エンバーミングとは

エンバーミングとは

葬儀の際に行われるエンバーミングには、様々な目的があります。
また業者によって費用や手順が異なりますので、依頼する際は事前に確認しておくといいでしょう。
故人にとっても家族にとっても、最も良い方法を選ぶことが大切です。

エンバーミングとは

エンバーミングについて

エンバーミングというのは、故人の遺体を修復する作業のことです。
遺体に対して防腐処置や殺菌消毒、お化粧などをしてキレイにすることで、時間にとらわれることなく故人と最期のお別れができるようになります。
エバーミングの効果はまちまちですが、実際に行った場合は10日間～2週間程度の保持力を期待できるとされています。
エンバーミングを行うことで、遺体を腐敗させることなくキレイに保存できます。

この処理によって時間的な猶予ができることから、遺族や故人が希望するような葬儀の準備も余裕を持って行えるようになります。
業者によってサービスの内容は異なりますが、故人の皮膚が事故やケガ、天災などによって損傷した際や遺体の傷みが激しい場合であっても、その部分をキレイに隠すことができますので、やつれや闘病の状態を見せることもなくなります。
キレイに処理することで、生前の健康でキレイな状態に近づけることができるのです。

ただエンバーミングを行う際は、自宅などに安置している遺体を保全処置を行う施設に移動する必要があります。
そのため場合によっては、半日程度遺体と離れることもありますので、その点の理解も必要です。
故人の遺体と離れることに不安を感じる人もいるかもしれませんが、故人がよりキレイになって帰ってきますので悲しみも癒えるのではないかと思います。
エンバーミングを、故人とのお別れする際の選択肢として考えてみるのもいいでしょう。

エンバーミングを行う目的

エンバーミングには、以下のような目的があります。

① 遺体の腐敗防止のため

エンバーミングは、遺体が腐敗することで起こる感染症の拡大防止の役目を担っています。
遺体は時間の経過と共に腐敗が進みますので、その前に消毒や殺菌を行ってキレイにする必要があります。
このような遺体処理は遺族や関係者に対してはもちろん、それ以外の人のためにも役立っています。
例えば遺体を取り扱う医師や看護師、葬儀会社のスタッフなどへの感染防止などが該当します。

② 遺体の修復のため

エンバーミング遺体に付いたキズを修復し、キレイにするためにお化粧も行います。
遺体をキレイにすることで、生前のような健康的な顔や姿で故人との最期のお別れができるようになります。

③ 故人との最期のお別れを楽しくするため

故人が生前のときと同じように元気に見える姿に戻れますので、最期のお別れの時間を存分に行うことができます。
特に遺体の処置をしないとドライアイスなどの使用が必要になりますが、エンバーミングであればそのような処置も不要です。
そのため遺体に触れた際の冷たさや違和感も軽減でき、さらに故人がお気に入りであった服を着せることもできます。
さらに距離がある場所に移動する際も、安心して行えます。
国内の長距離移動はもちろん、国外に搬送をする際もエンバーミングは威力を発揮してくれます。

エンバーミングのメリット

エンバーミングには様々なメリットがあります。

• 遺体の長期間の保存が可能になりますので、余裕を持って故人との最後のお別れができます。
• 遺族や医師・看護師などへの感染症を防ぐことができ、さらに遺体特有の匂いの発生も抑制できます。
• 故人を、生前に近い状態に戻すことができますので、遺体を目の前にした際の悲しみを軽減できます。

エンバーミングのデメリット

エンバーミングはメリットが多いようなイメージがありますが、以下のようなデメリットもありますので注意しておきましょう。

• エンバーミングの処置をしている際は、故人の遺体が遺族から離れます。
  これは専用の施設に運ぶ必要があるからです。
• 当然のことですが、エンバーミングを行うとその分の費用が別途発生します。

エンバーミングを行う際の費用は？

エンバーミングの費用は、実際に処置を行う業者によって異なります。
日本で実施しているエンバーミングの費用としては、専門業者や遺体の状態などによっても、その金額は変動します。
ただ基本料金についてはIFSA、一般社団法人日本遺体衛生保全協会が規定していますので、どの業者も大体ではありますが同じくらいの金額が設定されています。
その基本料金は15～25万円と言われており、その中には以下の事項も含まれています。

自宅から施設間の搬送、エンバーミングの施術費用、ケガや病気などの損傷や修復費用、着付け・化粧・納棺費用などです。
このうちケガの修復や搬送料金については、業者によって別途料金になっていることもあるため確認が必要です。
念のため、事前に業者に問い合わせておくと間違いないでしょう。
なお日本にはエンバーミングを行うエンバーマーについての公的資格はありませんが、基準については日本遺体衛生保全協会が定めています。

エンバーミングを行う方法

基本的なエンバーミングの手順は、以下のようになっています。
これは現在日本で実施されている、基本的なエンバーミングの処置手順になります。
ただそれぞれの遺体の状態が異なりますので、エンバーマーによっては手順の方法や使用薬剤の配合などを変える場合もあります。

• ① 脱衣

  最初は故人が着ている服を脱がせ、損傷部位がないか全体を確認します。
  このときには同時に包帯やガーゼなども取り除き、着衣を取った後は布などを使用して局部を被います。

• ② 消毒や洗浄

  故人が着ている衣服を脱がした後は、全身をスプレーします。
  ここでは体に付着している細菌や微生物などを消毒殺菌し、洗浄してキレイに整えます。

• ③ 鼻腔や口腔などの殺菌や洗浄

  鼻腔や口腔、その他体腔内に脱脂綿などが詰められているときはそれを取り除き、消毒薬などを用いて殺菌洗浄を行います。

• ④ 顔の処置

  鼻腔や口腔などの殺菌や洗浄が終わったら、口を縫合し形を整えます。
  また目にアイキャッチなどを挿入して目の形をキレイにし、男性でヒゲが濃い人は必要に応じてヒゲ剃りも行います。

• ⑤ 切開

  顏がキレイになったら今度は皮膚を小さく切開し、体表近くにある動脈や静脈を確認します。

• ⑥ 注入管や排出管の血管の統合
• ⑦ エンバーミングマシーンより動脈に注入管を、そして静脈には排出管を繋ぎます。

• ⑧ 血管に防腐溶液を注入する

  動脈から防腐溶液の注入し、それと同時に静脈から血液を排泄します。

• ⑨ 血管に防腐固定液を注入する

  血管に、メチルアルコールやホルマリンなどの防腐固定液を注入します。
  ここではマッサージを行いながら注入します。
  この防腐固定液の中には色素なども配合されていますので、注入後は遺体の表情に赤みが増してきます。

• ⑩ 切開部の縫合と全身の洗浄

  腐敗液注入で切開した部分の縫合や、全身の洗浄を行います。

• ⑪ 修復・着衣・お化粧

  修復の必要がある部分は修復をし、最後は着衣してお化粧を行います。

故人の遺体をキレイにするエンバーミングですが、これを行う目的やメリットも色々とあります。
また気になる費用については、実際に処置を行う業者や遺体の状態によっても異なります。
葬儀会社や専門業者によってサービス内容なども大きく異なりますので、事前に確認しておくことが大切です。

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