故人が退院するときの4つのポイント

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故人が退院するときの4つのポイント

1)死亡診断書とは?

死亡診断書?

死亡診断書とは、医師が作成する「死亡の事実を証明する書類」です。
市役所に死亡届けをする場合や、死亡保険金を請求する場合には、添付書類として必ず提出する必要があります。

左半分が死亡届になっており、右半分が死亡診断書(死体検案書)になっており二枚が一枚のA3サイズの用紙になっています。

死亡届は提出が法律で義務付けられているので、必然的に死亡診断書(死体検案書)も必須になります。

もし死亡診断書がない場合は、医学的に死亡したことが証明されません。
つまり生存している可能性があることになります。
このようにしなければ租税公課や年金受給などの問題、犯罪に利用される恐れもあるため法的に義務付けられています。

なお、死亡診断書の提出期限は基本7日以内で、これを守らないと5万円以下の過料に処されることもあります。

死亡診断書の記載内容は次の通りになります。

これら①~③が主な記載事項になります。
死亡診断書への記入は死亡を確認した医師が行います。

なお、死亡診断書の他に死体検案書というものがあります。
二つの違いは死因が「自然死」「死因が明確な死」の場合は死亡診断書になります。
一方、死因が「事故死」「自殺」「突然死」「原因不明の死」などの場合は死体検案書になります。

死亡診断書は、死亡を確認した医師が準備してくれます。

専門家のワンポイントアドバイス!

死亡診断書は、医者以外は書けません。
死亡届を提出しないと火葬許可が下りないため、死亡届を葬儀会社が市区町村役場に届け出てくれるのが一般的です。

提出方法について

死亡診断書は死亡届と一緒に提出します。
提出先は死亡地、死亡者の本籍地、提出者の住所地の市区町村役場の戸籍係になります。

この死亡診断書は「親族、同居人、家主、地主、後見人」などの限られた人が提出可能です。
提出期限は死亡を知った日から7日以内で、死亡届、死亡診断書、印鑑が必要になります。

死亡診断書の料金は保険適用外のため、医療機関ごとに金額が違うのが現状です。
おおよそ5,000円/1通、高い場合は数万円に及ぶケースもあるようです。

2)死因の説明を受ける

入院治療を受けていた家族が亡くなった場合、担当医師から診療の経過や死亡に至るまでの経過、死因について説明を受けます。
万が一診療において不本意な結果が発生した場合、担当医師はその内容・事情を患者側に説明する義務を負うとされています。

また、死因が不明である場合は、病理解剖するケースもあります。
病理解剖は、遺族の承諾を必要とします。
病院側が死因解明のために病理解剖をすすめても遺族側で故人の遺体を傷つけるのはしのびないという理由で断ることが多いようです。

死因の説明もなく、遺族が事情を納得せず、後日紛争となるケースがあります。
それ故、医師が遺族に死因を説明することは、法的義務があるかどうかは現在も議論されており、裁判所の判例によって認められる場合とそうでない場合があります。

3)病院に支払いをする

病院に支払いをする
誰がいつ支払いをするか

遺体の搬送業者が決まり、故人の病室に忘れ物が無い事を確認したら退院の手続きをします。
この場合、退院してすぐに家族、相続人が支払いをすることになります。
もし退院時のお金が用意できない場合、病院側に事情を話せば後日支払いをすることも可能です。

もし、故人の預金を治療費に充てる場合は、相続財産になる故人名義の銀行口座を凍結される前の引き出しになるため、必ず下ろしたお金を治療費、入院費に充てたという領収書を発行してもらい保管しておきましょう。

払えない場合

病院の治療費が高額になり、支払いができないケースもあるかもしれません。
その場合はどのように対処すればいいか、誰に相談すればいいのでしょうか。

入院費は多くの場合は10万円、医療内容によっては数十万円~数百万円というケースがあります。
治療費が払えなくても退院することは可能ですが、退院後に支払いをしないままでると、病院から連絡がくるか、病院の顧問弁護士から支払い催促の内容証明郵便が送付されてきます。
それでも支払いがされなければ、裁判所へ申し立てされ訴訟に発展するケースがあります。
裁判所に申し立てされた場合、給与や財産の差し押さえがされることがあります。

入院する際は保証人、又は連帯保証人など身元保証人を立てる場合が殆どです。
その場合は、患者本人が支払いをしない場合は、保証人に請求されることになります。

専門家のワンポイントアドバイス!

病院と相談をすることで、返済方法については相談に応じてもらえます。
「月々1万円ずつでいつまでに返済」という約束が可能です。
なぜか?払えない遺族が、相続放棄をする可能性もあるからです。
弁護士云々という話が出て来るのは、相当悪質な場合だけです。
200万円の入院費を回収するのに、弁護士費用を使っていては、手元に残るのは約半分ですから。
それに患者を相手に訴訟を起こしたとなると、病院の評判にも傷がつきます。
したがって、無理のない返済計画を立てることを病院も望んでいるのです。

4)病院にお礼は必要?

家族の死亡により退院する場合、お世話になった医師や看護師へのお礼は、後日改めて出向くとよいでしょう。
死亡による退院当日は、遺体の搬送や、葬儀に向けた準備など多くのやるべきことに追われるため後日行うのがベストです。
病院によってはお礼の金品を受け取らない規則がありますから、お礼は挨拶だけでもよいでしょう。

専門家のワンポイントアドバイス!

病院関係者にお知り合いがおり、特別に配慮してもらった場合を除き、大きな病院ではお礼を受け取らないことが通常です。
せっかく用意しても、頑なに断られると、逆に嫌な思いをすることになりますから、感謝の気持ちを伝えるだけで十分です。
個人病院のような場合には、先生や看護士さんたちとも顔見知りになっているでしょうから、気持ちをお届けしてもよいと思われます。

このページを監修してくださった専門家の方

齊藤学 写真
行政書士齊藤学法務事務所
行政書士 齊藤 学

遺言・相続・成年後見・ペット信託、民事信託を活用した財産管理・承継対策、ビザ(VISA)申請取次という「民事系の業務」と法人設立業務、WEB利用規約等各種契約書関係、記帳代行、許認可申請という「法人業務」を取り扱っております。

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