がないのも事実です。
実際の祭祀承継者は、被相続人の遺言書や生前に口頭で告げたり、文書で特定の人物を指定したりして決められることが多かったように思われます。

そして次に一族やその地域の慣習などによって決めることになり、それでも決まらないときには家庭裁判所の調停や審判で、優先順位に基づいて決められることになるのです。
最終手段でもある、家庭裁判所の調停や審判で承継者を決める場合には、法律に基づいて行うことになりますので、他家に嫁いだ娘を始め、姪や甥、さらには直接血の繋がりがないような姻族や被相続人の親、兄弟姉妹などが承継することもあるのです。
その点については、民法でも規定があります。
参考として民法897条では、祭祀財産の承継者について「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」と規定されています。
以上のように、お墓の承継者を様々な方法で決めることになるのです。

利用する墓地や霊園の使用規則に注意しておきましょう

お墓を継承する際には、実際に利用する霊園などの使用規則を確認しておく必要があります。
何故なら、使用規則で承継者になれる人を規定している場合があるからです。
祭祀財産の承継者は、法的観点からは誰でもなることができますが、これがお墓になると実際に利用する墓地や霊園の使用規約に従う必要があります。
全ての墓地や霊園で規定されているわけではないのですが、例えば墓地使用権の承継を「原則として3親等まで」、あるいは「使用者の親族であること」などの条件が設けられていることもあるのです。
それ以外の承継者であれば、当然ですが利用することができなくなります。
祭祀承継者に親戚や遠縁の方、あるいは内縁の妻や故人の友人などにする場合には、決める前に墓地や霊園の使用規則を確認するか、直接墓地に問い合わせておくことをおすすめします。
さらに承継については、墓地使用者である被相続人の死亡を条件にしているところもあります。
生前承継を希望する場合であっても、必ず墓地や霊園の使用規則を確認しておくことは必須と言えます。
その際には、承継時に必要となる申請書や書類などもチェックしておきましょう。

墓地や霊園
永代供養墓とは?

お墓を承継してくれる人がいないときは、永大供養をするのも方法の一つです。
永代供養というのは、霊園や寺院などが遺族や子孫に代わって遺骨を管理したり、供養したりすることを言います。
遺骨と、それに関係した供養のすべてを、霊園や寺院にお任せするというシステムです。
そしてその際に使用するお墓が、「永代供養墓」になります。
永代供養墓は、「永遠墓」や「永代供養塔」などと呼ばれることもあり、将来的にお墓を継ぐ人がいない場合には、承継者に代わって霊園や墓地の管理者が遺骨を管理したり供養したりしてもらえます。

それぞれの墓地や霊園の規則によって異なりますが、主として屋外の墓地を指すことが多いようです。
地上の場合は参拝向けのモニュメント、例えば像や塔、碑などが一般的になり、地下や半地下の納骨室の場合もあります。
永大供養墓には様々なタイプがありますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
遺骨の保管方法についても大切なことと言え、個別に保管してくれる墓地や霊園などもあれば、骨壺などから出した後に合祀したり合葬したりするところも存在します。
その他にも最初は永大供養墓に供養し、その後一定期間が経過したら個別に保管したり、規定の期間が過ぎた後に合祀したり合葬したりする場合もあり、それぞれの場所でかかる費用は大きく異なることになるのです。

永代供養墓の「永代」について

永大供養墓には「永代」という文字がありますが、これはどういう意味を持っているのでしょうか?
永代という言葉にもある通り、永久的に供養してくれると考える人もいるかもしれません。
実際には各霊園や墓地などによって異なりますが、何をもって永代供養墓とするのかという明確な基準は、定まっていないのが実情と言えます。
寺院や霊園など、それぞれの施設によって永代供養の意味が異なる場合もあり、寺院墓地などでは承継者が途絶えたお墓はお寺が供養していることもあって、普通のお墓を永代供養墓と考えているところもあるようです。

永大供養墓はどんな人が購入しているの?

永大供養墓は、管理者に管理と供養をしてもらえるのが大きな特徴と言えるでしょう。
そのようなこともあって、以下のような人たちが購入することが多い傾向にあるようです。

永代供養墓
永代供養墓が合っている人

永大供養墓の需要が高まっていると言われていますが、どのような方に永大供養墓は合っている、または合っていないのでしょうか?
それぞれのタイプを紹介していきます。

永代供養墓が合わない人

永代供養墓が合わない人は、以下のような方です。

永代供養墓反対

お墓を建てる費用

お墓を建てる際に最も気になるのが、それにかかる費用ではないでしょうか。
費用についてはお墓の種類にもよりますが、高品質の墓石を使用すれば、当然ですがそれなりの金額は覚悟しなければなりません。
さらにはお墓だけではなく、その他にも費用が必要になりますので、全ての名目を確認しておきましょう。

永代使用料と永代供養料

まずは永代使用料ですが、簡単に言えばお墓を建てる場所を借りる際に必要となる、敷地代のことを指しています。
つまりはお墓を建てるための場所を、権利として購入することです。
永代使用料は、お寺や霊園と永大供養墓の購入契約が決まると、その際に一括で支払うことがほとんどです。
お寺によってシステムは異なりますが、一度支払えば対象となる墓地を永代に渡って使用できるようになるのが特徴です。
そのためお墓を、後の世代にそのまま引き継ぐこともできるのです。
永代使用料は、永代供養料とよく混同されることがありますが、永代使用料と永代供養料は内容が異なりますので注意しておきましょう。
永代供養料は、霊園や寺院が遺族や子孫に代わって遺骨を管理したり供養したりする行為のことで、その際にかかる費用を表しています。

墓石代など

お墓と言えば、やはりこの墓石のことを指すのではないかと思います。
ただ墓石代と一言で言っても、その内容や内訳は様々です。
お墓は一つの石だけ作られているわけではなく、複数の石の購入が必要になり、石の加工作業も必要ですので、その分の費用も支払うことになります。
さらにお墓が完成したら、今度はそのお墓を設置するための費用も求められます。 それぞれについて知っておきましょう。

墓石
①墓石本体

まずは墓石本体についてですが、墓石は一つの石ではなく複数の石を購入する必要があるのが基本です。
墓石本体に必要なものとしては、竿石、上台、中台、芝台、水鉢、香炉、花立てなどが挙げられます。
他にもまだありますが、墓石を購入する際には最低限上記の7つの部品は揃えておきたいところでしょう。
墓石には海外産や国内産など産地によっても様々あり、値段も幅広いものになっています。
墓石だけでも100万円や200万円を超えることもありますので、材質などをしっかり見極めておくことが大切です。

②加工費用

加工費用は、墓石に記号や文字などを刻んだり、形を変えたりするときにかかる費用です。
石材店などによって費用は変わってきますが、墓石の加工費用は、どの程度の範囲どれくらい加工をするのかによって決まります。
近年ではデザイン墓石など、見た目の仕様などによって墓石を選ぶ人も増えている傾向にあり、その場合はデザインが良くなればなるほど、加工にかかる費用も上がっていくことになります。
「凝ったデザインにしたい」という人もいると思いますが、その場合は費用の面も考慮しておくことが大切です。
大きな墓石を購入する際には、別途追加料金がかかる石材店もあります。

③設置工事

墓石が完成したら、今度はその墓石をあらかじめ指定された場所まで移動することになります。
その後に墓石を設置することになりますが、設置する際の作業にも費用がかかりますので、事前に用意しておきましょう。
お墓を建てる場所にもよりますが、その場所が特殊な環境下にあると、さらに追加料金がかかることもあります。
例えば駐車場が整備されていないお寺や霊園など、作業車が入れないようなところは特に注意が必要です。

④管理料

管理料は、お寺や霊園が遺骨を維持したり管理したりする際に必要となる費用のことです。
具体的にはお寺や霊園などで使用する、水道代や備品代などになります。
お寺や霊園によっても変わってきますが、その多くは年単位での支払いが一般的と言えます。

⑤法要にかかる費用

法要にかかる費用としては、大きく納骨法要と開眼供養に分類できます。
中でも納骨法要は、遺骨をお墓に納骨する際に行われる法要と言え、細かい決まりなどはありません。
納骨法要は、四十九日や火葬を終えたタイミングで行われるのが一般的です。
一方で開眼供養は、お墓を建てたときなど、新しいお墓に魂を入れるために実施する法要のことを言います。
これらの法要を行う際には、住職にお布施をお渡しします。
お布施の額は地域などによって異なりますので、事前に確認しておくと良いでしょう。

石材店を選ぶ

お墓を購入する際には、石材店に依頼する人もいると思います。
石材店には様々な種類のお墓が存在しますので、それぞれ好みに合ったものを選ぶようにしましょう。
その際の基準になるのが、以下の指標です。

石の種類

墓石に使用される石の種類は300種類以上にも及んでいて、墓石を購入される方はその中から選ぶことになります。
国内でも有数の石材を産出している地域と言えば、東日本では福島県や茨城県、西日本では香川県や岡山県、愛媛県などが挙げられます。
もちろんそれら以外にも、様々な産地が存在します。
実際に墓石に使用されている、代表的な石材を紹介していきます。

香川県の庵治石

香川県の庵治石は、墓石の中でも特に全国的に高い人気を誇る最高級の石材として知られています。
庵治石は、採り口によって石の目合いなどが大きく変わってくることがあります。
硬度7と全体的に非常に硬い石になり、その硬さは水晶に匹敵するほど、と言われているのです。

愛媛県の大島石

愛媛県の大島石は、庵治石を横綱に例えるのであれば、こちらは西日本の大関といった貫禄のある石でしょう。
大島石は、昔から西日本に住まれる人から親しまれてきた石材なのです。

岡山県の万成石

岡山の万成石は、その独特な桜色の目合いに特徴があり、石原裕次郎のお墓も万成石で建てられていると言います。
万成石は濃淡がはっきりした色合いに定評があり、年月の経過によって落ち着いた感じの色合いになっていくそうです。

神奈川県の本小松石

墓石としては神奈川県の小松石も有名で、香川の庵治石が西の横綱であれば、本小松石は東の横綱と言っても過言ではないでしょう。
本小松石は40万年ほど前に起こった箱根火山のマグマになり、大きい原石が採れないこともあって、希少性が高いと言われています。

墓石のデザイン

墓石は以下のように、デザインも様々です。

継承者が入る場合
継承者がいない場合

まとめ

人間の最期に入るお墓はとても大切なものですが、少子高齢化や核家族化などの影響もあって、年々維持管理が難しくなっているのが現状です。
高齢によって体が弱り、以前のように手軽にお墓参りに行けなかったり、子孫がいないことからお墓を承継してくれる人がいなくなったりなど、様々な問題が全国で起きています。
そのようなときに便利なシステムが永大供養墓になり、寺院や霊園などに申し込みをすれば、永代に渡ってお墓の管理や供養をしてもらえるため各地で増えつつあります。

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