神式・キリスト教式の通夜の概要と進行例

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神式・キリスト教式の通夜の概要と進行例

1)神式の通夜は?

神式の通夜は?

神道の葬儀には仏式の葬儀と異なる習わしがあります。
仏教の葬儀は「故人を極楽浄土に送るために行われ、故人は仏様のもとで安らかに暮らす」とされています。

これに対して神式の葬儀である神葬祭では、「故人を家に留めて守護神とするための儀式」という位置づけになっています。
このような故人の魂を家内に留めて守り神として、先祖崇拝(そせんすうはい)するというのが神式の葬儀の習わしになります。

また、仏式の葬儀は寺院で行われますが、神葬祭が神社で行われることはほとんどありません。
神道では死は穢れ(けがれ)であるとされていて、神社のような神の聖域に穢れを持ち込むことはよくないという考え方のためです。

神式と仏式ではこのように大きな習わしの違いがあります。

2)神式の通夜の進行例

通夜祭

神式では、仏式の通夜にあたる「通夜祭」という儀式があります。
前述の通り神道では、死を穢れとしているため、通夜祭は神社ではなく、自宅か斎場で行われます。

通夜祭では、式の前に参列者は「手水(ちょうず)の儀」を行い、身を清める為、手水で手を洗い、口をすすぐようにします。
そして、斎主(神職)による「祭詞奏上(さいしそうじょう)」、仏式の焼香にあたる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」などの儀式があり、斎主→喪主→遺族→親族→参列者の順に玉串奉奠を行います。

その後は仏式では位牌に当たる、霊璽(れいじ)に故人の霊を移す「遷霊祭(せんれいさい)」という儀式が行われ、この儀式によって故人の霊は一家の守護神になります。
通夜祭の後は、「直会(なおらい)」が開かれます。
これは仏式でいう通夜振る舞いに該当します。

手水の儀の作法はどうしたらいいの?

手水の作法は、水の入った手桶から、柄杓で水を汲んで、左手、右手の順に水をかけます。
次に、左手で水を受け、その水で口をすすいで、もう一度左手にかけます。
口元や手は、用意されている懐紙かハンカチ等で拭きます。

葬場祭

神式の「葬場祭」は仏式の葬儀に該当します。
葬場祭には、死のけがれを清め、死者を神として祀る儀式とされています。
通夜祭と同様に、手水の儀から始まり、「修祓の儀(しゅばつのぎ)」と呼ばれるお祓い、祭詞奏上、玉串奉奠を行います。

斎場祭後は「出棺祭」「火葬祭」「帰家祭(きかさい)」、仏式の精進おとしにあたる直会が行われます。

なお、神式では仏式で用いる数珠は使いませんから注意が必要です。
お悔やみを述べる時も「冥福」「成仏」「供養」などの仏教用語の使用は避けます。

玉串奉奠の作法

通夜祭や葬場祭では、玉串奉奠という儀式が行われます。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)という白い紙片をつけたもので、これを祭壇に捧げて故人の霊が安らかである祈りを捧げます。

①斎主に一礼し、玉串を受け取る

右手で根元を上からつまみ、左手で枝先を下から支えるようにして受け取るようにします。

②玉串を回転させる

次に受け取った形のまま玉串を目の高さまでおしいただき、根元が手前に来るように右回り(時計回り)に90度回転させます。

③玉串案に置く

左手を枝先に移動して、持ち手を変え180度を水平に回して根元を祭壇に向け、玉串を玉串案と呼ばれる台へ置きます。
その後数歩退き、しのび手で二礼二拍手一礼を行います。
最後に遺族に一礼してから下がります。

しのび手と二礼二拍手一礼について

音を立てない拍手のことを「しのび手」といいます。
弔事の場合の拍手を、しのび手で行う決まりになっています。
「二礼二拍手一礼」は神式の儀式でよく行われる作法です。
2回礼をし、2回手を合わせ、最後に深く1回一礼をします。

3)キリスト教式の通夜は?

キリスト教式の通夜は?
キリスト教式

仏式や神式と異なり、キリスト教では通夜は行わないことになっています。

しかし、キリスト教では、日本人の習慣に従って前夜祭仏式の通夜ぶるまいにあたる通夜の集いという形で行います。

内容はキリスト教式であっても仏式に沿った内容で行われることが多いようです。

ポイントとしては、儀式で必要な聖書や聖歌・賛美歌の一節はコピーを用意して、会葬者に配るようにします。
こうすることで慣れないキリスト式の通夜に参列する方でも安心して儀式に参加できます。

また、参列者全員が献花しますので、花の数に不足がないように気を付けましょう。
手配の際は十分な確認が必要です。
もし、自宅で通夜を行う場合には、司会者への謝礼は、お車代と白い封筒に表書きして渡すといいでしょう。

4)キリスト教式の通夜の進行例

カトリック式について
①通夜の集い

仏教の通夜にあたる儀式は、カトリックでは通夜の集いと呼んでいます。
カトリックでは、通夜のしきたりは特にありません。
基本的には自宅や教会で神父とともに故人へ祈りを捧げます。

②納棺について

通常納棺については、通夜の前に行います。
場合によっては通夜後に行うこともあります。
その後納棺の前に遺体を遺族、近親者が囲み、神父が納棺の言葉を捧げます。

その後参列者一同で聖書の朗読、聖歌斉唱、祈りを捧げ、遺体を棺に納めた後に、故人の周りを白い花で埋め、祭壇に安置します。

カトリックでは、地域によって信者以外の弔問客のために、普通の葬儀と同じように焼香台の用意をしておくこともあるようです。

プロテスタントの前夜式
①前夜式

プロテスタントではカトリック式と異なり、仏教の通夜にあたる前夜式という儀式があります。
前夜式は、納棺式と兼ねたり、納棺式に引き続き行われます。

②納棺式

納棺式では、牧師が故人の枕元で祈りを捧げた後に、遺族の手で棺に納めます。

遺体の周りを白い花でいっぱいにして、蓋をした上から黒い布で覆います。

そして、遺体を前夜式を行う部屋に安置します。
遺族一同が席に着くと、賛美歌を斉唱して、聖書朗読の後、祈りを捧げます。
牧師の納棺の挨拶の後に、再び賛美歌を斉唱して、祈りを捧げて終わります。

前夜式では、棺を安置した部屋に、遺族、近親者、友人が集まって、牧師の前で前夜式宣言で始まります。

故人が生前好きだった賛美歌の斉唱、聖書朗読に続いて、牧師が主の祈りを捧げて、再び聖書の朗読、牧師による祈祷があり、賛美歌を斉唱します。

その後、牧師による死についての説教や故人の人柄を偲ぶ話があり、参列者一同が献花を行います。

仏式でいう通夜振る舞いは特にありませんが、簡単な料理を出して参列者をおもてなします。
日本ではキリスト教での通夜は少ないので、遺族は儀式の次第などを用意すると初めての参列者にもわかりやすいでしょう。

神式やキリスト式の葬儀は日本では少数派です。
マナーやしきたり、注意点も仏式と異なるため、これらの葬儀に参加する場合は是非儀式にあった作法を調べてから参列するのが望ましいでしょう。
このようにマナーや儀式の内容が異なるのは宗教観の違いや儀式に対する習わしの違いからによるためです。

また、キリスト式や、仏式、神式以外にも現代ではイスラム式、ヒンドゥー式の葬儀など他国の宗教の葬儀を執り行う葬儀会社も存在しています。
外国人移住者が増加するようなことになればこのような他国の様々な葬儀に対応する会社が必要になると予測されます。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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