遺族基礎年金と寡婦年金の違いや併給について

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遺族基礎年金と寡婦年金の違いや併給について

遺族基礎年金や遺族厚生年金など、遺族年金にはいくつかの種類がありますが、寡婦年金もその一つになります。
既に受給している人もいると思いますが、これから受給を予定している方は、その内容が気になるかもしれません。
遺族基礎年金と寡婦年金の違いや、遺族基礎年金と寡婦年金は併給できるのか、申請前に確認しておくことを紹介します。

遺族基礎年金と寡婦年金の違い

遺族基礎年金と寡婦年金の違い

遺族年金の中には遺族基礎年金と寡婦年金もありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか? それぞれについて知っておきましょう。

遺族基礎年金について

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者や老齢基礎年金の資格期間を満たした人が亡くなった場合に支給されます。
実際に年金を受給できるのは、亡くなった方に生計を維持されていた子供のいる配偶者や、その子供です。
遺族基礎年金の受給対象になる子供の要件としては、以下のものが該当します。

遺族基礎年金では、亡くなった方から生計を維持されていたことが条件になっています。
生計維持というのは故人と同居していた、あるいは別居の場合であっても子供に仕送りをしていた時や、健康保険の扶養親族などがあった際には該当します。
遺族年金を受け取る方の前年の収入が850万円未満、あるいは655万5千円未満であることも必要です。
つまり故人と同一の家計で生活をしており、収入があってもそれが一定以下であれば、生計を維持されていたとみなされます。

遺族基礎年金の受給額

遺族基礎年金の受給額は、「779,300円+子供の加算額」で計算できます。
子供の加算額は、第1子と第2子はそれぞれ224,300円、第3子以降はそれぞれ74,800円になっています。
例えば妻の他に受給対象要件に該当する子供1人がいる家庭の時には、実際にもらえる額は1,003,600円になります。
子供が2人いれば1,003,600円に224,300円が加算され、第3子がいたら74,800円ずつ加算されていきます。
遺族基礎年金の受給額については配偶者の受給額がベースになっており、そこに子供の人数分の金額がそれぞれ加算されていくことになります。

遺族基礎年金の受給期間

遺族基礎年金の受給期間は、各子供の年齢がポイントです。
年金をもらえる期間については、子供たちが受給要件を外れるまでになります。
つまり子供が18歳を迎える年度の3月31日を経過するまで、あるいは障害等級1級や2級の子供が20歳を迎えるまでが受給期間です。

寡婦年金について

遺族基礎年金とは異なり、寡婦年金は受給できる人が異なります。
遺族基礎年金は子供も受給できますが、寡婦年金の場合は受け取ることができるのは妻だけです。
そのためたとえ妻が先に死亡したとしても、残された夫に寡婦年金が支給されることはないのです。
他の年金と比べて、寡婦年金は男女格差のある制度と言われ、これが遺族基礎年金との大きな違いとも言えるのです。

寡婦年金の受給要件

妻が寡婦年金を受け取るためには、夫の国民年金の納付期間が10年以上という条件があります。
夫が第一号被保険者(個人事業主などの自営業など)として、国民年金保険料を10年以上納付していなければなりません。
またその夫と10年以上の婚姻関係があることも必要で、寡婦年金を受け取るための条件として規定されています。
寡婦年金は、内縁の妻であっても支給対象になります。

その他の条件としては、以下のものが挙げられます。
「夫がこれまで老齢年金や障害年金等を受給したことがない」、「夫によって夫婦の生計が維持されていた」、「夫の亡くなった時の年齢が65歳未満である」、「夫が亡くなった後5年以内に請求している」ことが挙げられます。
寡婦年金で注意しておきたいのが婚姻の事実になり、例えば再婚(事実婚も含む)した時や、直系血族あるいは直系姻族以外の養子になった時は、寡婦年金の受給資格は失権することになります。

寡婦年金の受給期間

寡婦年金を受給できる期間は5年間です。
具体的には、夫に先立たれた妻は60歳から65歳までの間であれば、年金をもらうことができます。
仮に60歳になる前に夫が死亡した場合や、寡婦年金の受給資格が得られる期間が長い場合は、寡婦年金ではなく死亡一時金を選択するのもいいかもしれません。

遺族基礎年金と寡婦年金は併給?

遺族基礎年金と寡婦年金は併給?

もらえるのであれば、できるだけ多くもらいたいと思っている方もいると思います。
そのため遺族基礎年金と寡婦年金の併給を考えている方もいるかもしれませんが、残念ながらそれはできません。
遺族基礎年金と寡婦年金は併給できそうなイメージがありますが、結論から言えば、寡婦年金と遺族基礎年金は併給できず、さらには遺族厚生年金との併給もできません。
死亡一時金との併給ですが、遺族基礎年金と寡婦年金はどちらかを選択し、もう一方は併給調整を受けて支給停止になり、遺族基礎年金と死亡一時金については遺族基礎年金が優先されて支給され、死亡一時金は支給されないことになります。

また死亡一時金と寡婦年金はどちらかを選択し、もう一方は受給できません。
基本的に寡婦年金と遺族基礎年金の併給はできませんが、過去に遺族基礎年金を受給したことがある方であっても、60歳になって条件を満たしていれば寡婦年金の受給は可能です。
例えば、夫が亡くなった後に妻が遺族基礎年金を受給していた場合や、59歳の時に子供が18歳に達して遺族基礎年金が失権した場合などです。
このようなケースであっても、寡婦年金受給の条件を満たしていれば、妻は60歳になってから寡婦年金の受給が可能です。
つまり同時の受給でなければ、遺族基礎年金と寡婦年金はそれぞれ受け取ることができるのです。

遺族基礎年金と寡婦年金のどちらか選択?

遺族基礎年金と寡婦年金、どちらも受給要件を満たしていればもらうことはできますが、同時の受給はできません。
そのため両方の年金をもらうことができる方は、どちらか一方を選択することになります。
受給権者の範囲や受給期間、受給額などそれぞれ異なりますので、自分にとって条件の良い方を選びましょう。
遺族基礎年金と寡婦年金を比較してみた際に、受給額と受給期間とも一般的には遺族基礎年金の方が有利なケースが多いようです。

もちろん個々のケースによっては変わりますので、事前にシミュレーションなどをしておくと良いと思います。
遺族基礎年金と寡婦年金のどちらかを選択できるという方は、まずは両者を比較検討してみることをおすすめします。
例えば年金事務所への相談や、ネット上にはシミュレーション計算できるサイトも存在しますので、気になる方はそれらを駆使して調べておきましょう。
事前にどれくらいの受給が可能なのかを知っておけば、いざという時にも苦労をすることはありません。
どちらにしても年金は自身で申請する必要がありますので、早めに準備をしておくことが大切です。

この記事のまとめ

遺族年金には様々なものがあり、遺族基礎年金と寡婦年金もその一種になります。
それぞれに特徴がありますが、遺族基礎年金と寡婦年金の併給はできません。
遺族基礎年金と寡婦年金の両方を受ける権利がある方は、どちらかを選択する必要があるのです。
自身で早めに申請を行わなければ、損をしてしまう恐れもあります。
特にこのような年金制度は待っていても誰も助けてくれませんので、自分から行動を起こしましょう。

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