近年、徐々に注目されている『地震保険』の特徴と補償内容を詳しく解説!

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近年、徐々に注目されている『地震保険』の特徴と補償内容を詳しく解説!

地震保険?

1)地震保険が注目されるワケ

日本は世界有数の地震国と言われています。
東日本大震災、熊本地震など、日本では地震で大きな被害を受けてきました。

そして、東日本大震災以降注目されてきているのが「地震保険」です。
多くの世帯では、火災保険に入っています。
火災保険では、「火災」「落雷」「爆発」「風雪ひょう災」に対する補償を基本として、「水災」「盗難」「水漏れ」「騒擾(デモなどによる損害)」、その他建物に被害(例として、車が家に突っ込んできたなど)があったときに補償されます。

しかし、火災保険では、地震・津波・噴火による被害は免責、つまり保険金支払いの対象外のため、補償を受けることが出来ません。

地震で家が倒壊した、津波で家が流された、噴火のマグマによって家が全焼したなど、これらの被害は、すべて保険の対象ではありません。

自動車保険や傷害保険などでも地震・津波・噴火は通常免責になっており、特約という形で補償することになります

「地震保険」は「火災保険」では補償されない部分を補償する保険です。

「地震保険」は以前からあったのですが、以前は加入率が低く、阪神大震災前の平成6年度が9%、その後上昇し、東日本大震災直前の平成22年度23.7%でした。

平成28年度では、30.7%と初めて30%を超えました。

ちなみに、住宅の火災保険の加入率が85%(平成25年度)、任意自動車保険の加入率は74%(平成28年度)となっています。

保険の中では、加入率が低い地震保険ですが、平成6年度と比較すると加入率は3倍に増えています。

これまで、「地震保険」の加入率が低かった原因として、下記の原因が挙げられます。

しかし、大きな被害となった東日本大震災後、それまで敬遠されていた地震保険に対して、必要性が再認識され、それ以降は地震保険の加入率が上がっています。

東日本大震災では、地震保険に入っていないために、苦労される方が多く、そのことが新聞やテレビで報道され、意識が高まったと言えます。

実際に、岩手・宮城・福島の三県の東日本大震災直前(平成22年度)の地震保険加入率は、岩手県 13.2% 宮城 33.6% 福島 12.9% でした。

宮城県の33.6%は全国1位の加入率でしたが、それでも6割以上の方は地震保険未加入だったのです。

さて、後ほど詳しく説明しますが、地震保険は火災保険に付帯する形で入るのですが、東日本大震災以降、新しく火災保険に加入した人の6割が一緒に火災保険に入っています。
すでに火災保険に加入している方が、改めて地震保険に入るケースもあります。

ただ、地震保険のシステムが理解されていないため、支払い時にトラブルが発生することもありますので、地震保険がどのような保険なのかご紹介します。

2)地震保険の対象

まず、地震保険の対象となるのは「居住用の建物」と「生活用動産」です。

「居住用の建物」とは住宅のことですが、例えば飲食店や小売店をされている方が、自宅と同じ建物でお店をしている、あるいは町工場を経営されている方で、自宅と工場が同じ建物だった場合、生活スペースである住居部分しか地震保険に入ることが出来ません。

あくまでも、人が居住し、生活するスペースにしか補償されません。

「生活用動産」とは「家財」のことを指し、車や現金などは対象になりません。

賃貸住宅に住んでいる方については、建物自体の地震保険は大家さんが加入するかしないか決めますが、家財については住んでいる方が地震保険に加入するかしないかを決めなければいけません。

3)地震保険の特徴

さて、地震保険はいくつかの特徴があります。

「保険料はどの保険会社で入っても変わらない」

地震保険の保険料は、建物の構造、所在地によって決まります。
他の保険では、保険会社ごとに計算式を決めているため、会社によって保険料に差が出ますが、地震保険の保険料は国で決めているため、会社によって変わることはありません。

「火災保険に入らなければ、地震保険に入ることが出来ない」

地震保険に加入する際、地震保険だけに入ることはできません。
地震保険は、火災保険に付帯する形で加入しますので、必ず火災保険に入らないといけません。

また、火災保険の付帯なので、火災保険と地震保険を違う会社で入ることが不可能で、必ず同じ会社で入ることになります。

また、火災保険の契約をする場合、地震保険を付帯するかしないかを決めることが出来ますが、現在は何も意思表示をしない場合、自動的に地震保険に入るシステムになっています。

火災保険の申込書には「地震保険確認欄」というものがあり、「地震保険に入らない場合」のみ押印するようになっています。

ここに、押印がなければ地震保険に加入することになります。

「地震保険では建物を100%補償することが出来ない」

地震保険の補償額には限度があり、最大で「火災保険の補償額」の50%と決まっています。
これも、どの保険会社でも共通のルールです。

次の項目で詳しく説明いたします。

「年末調整の際、地震保険料控除がある」

生命保険、医療保険、介護保険などの保険料は、年末調整の際に保険料控除ができますが、自動車保険、傷害保険、火災保険などの損害保険の保険料は控除されません。

しかし、損害保険でも地震保険料は年末調整の控除の対象になり、申請すると所得税が安くなります。

地震保険に加入していると、年末調整の時期に、保険会社から「地震保険料控除証明書」が送られてきますので、大事に保管しておきましょう。

4)地震で被害を受けた場合の補償は?

補償内容は?

まず、地震保険の保険金支払いのルールについてご紹介します。

先ほども触れましたが、地震保険では建物や家財を100%補償しません。
最大で火災保険で設定した保険金額の50%というルールがあります。

このルールを理解しておらず、地震保険で全額保険が降りると勘違いし、支払いの時に保険会社ともめるケースがあります。

さらに、保険金は「どのくらいの被害を受けたか」によって変わるのですが、地震保険の場合「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階で判定します。

基準は国が定めており、下記のようになります。

「全損」…契約金額100%補償
建物 損害額が時価の50%以上、または流出、焼失の床面積が建物の延べ床面積の70%以上
家財 損害額が時価の80%以上
「大半損」…契約金額60%補償
建物 損害額が時価の40%以上50%未満、または流出、焼失の床面積が建物の延べ床面積の50%以上70%未満
家財 損害額が時価の60%以上80%未満
「小半損」…契約金額30%補償
建物 損害額が時価の20%以上40%未満、または流出、焼失の床面積が建物の延べ床面積の20%以上50%未満
家財 損害額が時価の30%以上60%未満
「一部損」…契約金額5%補償
建物 損害額が時価の3%以上20%未満、または建物が床上浸水、あるいは地盤面から45cmを超える浸水を受け、損害額が20%未満。
家財 損害額が時価の10%以上30%未満

そして、重要なのは「時価払い」というところです。

火災保険では、ほとんどが「新価実損払い」という支払い方法を使っていて、例えば1000万円で火災保険に入っていた建物が全焼した場合、「同じ建物を立て直した場合」の金額で保険料を払います。

「新価実損払い」は、たいていは保険金が契約金額より高くなるのですが、「時価払い」は「同じ建物を買う場合」の金額で保険料を支払います。
そして、建物が古くなれば古くなるほど、保険金は低くなります。

そのため、1000万円の建物に地震保険を500万円でかけても、全損で500万円でないことがあるということです。

5)地震保険の保証料は所在地と建物の構造で異なる

地震保険は都道府県ごとに保険料が変わります。
これは、地震の発生数、あるいは今後大きな地震が発生する確率から、地震で大きな被害が出る可能性がる地域については保険料を高く設定しています。

都道府県を3つのグループに分けており、一番保険料が高い地域は3等地とし、以下2等地、1等地となっています。

さらに同じグループでもさらに細かく保険料が決められています。
なお、地震保険の保険料が一番高いのは、東京都・神奈川県・千葉県です。

これに、建物が耐火構造か、非耐火構造かによって保険料が変わります。
非耐火構造が木造の建物で、耐火構造はコンクリートや鉄骨など木造以外の建物と覚えましょう。

これに加えて、昭和56年6月1日以降に新築された建物は一律10%引きになります。

他にも耐震等級割引や、免震建造物割引などがあります。

まとめ

地震保険はほかの保険に比べ複雑で割高な保険ですが、ぜひ入ることをお勧めいたします。
地震は被害が大きく、保険の加入状況で、その後の生活が大きく変わります。
東日本大震災では地震保険に入っていないために、苦労された被災者が多くいらっしゃいます。

また、地震保険は最高で50%の補償しかありませんが、保険会社が独自で残りの50%を補償できる商品を販売しているところもありますので、ぜひ様々な保険会社の商品を比べてみましょう。

また、法人向けに住宅以外の建物に地震の補償をかけられる保険(地震拡張担保特約と言います)もありますので、事業をされている方は保険会社に問い合わせてみましょう。

備えあれば憂いなし、明日は我が身です。
これを機会に、地震保険を検討してみてはいかがでしょうか?

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