合同会社の役員報酬、そんなに増やして大丈夫?<

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合同会社の役員報酬、そんなに増やして大丈夫?

役員報酬を増やして大丈夫?

順調に利益を上げた合同会社で、役員報酬を増額したい

合同会社を設立し、予想以上に営業が上手くいったなら、誰しも役員報酬を増額したいと考えるのは当然です。
それだけの成果をはじき出したのですから、役員としても報酬が上がることは当然と考えるでしょう。

でもちょっと待ってください。
役員報酬をそんなに増額しても、本当に大丈夫?

合同会社の役員報酬はいつ決める?

合同会社を立ち上げたときから3か月以内に、役員報酬を定める必要があります。
いわゆる「定期同額給与」と呼ばれるもので、毎月一定の額を合同会社が役員に支払います。
そのためには、総社員の「同意書」を調えておかなければなりません。
一人会社ならば、総社員は自分一人で、役員も自分だけということになりますが、それでも「同意書」として必ず調えておきましょう。

最初から利益をしっかりと計算できる合同会社設立ならば、特に問題はありません。

しかし、設立後半年近くは赤字経営を覚悟した合同会社設立というのも、よくある話です。
このような場合、設立後すぐに役員報酬を支払うことは現実的ではないでしょう。
そこで「設立後三か月目から月額〇〇万円を支払う」という決め事は、よくあるケースです。
場合によっては、「設立の半年後から月額〇万円を支払う」というように、厳しく定める合同会社もあります。
役員の報酬自体、初年度は支払わないと決めるケースも珍しくはないのです。

合同会社の役員報酬を年度途中に増額したい

合同会社を設立し、営業努力が報われたことで、予想以上に利益を計上できそうという事態を迎えることができたなら、これほど嬉しいことはありません。
当然、払える見込みのなかった役員報酬を支払ったり、少額だった役員報酬を大幅に増やしたりすることも、心情的に理解できます。

しかし思い出してください。
この役員報酬は、「定期同額給与」というものです。
その特徴の一つは、「定期」です。
毎月決まった日に、支払われるものでなければなりません。
そしてもう一つが、「定額」です。
必ず定額でなければならないのです。

さて、設立当初に総社員の「同意書」で定めた「定期同額給与」は、どのようになっていたのか思い出してください。
その金額を年度途中で変更することは、原則できないのです。

それでも、労に報いるべきと「定期同額給与」を増額したならば、次のような扱いをされることになります。

合同会社設立当初から月額20万円の役員報酬を払っていたが、半年後から月額60万円に増額した場合で考えてみましょう。
一営業年度の役員報酬は総額480万円になりますが、経費(損金)として認められるのは、240万円までとなります。
つまり増額した半年分の240万円は、経費(損金)にすることができないのです。

「定期同額給与」を変更できる例外

合同会社の役員報酬を、年度途中に絶対に増額することができないのかというと、そうでもありません。
原則があれば、必ず例外があるものです。

さて、どのような例外が認められているかというと、明らかに業務についての責任が増えるような場合に、総社員の「同意書」を調えることで認められる可能性があるのです。

例えば業務執行社員でなかった役員を、業務執行社員とするような場合です。
また、「社員」の肩書だった社員が、「代表社員」になるような場合にも認められる可能性があります。
このようなケースであれば、業務内容に伴う責任が増すという客観的な証明になるため、「定期同額給与」を増額しても、その全額を経費(損金)にすることが可能でしょう。

反対に、合同会社の役員報酬を年度途中に減額できる例外は以下の4パターンです。

以上のような場合にも、やはり総社員の「同意書」を調えておくことが重要です。

合同会社の役員報酬を正々堂々と変更できる期間

今までお伝えしてきたように、合同会社の役員報酬を営業年度途中に変更できないのが原則です。
そして、例外として変更できるやむを得ないケースについても、お伝えしました。

しかし一営業年度の間に、三か月だけ正々堂々と変更できるチャンスがあるのです。
それは、営業年度の最初の三カ月です。
この期間であれば、総社員の「同意書」を調えれば、どのような理由でも増額、減額が可能となります。

合同会社の役員に賞与を支給したい

合同会社の役員報酬を増額、減額するのは面倒だなということで、利益があれば特別賞与を支給してしまえばよいと、考えることもできます。
「定期同額給与」を低い金額で抑えておき、年度末に財務状況次第でしっかりと賞与を支給するということで、丸く収めたいと考えるのです。

しかし、残念ながらこの手段は誰もが思いつくようで、しっかりと対策が打たれています。
役員賞与を財務状況次第で払うことで、合同会社の利益を限りなくゼロにしてしまわれることを回避すべく、税務署は事前届出制を取っているのです。

「特定の日に、〇〇万円を役員報酬として支払う」という届出を税務署に出しておき、その内容通りの役員報酬の支払いは、税法上の役員報酬として認めるということになっています(事前確定届出給与)。
日付と金額のどちらもが、届出と合致している必要があります。
増額、減額したりして一致しない場合は、全額が経費(損金)とは認めてもらえません。

合同会社の利益と役員の報酬のどちらを大きくする方が得か?

合同会社の役員報酬は、様々な税金に係わる事項です。
そのため、合同会社の利益と役員の報酬のどちらが大きいと得なのかは、一概には判定できません。
このような疑問を解消するには、税理士に相談してみる必要があるでしょう。

『合同会社の役員報酬、そんなに増やして大丈夫?』まとめ

小回りとスピード感を売りにすべく合同会社を設立し、想定以上の利益を出しても、残念ながら役員報酬は早々には変更できません。
「定期同額給与」から逸脱する分は、経費(損金)扱いとはならないのです。

「定期同額給与」を変更できる例外もありますが、合同会社の良好な財務状況を理由としての変更は、認められていません。

賞与として支給するにも、「事前確定届出給与」として届出ていなければ、やはり経費(損金)とはできないのです。

したがって、財務状況がいくら順調でも、翌営業年度の役員報酬にしか反映できないのです。

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