【記載例付】法人の住所変更に係る手続きを詳しく解説

【記載例付】法人の住所変更に係る手続きを詳しく解説

株式会社・合同会社を設立した後、事業の発展や会社規模の拡大に伴い、本店住所を変更する必要に駆られるケースも少なくありません。
そのときに必要となる手続きを、できるだけ効率よくまとめて行えるように、お薦めしたいと思います。

①法務局での本店所在地変更登記

移転したら直ちに、本店所在地変更の登記をする必要があります。
また、定款も本店所在地を変更しなければならないことがあります。

• ア）東京都港区に本店を置く会社が、同じ港区内に本店所在地を変えるようなケースは、管轄の法務局に本店所在地変更登記申請を行います。
  このときに、定款に本店所在地として「東京都港区」と記載されていれば、定款の変更は不要ですが、「東京都港区白金〇丁目△-□」と記載されている場合は、定款も変更しなければなりません。
• イ）千葉県千葉市から東京都港区に移転するようなケースでは、千葉県の管轄法務局に本店所在地変更登記申請を行うのですが、東京都港区の管轄法務局への本店所在地変更の登記申請書も合わせて提出しなければなりません。
  2か所分の申請書を提出するということになります。
  このケースでは、定款の本店所在地も変更する必要があります。

さて、株式会社の場合には代表取締役の住所と、会社の本店所在地が一致するというケースがあるはずです。
合同会社の場合には株式会社以上に、代表社員や業務執行社員の住所と会社の本店所在地が一致するケースが多いのではないでしょうか。
このような場合には、代表取締役・代表社員（業務執行社員）の住所変更の登記申請も必要になりますので、忘れないようにしておきましょう。

以上のような会社の登記変更手続きは、会社法916条に「移転した日から2週間以内」にするようにと書かれているのです。

しかし、冒頭に「直ちに」と紹介しました。

法律用語で「直ちに」というのは、「直ぐに」というニュアンスを持ちます。
「すみやかに」というと、多少の猶予を認めてもらえる感覚です。
「遅滞なく」となると、「あまりのんびりし過ぎないで」というようなところでしょうか。

「2週間」という期間は、「直ちに」というにはゆっくりとした時間です。
ですが、あえて「直ちに」と紹介したのは、これからいくつかの手続をしなければならないので、そのために必要な「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」を入手するためなのです。
変更内容が反映された「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」がなければ行えない手続きがあるので、急いで登記の変更手続きを行いましょう。

②年金事務所での手続

社会保険の適用事業所としての所在地変更手続が必要です。
「健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更（訂正）届」という書類を、変更前の所在地を管轄する年金事務所に提出します。
このとき、変更済みの「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」のコピーも提出する必要があるのです。
しかも、「移転した日から（事実発生から）5日以内」に提出を求めています。
2週間以内に行う手続きが完了したことを証明する書類を、5日以内に提出するという、とても無茶なスケジュールです。
なので、①の変更登記は移転日か、遅くとも移転日の翌日には手続する必要があります。

③税金関係の手続

社会保険の手続が終了したら、次は税金関係の手続が待っています。
急いで届出するように求められていないものもありますが、二度手間とならないように、一度にまとめて提出してしまいましょう。

• ア）「異動事項に関する届出」を、移転した日から「速やかに」、移動前の管轄税務署に提出します。
• イ）「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」を、移転した日から1か月以内に、移動前の管轄税務署に提出します。

以上の二つの届出に添付書類は必要ないのですが、「異動事項に関する届出」をする場合には、「異動事項の内容確認のため、登記事項証明書、定款等の写しを確認させていただく場合があります」と、国税庁のホームページに注意書きがあります。

• ウ）「異動届出書」を、移転した日から「10日以内（東京都）」に、都道府県税務事務所に提出します。
  都内の異動であれば条例上は、変更前の所在地を管轄する都税事務所に提出することになっています。しかし実際の運用として、変更後の所在地を管轄する都税事務所でも対応してくれるようです。
  都道府県をまたぐ変更ならば、両方に提出しなければなりません。
  東京都や千葉県は、「10日以内」、神奈川県や埼玉県は「1か月以内」となっていますが、「速やかに」届け出れば、ひどいお咎めを受けることはないでしょう。
  「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」のコピーや、場合によっては「定款」も添付する必要があります。
• エ）「法人設立等申告書」を変更後の市区町村に提出します。すみやかに届出を行うように促す市もありますが、「遅滞なく」提出すれば問題はないようです。
  東京特別区に本店所在地がある場合は、都税事務所へ「異動届出書」を提出さえすれば、区役所への提出は不要です。
  添付書類は、「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」のコピーや、ケースによって「定款」です。

④労働基準監督署・ハローワークでの手続

• ア）「名称、所在地等変更届」を、移転した日から「10日以内」に、変更後の所在地を管轄する労働基準監督署またはハローワークに提出します。
  この手続が終了しないと、次のイ）に進めません。
• イ）「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、移転した日から「10日以内」に、変更後の所在地を管轄するハローワークに提出します。
  添付書類は不要です。

まとめ

株式会社・合同会社の本店所在地を変更するときに、「10日以内」と「2週間以内」、「1か月以内」というような期限が出てきます。
しかし、まだ大丈夫などと思っていると、あっという間に期限が過ぎてしまいます。
そこで、ご紹介した順番で一気に手続きをしてしまうことが、ベストではないでしょうか。
効率よくテキパキと進めるためにも、最初の登記の変更が肝心です。
ここで戸惑っていると、「登記事項全部証明書（登記簿謄本）」を入手するのに時間がかかり、その後の手続全てが遅れてしまうことになります。

実際にやってみた！

じゃあ、法人本店所在地変更してみよう！ということで、実際に私が行った例を下記に記載していきます。

私は札幌市で法人を設立しました。
しかし、本店所在地は厚別区。事業所は白石区。いずれは、白石区を本店所在地にしたかったのです。

本店所在地を変更する理由としては2点あります。

• ①本店所在地が知り合いの住所を借りていた為。
• ②税理士の先生に言われたのが、厚別区と白石区の両方で税金がかかってしまうらしい…。

いい機会なのでトライしてみました。

まずは法務局

私の会社は合同会社なので、合同会社を例にとります。
管轄は変更ありませんでした。

まずは法務局のオフィシャルWebサイトから『合同会社本店移転登記申請書（管轄内移転）』のWordをダウンロードします。

Wordで開き、必要事項を記入していきます。

実際に札幌法務局（本局）へ行き相談して、主に注意が必要なところを説明していきます。

• ①登記簿謄本に支店の記載がないため必要無し。
• ②支店の登記を行わないため手数料はかかりません。

• ①12/1に移転申請を行う場合、12/1以降でないと申請できません。
• ②登記簿に記載されている住所一字一句同じでなければなりません。
• ③代表印を押印します。
• ④割印？1ページの裏と2ページの表の境目に押印します。
• ⑤代表印を押印します。

• ①割印？2ページの裏と3ページの表の境目に押印します。
• ②3万円の収入印紙を購入し、貼ります。（法務局にて購入可能）

決定書に関しては、画像の通りです。

業務執行役員は私だけなので、私の名前と印鑑だけです。

スキャンの仕方がヘタクソすぎて斜めになってしまい申し訳ありません。

次に各税務署

各税務署に『異動届出書』を提出しました。道税事務所からは後に登記簿のコピーを提出してほしいと言われました。

是非参考にしてみてください！

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