故人が公的年金を受けていた場合の手続き

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故人が公的年金を受けていた場合の手続き

お葬式やひと通りの葬儀事務の引き継ぎが終わった後、今後の生活についてを考える必要が生じます。
それなりの資金があればいいのですが、特に資金が残っていない場合には故人の年金が大きな助けとなります。
故人が公的年金を受けていた場合の手続きを、どのようにすればいいのか紹介します。

1) 年金の支払いを止める手続き

年金の支払いを止める手続き?

これまで公的年金を受けていた方が亡くなった際に、今後は年金を受け取る権利が喪失するため、その支払いを止める手続きを行う必要が生じます。
そのため年金事務所には、「年金受給権者死亡届」を提出する必要があります。
この時に日本年金機構にマイナンバーを登録している方は、原則としてこの書類の提出は省略することができます。

「年金受給権者死亡届」の提出先は、年金事務所あるいは街角にある年金相談センターです。
年金を受けている方が亡くなった場合には、速やかに年金の受給を止めなければなりません。
そうしなければ、本来受け取れない分の年金までも受け取ってしまうことになるからです。
過剰に受け取ってしまった年金については、後に返金する義務が生じます。
当然手続きなどには手間がかかりますが、それ以外にも不正受給の疑いをかけられることもあり大変です。
そのため必要な書類は、なるべく早く提出する必要があります。

2) 未支給年金を請求する

年金を受けている方が亡くなった時は、これまで受け取っていない年金あるいは亡くなった日以後に振り込みされた年金の中で、亡くなった月分までの年金を未支給年金として故人と生活基盤が同じであった遺族が受け取ることが可能です。
ちなみに未支給年金を受け取れる遺族は以下の方です。
配偶者、子供、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族です。
いずれも故人と生計を同じくしていたことが条件になります。

また実際に未支給年金を受け取れる順位も、この順番の通りになります。
年金というのは2ヶ月に1度、偶数月の15日に指定の口座に振り込まれます。
年金は死亡した月分まで支給される、と決まっています。
例えば3月1日に死亡した場合には、2~3月分の2ヶ月分の年金を4月15日に、4月1日に死亡した場合は4月分だけを6月15日に受け取ることができます。
年金自体が通常は後払いの形で支払われますので、故人が年金を受給していた場合には必ず未支給年金が発生することになります。

その分を遺族が受け取る際には、遺族自身が請求手続きを行うことになります。
未支給年金を受け取るためには、年金事務所や年金相談センターに必要な書類を提出する必要があります。
この時に必要となる書類は、死亡届と未支給年金請求の届出です。
しかし日本年金機構にマイナンバーを登録している方は、この年金受給権者死亡届の提出を省略できます。

3)年金に関する手続き

年金に関する手続き
死亡届(提出先・添付書類)

「年金受給権者死亡届」の添付書類は次の通りです。

未支給年金請求の届出

これらの提出先は年金事務所や年金相談センターになります。

未支給年金請求書(提出先・添付書類)

未支給年金請求書の提出先、添付書類は次の通りです。

年金受給権者死亡届
未支給年金の届出

提出先は年金事務所や年金相談センターです。
不明な点については、ねんきんダイヤルや年金事務所に問い合わせてください。
なお年金の請求については、預貯金通帳のコピーの添付だけでも手続きが可能になりました。
死亡届けなどを提出する際は書類の提出が遅れると年金を多く受け取ることになり、後日返還することになります。
そのため年金を受けている方が亡くなった時には、早めに提出するようにしてください

4)遺族年金の種類

遺族年金は大きく分けて3つの種類があります。

遺族基礎年金

こちらは自営業者が亡くなった場合に支給される年金のことです。
国民年金に加入した方が死亡した場合、または以前に国民年金の加入者であった方が死亡した場合に支払われます。
条件としてその方が日本国内に住所を持ち、且つ60~65歳未満で死亡した時にその加入者と生活を共にしていた「18歳未満の年度末までの子がいる配偶者」や、その子に限られます。
要するに子育ての対象者がいないと支給されないのが、遺族基礎年金でもあるのです。

そのため遺族基礎年金は子育て年金、と呼ばれることもあります。
遺族基礎年金の支給条件は次の通りです。
死亡した月の前々月までの国民年金に加入していた期間の2/3以上の保険料を納付あるいは免除されていること、さらに死亡した月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが条件となります。
遺族基礎年金には他にも2つの遺族給付制度があり、それが寡婦年金と死亡一時金です。
寡婦年金は60~65歳の誕生日までの5年間に受け取ることができます。
また死亡一時金は、保険料納付済期間の長短によって受け取る額が異なります。

専門家のワンポイントアドバイス!
補足
遺族厚生年金

こちらは会社員が亡くなった場合に支給される年金になります。
故人が生前に会社員など厚生年金などに加入していた時、または厚生年金の加入中に初診日のある傷病によって初診日より5年以内に死亡した場合、その加入者と生活を共にしていた遺族に支給されます。
遺族厚生年金というのは、遺族基礎年金の額に加算された額が支給されます。
またその遺族の範囲についても遺族基礎年金より広くなっており、18歳未満の子がいない配偶者やその他の人にも支給されます。
要するに遺族基礎年金とは異なり、故人に子供がいなくても配偶者に支給されるのが遺族厚生年金の特徴です。

そのため遺族厚生年金は夫婦年金と、呼ばれることがあります。
遺族厚生年金の支給条件は次の通りです。
遺族基礎年金と同じように死亡した月の前々月までの国民年金の加入期間の2/3以上の保険料の納付あるいは免除されていること、さらに死亡した月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが条件とされています。

遺族共済年金(平成27年9月30日までに受給権が発生した「共済年金」についての説明)

こちらは公務員が亡くなった場合に支給される年金です。
遺族共済年金は、遺族厚生年金と支給金額が異なるだけです。
支給条件などについては、遺族厚生年金の支給条件と同じになります。

故人が公的年金を受けていた場合には、それなりに手間のかかる手続きを行わなければなりません。
生前に故人が加入していた年金の種類によって、支給額や支給条件などが異なりますので前以って確認しておく必要があります。
どうしても不明な点については、ねんきんダイヤルや年金事務所に問い合わせて聞きましょう。
お葬式後のバタバタしている時ではありますが、速やかに手続きを行わないと後々に年金の返還義務などが生じることもあるため気をつけましょう。

専門家のワンポイントアドバイス!
補足

平成27年10月1日以降に受給権が発生した「共済年金」は、「遺族厚生年金」となります。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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