エンゼルケアの内容や費用

エンゼルケアの内容や費用

医療機関で人が亡くなり、その後に遺体をキレイにするために行われるのがエンゼルケアです。
エンゼルケアの方法は医療機関によって異なりますので、事前の内容や費用などの確認も大切です。
このエンゼルケアの詳細についてを紹介します。

エンゼルケアとエンゼルメイク

エンゼルケアでは様々なことを行いますが、その中の一つがエンゼルメイクになります。
エンゼルメイクとはつまり死化粧のことであり、亡くなった患者さんに対して施します。
どうしてそのようなメイクをするのかというと、人は亡くなると顔色が変化してくるからです。
生きて活動していると血液が循環していることもあり、肌には自然な血色や艶を見ることができます。
しかし亡くなってしまうと、それが変化してきます。

患者さんによって違いはありますが、一般的には目に見えない変化から始まり、徐々に目の周辺や肌の色に変化が出てきます。
また病気や処方された薬の作用という影響もあり、黄疸が発生したり褐色になったりする人もいるようです。
お葬式に参列した方に対して、故人が生前の元気な姿に見えるように行われるのがエンゼルメイクです。

エンゼルメイクの実態

エンゼルメイクというのは、亡くなった方の顔や体を専用の化粧品などを使用して、キレイに整える方法になります。
医療機関ではエンゼルメイクを行っていますが、それもエンゼルケアの一つであって死後処置と呼ばれることもあります。
入院されていた方が医療機関で亡くなった際には、看護師がエンゼルケアを行うことが多いのです。
そのためエンゼルメイクを含めたエンゼルケアが、最後の看護行為と呼ぶことができます。

エンゼルメイクを施すことによって、故人が生前の元気だった頃のようにキレイに変身できます。
実際の方法では様々なメイキャップ用品が使われており、医薬品メーカーなどではメイキャップ用の「エンジェルキット」などの死後処理セットを発売しているところもあります。
そのため医療機関の中には、そのような専門器具を用いるところもあり、その分が最終的な料金に加算されることになります。
エンゼルメイクの方法は各医療機関によって異なりますが、一般的な方法としてはクレンジングからスタートする、通常のお化粧と同様なのがほとんどです。

遺体にクレンジング剤をつけた状態で、剃毛などをしていきます。
剃毛はカミソリなどを使用しますが、電気カミソリでヒゲを剃る場合はクレンジングする前に済ませておきます。
毛を剃った後に保湿クリームを塗り、その後にファンデーションを使用してお化粧を施します。
メイクは蒼白化した顔の血色を取り戻すことが目的であることから、少し明るめのカラーを選ぶことが多いようです。
また遺体にキズなどがある場合は、最初にカバーリングワックスなどを使用してカバーします。
他にも粘着包帯などでしっかりカバーした後にワックスを使用する、など様々です。

エンゼルメイクによってもたらされるもの

患者さんの中には長期にわたって闘病した結果、その顔が著しく変化している人もいます。
そのような状態を生前の面影にするために、クレンジングやマッサージなどで処置を行います。
そこでは遺体の表情を和らげたり、ファンデーションを用いて黄疸を良くしたり、その方に見合った口紅の色を選択するなどメイクには多くのスキルが求められます。
メイキャップは看護師が行うことが多いですが、看護師だけでなく家族も一緒に行うことがあります。
家族がサポートすることで、より長い看取りの時間を持つことができるのです。

闘病中の苦しい表情が少しでも和らげば、お別れをする家族や親族の気持ちも和らぐはずです。
故人の元気な頃の顔を最後の表情として、しっかりと記憶に残すことができます。
医療機関側から見たらあくまで死後処理の一環かもしれませんが、遺族側から見たらとても重要な過程だと言えるでしょう。
このようにエンゼルメイクには様々な効果があり、メイクによってメリットがもたらされることが分かります。

エンゼルメイクを看護の最後の仕事という観点から見ると、仕事に携わるナースに達成感をもたらしてくれますが、それに加えて看護師をサポートした家族など、看護に携わった人たちも十分に癒されているのです。
エンゼルケアなどの死後処置の問題は日本では保険診療などが関係しているため、実際に普及するにはまだ大きな壁があります。
しかし死後処置はとても大切な行為でもありますので、今後は日本でも広まっていくことが予想されます。
そのため早い段階から、エンゼルケアについて理解しておくことも大切です。

エンゼルケアの相場と金額

エンゼルケアを初めて行う遺族の中には、その金額や相場が気になる人もいると思います。
エンゼルケアにかかる費用は、それこそ実際に行うことになる医療機関によって異なります。
このような死者に対するケアは健康保険の適用がありませんので、基本的にはその全額が自己負担になります。
そのため場合によっては費用がかさむ場合もありますが、最小限の処置で行う医療機関の中には無料でしてくれるところもあります。

また専用のメイキャップ品を使用するなど、本格的に行う場合は数万円程度かかることもあるようです。
エンゼルケアは医療機関以外に葬儀会社でも行われており、その場合は料金が高くなることもあります。
エンゼルケアの内容によっても費用は大きく変わってきますので、実際に行う前にケアの内容や料金などを確認しておくと良いでしょう。
医療機関によってはエンゼルメイクをしないところもあり、その場合は家族で行うことになります。

エンゼルケアにおける「着衣とクーリング」

エンゼルケアで行うクーリングは、遺体の腐敗進行を抑制する目的があります。
このときに着させる着衣は、生前に故人が好んでいたものを使用することが多いですが、そうすることで生前の状態に可能な限り近づけることができます。
クーリングする際は、部屋の温度にも注意しておきましょう。
そのためだけに扇風機やエアコンの温度を大幅に下げる人もいますが、あまり下げてしまうと肌の乾燥化が進みます。
死亡した肌は外気に触れることで水分を失い、乾燥が進みやすくなります。
そのため全体的に乾燥しやすくなり、部位によっては茶褐色に変わって表皮が変形することもありますので注意しておきましょう。

着衣とクーリングでの必需品

エンゼルケアにおける着衣とクーリングでは、以下のものを用意しておきましょう。
着物、足袋、胴紐、帯、襦袢、消毒液、紙オムツ、パッド、マスク、冷却シート、手袋、ビニール袋、冷却枕（保冷材）などです。

着衣とクーリングの手順

着衣とクーリングは、以下の手順で行います。

• ① まずは襦袢と着物に袖を通します。
• ② 冷却枕を襦袢の上から当ててクーリングを行います。
  ここでは特に胸部や腹部は重点的に行いましょう。
• ③ 襦袢と着物は左前にして合わせます。
• ④ 胴ひもは横結びにゆるく結びます。
• ⑤ 足袋を家族が履かせます。
• ⑥ 腹上に帯や冷却枕を乗せて、掛け物をかけます。
• ⑦ すべて終了したら、手は組ませずに腹の上や体の横におくようにしましょう。
  ここではできる限り、家族の希望を聞いて行うことが大切です。

エンゼルケアでは着衣やクーリングなどを施しますが、その一つとしてエンゼルメイクも行われます。
エンゼルメイクをすることで故人を生前の元気な姿に戻すことができ、お葬式に参列した方や家族にとって最後の姿を目に焼き付けることができます。
エンゼルケアの金額は医療機関によって異なりますので、事前にチェックしておくことをおすすめします。

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