遺族厚生年金は相続放棄をしても受給できる

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遺族厚生年金は相続放棄をしても受給できる

家族が亡くなった際に、頼りになるのが遺族厚生年金の存在です。
遺族厚生年金はとても大事な制度ですが、相続する際に相続税はどうなるのでしょうか?
また相続を放棄すると、受給権の存在はどうなるのかも気になる点です。
遺族厚生年金を受給される方は、生計維持要件と一緒に今一度確認しておきましょう。

遺族厚生年金の生計維持とは

遺族厚生年金の生計維持とは

遺族厚生年金を受給する際には、生計維持要件について知っておくことが大切です。
遺族基礎年金や遺族厚生年金の受取や、被扶養者がいることで発生する年金の増額の条件として、生計維持や生計同一があります。

生計維持要件と生計同一要件

遺族厚生年金での生計維持されている人というのは、「生計を同じくしていること」と「収入が一定額以下であること」の2点があり、そのいずれの条件も満たす必要があります。
つまり遺族厚生年金の生計維持については、上記の2つの条件を満たしていなければ受給できないことになります。
一方で生計同一が要件になっている場合は、生計を同じにするだけで大丈夫です。
そのため所得制限については、特に問われないことになります。

生計同一要件を満たすケースとしては、以下のものが挙げられます。

他にも両親の離婚によって子供が母親に引き取られた場合や、父と定期的に面会して母が養育費などを受け取っている場合なども含まれます。

遺族厚生年金受給のための生計維持要件

遺族厚生年金を受給する場合は、生計維持要件を満たす必要があります。
生計維持要件というのは生計同一要件と、以下で説明する収入(所得)要件の2つの要素から構成されており、いずれの条件も満たす必要があります。
収入(所得)要件については、「前年(前年分が確定していない場合は前々年)の収入が850万円未満、あるいは所得が655.5万円未満である場合」です。
この所得制限をクリアしていなくても、将来(5年が目安)以内に上記に該当すると見込まれれば大丈夫です。
一時的な収入や所得は対象外になります。

前年の収入や所得に関係なく、概ね5年以内に定年退職や事業の廃止、役員の解任などによって年収が850万円、あるいは所得655.5万円を満たさなくなることが分かっている場合も、収入要件を満たすことになります。
そして被保険者によって生計が維持されていることも条件になり、具体的な条件は以下のようになるのです。

遺族厚生年金と相続税

遺族厚生年金と相続税

家族が亡くなった際に遺産がある場合は相続することがありますが、その際の遺族厚生年金には、他の遺産と同じように相続税がかかるのでしょうか? 結論から言えば、遺族厚生年金は相続税の対象にはなりませんので安心して大丈夫です。
厚生年金や国民年金などの年金を受給していた方が亡くなった場合、その遺族に対して支給されるのが遺族年金です。
遺族年金と呼ばれる遺族基礎年金と遺族厚生年金は、原則として所得税や相続税は課税されません。
そのため年度末に行われる確定申告で申請する必要もないのです。

相続では生命保険などの財産を受け取ることもありますが、これと同じように加入者(被相続人)が死亡することで具体的な財産請求権が発生するのは遺族厚生年金も同じです。
その点に着目すれば、生命保険と同じように遺族年金請求権も相続財産とみなされ、課税されるようなイメージがあります。
しかし遺族年金については、その受給権者や支給に関する規定が法律によって個別に規定されており、さらに遺族の生活保障という観点から支給されるものでもあるため、生命保険とは異なり受給権者固有の権利であると認められているのです。
つまり相続財産の対象にはならないということになります。

ただ相続税の課税対象になる年金受給権もあることから注意する必要もあり、その具体的な例が以下のものです。

遺族厚生年金は相続放棄をしても受給できるのか?

家族が亡くなって相続をする際に、相続放棄する遺族もいると思います。
その場合には、受給していた遺族厚生年金はどうなるのでしょうか? 相続放棄によって、遺族厚生年金の受給権もなくなるのではないか、と思っている方もいるかもしれません。
確かに気になる点ですが、結論から言うと、たとえ相続放棄をしても遺族年金は受け取ることができます。
これは法律的に認められており、法律上遺族年金については「相続財産」ではなく、「年金受給権」とみなされているのです。
年金受給者である遺族自身が持つ、特別な権利になっています。
相続放棄に関する手続きは家庭裁判所で、遺族年金受給のための申請手続きは年金事務所で行うことになります。
相続放棄という行為は、「亡くなった方との相続には一切関わりません」という法律的な意思表示を行うことですが、一定の行為を行うと相続の放棄ができなくなります。

例えば、故人の遺産を使い込むようなことが挙げられ、そのような行為を行うと「この人は相続する意思がある」とみなされてしまい、相続放棄ができなくなることもあるのです。
これが「単純承認」であり、遺族年金を受け取ること自体がその単純承認に該当するのでは、と不安に駆られる人もいるようです。
結論的には、たとえ遺族年金や他の未支給年金を受け取ったとしても、その行為自体が単純承認になることはありません。
遺族基礎年金や遺族厚生年金、未支給年金などの年金受給権は遺族自身の固有の権利ですので、相続で受け取る権利ではないとされているからです。
法律上では、相続手続きと遺族年金の手続きは別のものとして扱われます。
そのため、遺産の相続は行わず、遺族年金のみを受け取るという方法もできるようになっています。
遺族厚生年金を受け取ったとしても、相続放棄は別にできるのです。

このページのまとめ

遺族厚生年金を受け取る際には、生計維持要件を満たす必要があります。
さらに遺族厚生年金は非課税扱いになっていますので、受け取ったからと後で相続税を課せられることはありません。
さらに遺族厚生年金については、相続放棄をしても受給することは可能です。

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