葬儀費の遺留分減殺請求と確定申告について

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葬儀費の遺留分減殺請求と確定申告について

葬儀を行う際に最も気になることの一つが、それにかかる費用ではないかと思います。
葬儀の内容や規模などによって金額は異なりますが、できることなら安くしたいという人も少なくはないはずです。
葬儀費用を少しでも安くする方法を始め、遺留分減殺や還付、確定申告などについてを紹介します。

遺留分減殺請求と葬儀費

遺留分減殺請求と葬儀費

葬儀費用を考えた時に忘れてはいけないものとして、遺留分減殺請求というものがあります。
遺留分減殺請求というのは、被相続人が特定の相続人などに遺産の全てを相続させるなどの遺言書を残していたケースや、特定の相続人のみに有利な内容の遺産分配がされた時に、他の法定相続人が自己の最低限の遺産の取り分を保持できる制度のことを言います。
法定相続人は自身に葬儀費用がかからないように請求する権利も有しており、その場合も遺留分減殺請求できるのです。
ただ法定相続人が遺留分減殺請求を行使する場合には、当然のことですが、まずは相続財産を確定しておかなければいけません。

その際に、相続財産については被相続人の葬儀費用を差し引くことができるか、という問題です。
遺留分減殺請求を行う場合は、葬儀の費用を誰が負担するのかを確認しておく必要があります。
葬儀費用を負担する者にも色々な見解がありますが、結論から言えば葬儀の主催者が負担すべき、と判例では結論づけられています。
法律の条文としては民法885条が根拠になります。
885条では「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。
ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。
前項の費用は、遺留分権利者が贈与の減殺によって得た財産をもって支弁することを要しない。
」と規定されています。
従って、法定相続人などの遺留分権利者は「実際にかかった葬儀費用はいくらか把握していないけど、それによる自身の遺留分額には影響はない」という主張ができるのです。

葬儀費用を誰が負担するのかについては残された家族によっては難しい面もありますが、実務的に相続が開始した後は喪主が葬儀会社などと契約するのが一般的ですので、費用についても喪主が負担するという考え方が主流のようです。
実務的な面を考慮しても、喪主以外の法定相続人は葬儀費用についての遺留分減殺請求をできることになります。
法定相続人は遺留分減殺請求が可能ですが、遺留分権利者が実際に遺留分の返還を受けるには、一定期間内に申請する必要があります。
遺留分減殺請求をする方法については、法律上で特に決められていませんので口頭で伝えても問題はありません。
口頭でも遺留分減殺請求は成立しますが、実際の請求には期限がありますので、後々のトラブル回避を見越して証拠を残しておくためにも、通常は書面による通知を行うのが一般的です。
遺留分減殺請求について分からないことや不明な点があれば、弁護士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。

葬儀費用にも還付金はある?

葬儀費用にも還付金はある?

葬儀費用には還付金があり、申請することでいくらか補助金をもらうことができます。
もちろん健康保険などに加入していることが条件ですが、期限内に申請すれば葬儀費用の補助として還付を受けることができます。
葬儀費用の還付金は自動的にもらえるものではなく、自分自身で申請しなければいけません。
国民健康保険でもらえる還付金は、国民健康保険に加入した故人が死亡した場合に支給されます。
実際に支給される額は自治体によって異なりますが、1~7万円程度が目安になります。
被保険者が死亡した場合に、被保険者によって生計を維持していた人たちがいる時は、家族埋葬料として支給されます。

例えば、会社勤めの夫が亡くなった時には、奥さんに埋葬料が支給されることになります。
葬祭費については国民健康保険から支払われますが、国民健康保険以外の加入者にも支払われ、働いている会社の健康保険組合などからも「埋葬料」という名目で還付されますので確認しておきましょう。
国家公務員は共済組合に加入していますので、国民健康保険や健康保険よりもらえる金額が多くなり、10~27万円程度の額が還付されます。
また埋葬費というのは、家族や親戚などの近親者が近くにいない場合に受けることができるものです。
埋葬費は、直接埋葬にかかった実費額のうち、5万円を上限として支払われます。

申請期間

葬儀費用には還付制度がありますが、葬祭費や埋葬料、埋葬費の還付を受けるには一定期間内に申請する必要があります。
国民健康保険より還付される葬祭費については、葬祭を行った日から2年以内に申請しなければいけません。
社会保険から還付される埋葬料や家族埋葬料については、故人が亡くなってから2年以内に、埋葬費については埋葬を行った日から2年以内の申請が必要です。
基本的に還付制度には期限があり、それを1日でも過ぎてしまうと還付を受けられなくなってしまいますので注意しておきましょう。
故人が亡くなり、お葬式をした場合はできるだけ早めに手続きを行うことをおすすめします。

申請に必要な書類

葬儀費用の還付金を受ける際には、必要な書類を用意する必要があります。
国民健康保険に加入していた場合は、葬祭費の申請は亡くなった方の住民票がある区役所や役場で申請します。
その際には、国民健康保険葬祭費支給申請書、故人の国民健康保険の非保険者証、葬儀の確認できる書類、葬儀会社からの領収書や請求書などが必要です。
その他にも葬祭費の振り込み先の情報として、振込先の金融機関や口座番号、申請者の本人確認ができるものとして運転免許証なども必要です。
後期高齢者保険は、対象となる高齢者には個人単位で保険料を支払う制度となっています。
健康保険に加入していた場合は、健康保険埋葬料請求書、故人の健康保険証、 死亡を証明する書類などが必要です。

葬儀費用と確定申告

葬儀費用を確定申告したいと思っている人もいるかと思いますが、結論から言えば葬儀費用を確定申告することはできません。
葬儀費用と言っても中身は様々であり、項目によっては控除対象に含まれるものと含まれないものがあるためです。
そのため葬儀費用については、相続税控除として申請することになります。

相続税の控除対象になる項目
①葬儀一式の費用

お葬式にかかった費用は控除対象になります。
どのようなものがあるかと言えば、お通夜や告別式などにかかった費用や会場使用料などです。
他にも、葬儀会社が用意したお供え物などの費用や、会場設置にかかった費用なども含まれます。

②寺院費用

菩提寺の僧侶に渡すお布施や戒名料などの他に、寺院でお葬式を行った際の会場費などもあります。

③飲食接待費用

お通夜や葬儀の際に用意した会食費や、使用した会場費などです。

控除対象にならない項目
①香典返しの費用

香典返しは、香典をいただいた方へのお返しにかかった費用です。

②法事費用

葬儀が終わった後に行う法要、具体的には初七日法要や四十九日法要などにかかった費用です。
告別式以降の法要は控除対象に含みません。

③墓石費用

永代使用料などのお墓の土地に対する費用や墓石の建立費用、さらに彫刻代なども控除対象にはなりません。
お葬式とお墓は、あくまで別々のものであるとされています。

葬儀費用の負担を抑えるため、遺留分減殺請求を行うのも方法の一つです。
他にも葬儀費用には還付金制度もありますので、お住まいの地域の自治体で確認しておくと良いでしょう。
また葬儀費用は確定申告ではなく、相続税の控除としてあげることができます。

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