相続財産の評価の仕方(動産)

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相続税の対象になる財産

被相続人が死亡して遺産を相続するときは、相続する財産を評価する必要があるでしょう。
その場合の対象となる財産がどれくらいの価値があるのかを算定し、その後は各自の相続分に応じて分配することになります。
相続財産には動産と不動産がありますが、動産の評価の仕方について詳しく見ていきます。

1)動産の評価について

動産の評価?

動作を相続する場合、それぞれの動産ごとに評価する必要があります。

株式(株主の場合)

証券取引所に上場されているのが上場株式であり、これは一般に公開されている投資信託も含まれます。
上場株式は証券取引所において日々取引が行われていることから、土地や建物などの不動産とは異なり、客観的な価値の把握が可能です。
そのようなこともあり上場株式の評価については、取引価額によって評価されることになります。
この場合の取引価額ですが、その日の終値「その日の最後の取引値」が基準です。
ただ実際に評価するときは、この終値をそのまま採用することはありません。
それは相続が発生した日の終値がたまたま高くなれば、相続税の評価額も高くなってしまうからです。
そのような不公平を回避するため、以下の4つのうちで最も低い価額で評価しています。

以上の数値の中から決めることになりますが、これらの終値のデータは証券会社や証券取引所で教えてもらえます。
また日本証券新聞などでも確認可能です。
なお課税時期「被相続人が死亡した日」に取引がなかった場合は、前後の日で最も近い日の金額で評価します。

預貯金

預貯金のうち定期預金などは、「課税時期の預入残高 + 既経過利子の額 - 源泉所得税相当額」の額になります。
また課税時期現在の利子額が少ない預貯金は、課税時期の預入残高です。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権は、課税時期の取引価格の70%で評価することになります。

農地や山林

農地や山林については、勝手に住宅を建築できないように法律で制限されています。
また該当農地や山林に、開発などの都市計画予定の有無によっても大きく変動します。

農地の評価には、以下の種類があります。

純農地と中間農地は倍率方式の財産評価
純農地「農用地区地域内の農地、第一種農地や甲種農地に該当する農地」及び中間農地の財産評価については、固定資産の評価金額に国税局や税務署で規定した一定の倍率を掛ける「倍率方式」で評価します。
市街地農地や市街地周辺農地の評価額
市街地農地や市街地周辺農地については、倍率方式や宅地比純方式で財産評価をします。
倍率方式で財産評価する場合は、相続した農地や似た条件の宅地の固定資産税評価額を基準にして計算します。
宅地比純方式の財産評価額
宅地比純方式の財産評価は、相続した農地を宅地であるとみなして評価額を計算します。
宅地比純方式の評価方法は、「農地が宅地であった際の評価額」 - 「宅地造成費に係る金額」になります。
宅地造成費については、国税局や税務署などで確認できます。
また市街地周辺農地の相続税評価額は、市街地農地の評価額の80%程度が目安です。
農地が生産緑地の財産評価額
生産緑地というのは、用途地域としての地区指定の一つです。
市街化区域内において、農地所有者の同意を得て農業を営むことを条件に、税制上の優遇を受けることのできる農地になります。
生産緑地の評価方法は、「相続した農地が生産緑地ではない場合の評価額」÷「生産緑地の条件」です。
生産緑地の条件については、下記のどちらかで計算します。

山林の評価は以下の通りです。

純山林と中間山林の評価方法
耕作の方法によらない竹木が生育する土山林は、純農地や中間農地と同じ倍率方式です。
固定資産税評価額に一定倍率を掛けて計算します。
市街地山林の評価方法
市街化区域内にある市街地山林の財産評価方法は、「相続した山林や農地が宅地であった場合の評価額(路線価)」 - 「宅地造成費に係る金額」です。
宅地造成費は、国税局や税務署などで確認できます。
保安林の評価方法
保安林の評価方法は、「近くの山林の固定資産税評価額」×「1 - 立木について制限に応ずる控除割合」です。
「立木について制限に応ずる控除割合」については、一部皆伐の場合は0.3、択伐の場合し0.5、単木選伐の場合は0.7、禁伐の場合は0.8です。
公社債

公社債は、売却手取り額が評価額の目安になりますが、具体的には以下のようになっています。

利付公社債
「発行価格 + 既経過利息の手取り額」あるいは「上場相場または気配相場 + 既経過利息の手取り額」のいずれか低い額です。
割引債
割引債は「発行価格 + 既経過償還差益」あるいは「上場相場または気配相場」の、いずれか低い額になります。
貸付金

貸付金や売掛金などの債権の評価は「財産評価基本通達204」により、原則的に元本の価額と利息の価額との合計額によって評価します。
ただしその債権金額の全部または一部について、課税時期に会社更生手続の開始決定などの一定事実が生じているような場合など、回収不能部分については元本の価額に算入しません。

書画・骨董などの美術工芸品

書画・骨董・貴金属については、自動車と同じように相続開始時点の時価で評価します。
ただ実際は、以下の価格などを元にして評価がされています。

家庭用財産

相続税の課税対象となる家庭用財産は家庭にある一般動産のことで、具体的には、自動車、家具、電話加入権、貴金属、骨董品などがあります。
家庭用財産については、1個あるいは1組ごとに評価するのが原則です。
ただ家具や衣服、書籍類などの家財については、1単位の価額が5万円以下であれば1世帯ごとに一括しての評価が認められています。
その場合、それらの家財をまとめて家財一式にし、申告する際は5万円や10万円など全体の価格を記載することになります。
また5万円を超えるような家庭用財産は、下記の評価方法によって1つずつ評価します。

自動車

自動車の相続税評価は、一般動産として計算します。
自動車の相続税評価は、国税庁の財産評価基本通達には規定がありません。
そのため自動車は一般動産として相続評価額することになっており、その一般動産の評価は5万円を超える場合は一つ一つに対して行います。
これら一般動産の相続税評価については、原則的に相続開始時点で売買が成立する価格の時価を採用しています。

相続財産には動産と不動産があり、それぞれの財産を時価に評価して相続人に分配することになります。
このうち動産には様々な種類があり、それぞれ評価方法が異なります。
そのため自分が相続するものが何であるのかを、早めのうちに確認しておくことが大切です。

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