葬儀費用は確定申告で控除してもらえるのか?

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葬儀費用は確定申告で控除してもらえるのか?

お通夜式やお葬式、告別式などお葬式では様々な費用が掛かることから、遺族側の負担は増えてきます。
そのため少しでも葬儀費用の負担を軽減したい、と考える遺族も少なくはないと思います。
葬儀費用の負担を軽減させる方法として知られているものには、確定申告があります。
しかし実際に確定申告によって、所得税などを軽減できるのかという点が気になるところですので、その点について紹介します。

葬儀費用と確定申告

葬儀費用と確定申告

お葬式に掛かる費用というのは、元々は遺族が負担すべきものであり、亡くなった方の債務ではありません。
しかし人が亡くなると必然的に発生する費用でもあり、故人から相続した財産から支払われることになりますので、相続税を計算する際に故人が残した債務と同じように相続された財産から差し引くことができます。
これはつまりお葬式に掛かった費用は、相続税の課税対象にならないということです。
そのため葬式の費用を上手に使いこなすことができれば、相続税の負担を軽減できることにもなります。

確定申告について

税金の負担を軽減できる方法の一つに確定申告があり、毎年年度末に行われています。
確定申告というのは所得にかかる税金、つまり所得税や復興特別所得税額を計算して、正しい額の税金を支払うための制度です。
個人の所得については、その年の1月1日から12月31日の1年間が対象になり、確定申告書や決算書などの必要書類を揃えて申告することになります。
申告期間ですが、2019年を見ると「2月18日から3月15日」になっていて、その期間に税務署に申告して納税することが義務付けられています。
確定申告は正しい額の税金を納めるために必要な手続きですので、申告をすることで納めすぎていた税金が還付されることがあります。

逆に納め足りなかった場合は、追加で支払うことになります。
確定申告が必要な人としては、「配当所得があった方」、「不動産所得があった方」、「個人事業主など事業所得があった方」、「給与所得があった方」、「退職所得があった方」、「譲渡所得があった方」、「山林所得があった方」、「一時所得があった方」、「雑所得(年金や事業的規模でないような副業など)があった方」が挙げられます。
サラリーマンは年末調整もありますが、次の方は確定申告が必要です。
「給与収入が2,000万円を超えている方」、「2箇所以上の事業所から給与を受け取っている方」、「配当所得や不動産所得といった副業所得が20万円を超える方」、「医療費控除や雑損控除などを受けている方」、「初めて住宅ローン控除を受ける方」、「年度内に退職して再就職しておらず、年末調整を受けられない方」、「ふるさと納税の納付先自治体が6箇所以上ある方」です。

確定申告が必要な方は、期限内に申告する必要があります。
その際には必要経費などを控除してもらえますが、お葬式などに掛かった費用も控除してもらえるのかが問題です。
お通夜式やお葬式、告別式などに掛かった費用を控除してもらえれば、これまでに納めた所得税が還付される可能性があります。
そう考えている方もいると思いますが、残念ながら確定申告では税金の控除は受けられません。
その代わりに相続税で控除を受けることができますので、葬式費用を控除してもらいたい方は、そちらで申告することをおすすめします。

所得税における葬儀費用の控除

所得税における葬儀費用の控除

確定申告では、葬儀費用を控除できません。
そのため所得税における葬儀費用の控除はありません。
ただ相続税であれば葬儀費用は控除できますので、お葬式を行った方は必要書類などを準備しておくといいでしょう。
その場合の葬式費用について知っておきましょう。

葬式費用について

最近は葬儀の形態が様変わりしており、日本では一般葬の他に家族葬や1日葬など、様々な葬儀が行われています。
形式についても、神式や仏式、キリスト式や無宗教など多岐に渡っています。
葬儀の形態は多種多様ですので、法律によって一律に定義付けするのは困難です。
そのため葬式費用の定義については、相続税法でも詳細には定められていません。
しかし、ある程度の規定がなければ相続税の計算ができなくなりますので、国税庁では一定のルールを設けています。

葬式費用にあたるもの

相続税法の観点から見た葬式費用とは、「お葬式を行うにあたり必ず発生する費用」のことを指しています。
これはお葬式を行う上で絶対に必要なものは葬式費用にあたり、それ以外の必要ないものは葬式費用に該当しないということです。
領収書などもよく問題になりますが、基本的には領収書がなくても大丈夫ですので、何時誰に支払ったのかが分かれば控除できます。

そして実際に葬式費用に該当するのは、以下のものになります。

葬式費用に該当しないもの

葬式費用に該当しないものとしては、以下のものが挙げられます。

相続放棄をした場合の葬祭費

相続放棄というのは、相続人が自ら受け取れる相続権を放棄するもので、その場合は被相続人の資産はもちろん、借金などのマイナスの財産も相続する必要がなくなります。
相続放棄は、相続開始の事実を知ってから3ヶ月以内に、最寄りの家庭裁判所に「相続放棄の申述」をする必要があります。
そうすることで、その後は相続に関する一切の適用を受けなくなります。
相続放棄をする場合は、相続財産には手をつけることはできず、一度でも手をつけてしまうと単純承認したものとみなされます。

葬祭費ですが、葬祭費を支払った後でも相続の放棄は可能です。
健康保険の葬祭費については、相続人がたとえ助成金を受け取ったとしても、それを葬儀代金に充当すれば相続放棄をできるとされています。
葬祭費は被相続人に対してではなく、被相続人の葬儀を行った喪主などに対して支払われるものであり、実際に葬儀を行なった人が受け取るものです。
そのため仮に相続人が相続放棄をしていても、喪主など葬儀の主催であれば葬祭費を受け取ることができます。

この記事のまとめ

葬儀に掛かった費用は相続税で控除できますが、所得税ではできません。
そのため年度末に行われる確定申告で申告しても、所得税が軽減されることはないのです。
相続放棄をした場合には、その相続人も葬祭費を受け取ることができます。

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